長いので、2部に分けて紹介いるところの第2部です。第1部はこちらにあります。国際法に違反した侵略と占領、その中で我がもの顔で進めている、イラクのあらゆるものの全面的略奪体制の確立が、はっきりと分かってくる、まとまった記事です。是非お読みいただけると幸いです。報道規制や政策強制構造、米軍によるイラクの民間人抗議者殺害など、どれ一つとっても、超大国による侵略・強盗と略奪の体制化以外の何ものでもないことが分かります(サダム・フセインという、悪辣な、米国の後押しを受けてのし上がってきた独裁者を抱いていたイラクの人々が、そのサダム・フセインを口実に略奪と殺害の対象になったのですから、やりきれないことです)。
ちょっとイッちゃった感じのある小泉首相が、イラク特措法により、自衛隊を派遣しようとしているのは、このような国で、自衛隊派遣により援助しようとしているのは、米国中心のイラク全面略奪です。
経済計画の帰結
イラク経済転換を図る計画の帰結を理解するためには、イラクの現在の状況を理解する必要がある。イラクの人々は、米国の占領者たちが計画した変化に対処すべくどれだけ準備が整っているのだろうか?
イラクに対する戦争の第三段階で、24万以上のクラスター爆弾がイラクに投下された[12]。クラスター爆弾は、一弾一弾に約200個の小爆弾(ボムレット)が入った爆弾である。それゆえ、24万個のクラスター爆弾は、潜在的には4800万個の不発地雷になる可能性がある。さらに、ペンタゴンは使われた爆弾の9割は正確誘導型であると述べているが、実際には、イラクに落とされた爆弾の3分の1は旧式の「大量投下爆弾」である。
2001年9月11日の3000人あまりの殺害を虐殺と見なすならば、イラクでは複数の虐殺が行われたことも認めなくてはならない。7000人ものイラク民間人---1万人に達する可能性もある---がイラクへの爆撃で死亡した(www.iraqbodycount.netによる)[13]。バグダッドだけで、他に少なくとも8000人が負傷している(2003年5月18日、ロサンゼルス・タイムズ)。この数字には、侵略軍から国を守るための戦いで親だイラク兵士たち数千人の数は含まれていない。
一方、人道組織CAREが伝えているように、「専門化たちは、コレラの伝染に必要な状況が完全に整っている。流れずに溜まった水の横のストールで肉が売られ、子供たちが集団で汚れた水の回りで遊んでいる。500万人の人口を擁し現在の気温が45度以上にも達するバグダッドでは、コレラの流行が町中に広まる可能性がある」[14]。
国連世界食料計画(WFP)は、イラク南部と中部では、「5人に一人すなわち460万人のイラク人が慢性の貧困を被っている」と伝えている[15]。「もしイラク中部と南部の5人に一人のイラク人が戦争前に生活必需品を確保できていないとするならば、現在では、私営部門と公共部門の経済的な不透明性のために、この数字がさらに増えている可能性はとても高い」とWFPのイラク代表トルベン・デユーは述べている。
こうした苦痛は、すべて、12年以上にわたる人々の生活を押し潰すような経済制裁に付け加えられたものである。この経済制裁---あるいは経済戦争---で、5歳以下のイラクの子供たち少なくとも50万人が犠牲となった(UNICEFによる)。国連の元難民高等副弁務官だったフレデリック・タートンは、制裁の継続は、自由市場が求める柔軟性を準備する良い手段だったのではないかと述べている(2003年5月27日、シカゴ・トリビューン)。
自由市場の柔軟性?
