ヨーロッパ旅行(報告編)


◆ パリからモンバールへ ◆




( 日曜日のミサの後で。左端は、ピレネー山脈から来たブラザー。
右端は、アマンダ♪ かわいい人でした。
アマンダの隣は、通称アレクセイ☆ めちゃくちゃいい声の持ち主!)


このモンバールの修道院は、珍しいことにギリシャ正教のようなビザンティン
典礼である。ローマカトリックの典礼もまだ詳しくない私たちが、
さらに知らないビザンティン様式に足を踏み入れてしまった。
しかし渡仏前にカトリックの友人タロウさんの紹介もあって、
面白そうだったのでここに決めた。

私たちはここを訪れた日本人の中では「プルミエ」だったらしい。
プルミエ・・日本人で最初にここを訪れた、ヘンな女性2人組。
「どうしてここに来たの? どうやって知ったの?」と
神父もシスターも、盛んに不思議がっていた。

男性の神父が一人と女性のシスターが3−4名の本当に小さな修道院。
神父は本名は忘れたが、ひげの似合う恰幅のいい人。みどりちゃんが
ギリシャ正教にちなんでか「アレクセイ」と彼にこっそりあだ名をつけたので、
そのまま私たちの思い出の中で、彼は「アレクセイ」である。
最初は怖そうな人かなぁ、と思っていたら実はとても気さくなおじさんで、
最後には駅まで車で送ってくれた。











○イコンについてのサイトは→こちらへ

イコンの絵画ってどうしてヘンなんだろう?
イコンについて、分かりやすく書かれている。





ここの典礼は、とにかく独特。これまでのイギリスやパリでの貴重な体験が
全て吹き飛んでしまいそうなほど。小さな聖堂には、ビザンティンの特徴で
あるイコンがあちこちに飾られている。十字の切り方も、ローマ・カトリック
とは反対に切っていた。どうしてビザンティン典礼なのか、あれこれ聞きた
かったが語学の問題もあって、あまり聞けずに今となってはそれが悔やまれる。
(後日談:タロウさんの話によると、ローマ・カトリックでビザンティン
典礼なのは,ローマ・カトリックとギリシャ正教や諸宗教との
対話を願って・・という祈りがあるそうである。なるほど!)

神父は「至聖所(サンクチュアリ)」という言葉が誠に相応しい場所にいる。
なんだか不思議な情景なのだが、そこはカーテンがひかれていて、まるで
紙芝居や人形劇の舞台を見るかのようだった。おまけに神父は典礼の間、何回か
ガウンを着替えていた(みどりちゃんはこっそり、「試着室」と呼んでいた・・)。
その意味がよく分からなかったが、決められた典礼のルールがあるのだろう。

余談だが、ヨーロッパにも持っていった本で「大作曲家の信仰と生涯」という
ものがある。これによると有名な作曲家の中には、意外にもカトリックの司祭
になりたがっていた人がとても多い。結局は自分のタラントは「音楽」だと悟って、
そちらの道をきわめるのだが、彼らの多くは神父のガウン姿に憧れていたらしい。
何ともかわいらしい情景だが、確かにそう思わせるほどカトリック
の装いはかっこいい。形式美とでも言うのだろうか。

初めての典礼で感じたのは、「音」「声」「におい」だった。ギリシャ正教の
特徴として、楽器を使わずに声のみで礼拝をする。神父は素晴らしくよい声の
持ち主で、まるで神のようにサンクチュアリから声だけが聞こえてきて、そうして
典礼が始まる。シスターは天使のように美しい声でそれに応答するのだが、
次第にその美しすぎる「分業」や調和に、違和感を持つようになった。
それはどうしても家父長的な香りやジェンダー・ロール(性別役割分業)
を感ぜずにはいられなかったからだ。



(毎回の食卓は、こんな感じでした)



(建物には、「1741」年と刻まれていました。)


フランス革命よりも前に建てられた趣のある建物で、毎食をずっと神父と一緒
にしたが、私たちの旅行中は「レント」でキリストの受難の歩みを覚える時期
だった。「だからシスターは、いつもよりも質素な食事なんだよ」という彼は、
どうもフツウどおりの食事を食べていたように思える・・。

音は楽器はないが、鈴のような「しゃらんしゃらん」という音が時々聞こえる。
楽器がない分、むしろその音色はとても効果的だった。「におい」はお香。
その始まりは、どうもその昔大勢が集まると体臭がにおうので、それを消すた
めだったらしい・・と、後でソウルの聖公会の司祭が教えてくれた。なるほど!

フランス語での聖務日課。楽譜を見ても歌うのが難しかったが、
私たち2人は適当に雰囲気に合わせて歌った。
フランス語が分からない私は、図々しくも母音で
「あーあー♪」など、声を出して。

近くに住んでいる信徒らしい女性(黒いマントを羽織って、ディズニー映画に
出てきそうな魔女風装いのおばあさん)に、帰る頃になって聞かれる。

「あなたたちはフランス語が出来るの?」
「いいえ、全く出来ないのです」と答えたら、
分からないのにミサに出ていたからか、

「まーべらす☆ Mervelous(奇跡的な、驚くべき)」
と感激されてしまった。

 そうかなぁ。でもこんなフランスの片田舎まで
神さまの導きで来られたことは、
やっぱり彼女の言うように「まーべらす☆」なことかもしれない。



宿泊棟から、中庭を臨む。





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