(すなわち、経済戦争は続くということである)。
5月23日、ブレマーがイラク軍を解散させたことにより、既に40万のイラク人が職を失った。6月23日、米国率いる文民統治機構は、新たなイラク軍の創生を発表した。「絶望的な失業に対するイラク人の怒りを封じ込め、米軍兵士への攻撃ラッシュを阻止することを期待したものである」[16]。この軍は、1年以内に1万2000人を雇用する予定であり、3年で4万人規模になる予定である。従って、少なくとも36万人が失業したまま残されることになる。占領軍からは、「最大25万人の元兵士に対して一月50ドルから150ドルの支援金が支払われる」と言われている。「と言われている」だけである。米国占領権力は、イラクの政府職員に対して同様の約束をしたが、それを守らなかった。
ブレマーは既に情報省を解散しており、未来のイラク政府の仕事から最大3万人の上級バアス党員を排除する政令を発布した。
今後、企業の解散し、公共サービスが私営化され職員が解雇されることにより、さらにどれだけの人々が仕事を失うことになるだろうか?油田技術から輸送交通サービス、通信、さらにはイラクの省庁までもを売却する契約が進められつつあることを思い起こしておこう。
ZNetでヒュメイラ・イクティダルが述べたように、「石油資源だけでなく保健や水、電気、交通、教育、薬、電話の私営化を通してイラクの人々を待ち受ける全面的な剥奪と比べると、クラスター爆弾によるイラク人の命の恐るべき破壊さえ、青ざめるほどである」[17]。
企業のイラク侵略
米国企業とペンタゴンの関係を巡っては、多くが論ぜられ発表されてきた[18]。ペンタゴンと契約入札に招かれた企業の利害対立よりも重要なのは、これらの企業がイラクで何をするか、である。これらの企業全てを一致させているのは、私営化のアジェンダである。
ハリバートン社:イラク石油資源の私営化
ハリバートン社は、ペンタゴンから、70億ドルに上る、秘密の非競争契約を与えられた。米軍がイラクに爆弾とミサイルを撃ち込む数カ月前に、戦争省はディック・チェイニー副大統領の古巣であるハリバートン社と秘密に相談していた。イラクの油田の全面的なコントロールを、この世界第二の石油サービス企業に与える取引を巡るものであった。ハリバートン社は、イラクの石油輸送を含む石油操業の統制権を与えられた。
ベクテル社:イラク水道の私営化
2003年4月17日、ベクテル社は、米国国際開発局(USAID)から非競争契約を得た。この契約は:発電施設、伝染、都市の水道システム、下水、空港施設の緊急修理と復旧、ウムカスル港の浚渫と修復、改善(ウムカスル港が米軍により占領される前のことである)、病院や学校、省庁建物、灌漑設備と交通リンクの再建を含むものであった。契約が述べた目標は、100の病院、6000の学校(合計2万5000校のうち)、6つの空港と一つの南部の港の修復あるいは復旧であった。当初の契約額は3460万ドルで、18カ月のうちに最大6億8000万ドルとなり、さらに1000億ドルにまでなる可能性がある。それゆえ、これは、イラク「再建」契約の中でも最大のものとなる可能性がある。
これまでの業績にもとづいて企業を雇うとするならば、ベクテル社がこの契約を得たことはとても奇妙である。ベクテル社は、これまで米国内外でのプロジェクトを不手際で台無しにしてきた。ボストンでは、25億ドルの仕事と見積もられた悪名高いトンネル計画は146億ドルとなり、1マイルにつき納税者は180万ドルを払うこととなった。カリフォルニアでは、ベクテル社は、核反応炉の一つを逆向きに取り付けた。
ボリビアでは、ベクテル社は水の供給を統制するコンソーシアムに参加しており、平均35%の値上げを行なった。コチャバンバ市の多数の住人が水道料金を払うことができず、路上の抗議行動で何名かの死者が出た。ベクテル社は撤退したが、契約解消のために2500万ドルを求めてボリビア政府を訴えている。「ベクテル社はまともな社会的あるいは環境的な営業記録を持っている会社ではない」と公共利益監視団体パブリック・シチズンのジュリエット・ベックは述べる。「イラクの人道的再建計画にベクテル社が参加すべきではない・・・・・・ベクテル社と私営化は手に手を取って進んでいる」。
「ベクテルのやってきたことは、それを示している。サービスを私営化して価格をつり上げ、払うことができる人々だけがサービスを得るようにする」と、サン・フランシスコのシンクタンクであるグローバル化国際フォーラムのプロジェクト監督アントニア・ジュハツは言う。最近出版されたFear's Empire: War, Terrorism and Democracyの著者であるベンジャミン・バーバは、「人々が行う中核となる民主的決定を挙げるならば、それは水や電気、メディアの扱いである」と述べる。「それらは、政府の最も基本的な部分だ」[19]。
リサーチ・トライアングル・インスティチュート(RTI):無害というわけでもない[20]
ノースカロライナ州のリサーチ・トライアングル・インスティチュート(RTI)は、2003年4月11日、USAIDから契約を得た。この契約は当初790万ドルであり、12カ月で最大1億6790万ドルのものである。RTIの契約は、「水や保健、公衆衛生、経済統治といった基本的な地方行政サービスの提供を改善するために、地方行政と市民組織の管理技術と能力を強化する」ものであり、「コミュニケーションや紛争解決、リーダーシップ・スキル、政治分析などの訓練プログラムを含む」。けれども、この契約は大騒ぎとはならなかった。RTIは共和党に資金を提供してもおらず、RTIの重役がペンタゴンと結びついているわけでもなく、チェイニーはRTIから給与を受けていたわけでもなかった。潔白であるように見える。。。
全く潔白ではない。
RTIの社長で最高経営責任者であるビクトリア・フランチェッティ・ヘインズは、RTIを企業利益促進のためのものと見なしてはばからない。彼女の指導のもとで、RTIは、多くのより親切な政府と非営利契約の他に、製薬会社と健康会社、バイオテクノロジー企業との関係を攻撃的に追求している。
RTIの契約をもう一度見てみよう。主要なRTIの仕事の一つは、「強固な現地の民主的統治機構」たるものを作ることである。これはイラクの人々と占領権力の間をスムースにするためのPRであろうか?RTIのプロジェクトの各段階---「現地の指導者の特定」、「行政担当に対する政治分析の訓練」--は、親米プロパガンダを密かに持ち込む扉を開くものであり、一般に、イラクの政治的環境を米国の利益にとってより好都合にするものである。
第二の、関連する問題は、「基本人的サービスの促進あるいは改善プログラムを設計し適用する」過程で、RTIが、人々の利益を押し進めるのかあるいは(国内外の)ビジネス・エリートの利益を促進するのかである。RTIは地方行政サービスについて、ちょうど東欧で行なったと同様に、公共統制ではなく企業による統制を協力に推進するであろう。さらに、RTIは、これまで、大規模な「移行」の中にある様々な国の「再建」で働くべく米国政府から契約を得ていた。国際的に見ると、RTIが過去10年に得た最大の契約のいくつかは、「資本主義への移行」においてソ連圏諸国を「市場向けに改革」することであった。これらの諸国が、政府がスキャンダルと汚職で苦しみ、現在経済的によろめいているという事実は、心配の理由となるであろう。
RTIの基本政策は、私営化を推進することにある。政府の計画とサービスを私企業に手渡すのである。南アフリカでは、この私営化計画は完全に破滅的な結果となった。例えば、巨大なフランスの多国籍企業が1990年代後半に水道サービスを乗っ取り、すぐに価格をつり上げ、貧しい地域全体の水供給を止めたため、暴動とストが勃発した。調査ジャーナリスト国際コンソーシアムの最近のレポートによると、南アフリカで水道を私営化しようとしたために、高い価格の水道料金を払えなくなった人々が汚染されあ小川や池、湖から直接水を飲むようになったため、コレラが激増した。これにより、300人近い人々の命が失われた[21]。
RTIが同じ政策をイラクで進めるならば---そしてそうしない理由は何もない---、RTIは、占領軍が撤退した後も長期にわたり、米国(そしてヨーロッパ)によるイラク社会制圧を確実なものにすることになる。それは新自由主義占領であるが、占領にかわりはない。既に、RTIは「イラク水道供給/配布システムに対して短期・長期の技術支援を提供し、イラクの相手にイラク水道システムを修復し維持する知識と技術・能力を提供するために公共水道専門家を選び出している」。
「アパルトヘイトが崩壊した理由は、統制を維持するために白人たちにはもはやアパルトヘイトが必要でなくなったからだ」とある南アフリカの活動家が、南部研究所の所長クリス・クロムに語った。「彼らは全てを私営化した。そして、誰が企業を運営していると思うか?アパルトヘイトはもはや必要ではなかった。資本主義があったから」。イラクは、この物語の次の章になりそうである。
これら全ての背景には、RTIと契約したUSAIDの歴史がある。政府の位置部門として、USAIDは概ね米国政府と軍の利益にかなうような「開発」計画に従事してきた。USAIDはまた、米国企業とあまりに密接な関係を持ってきたこと、そしてUSAIDのプロジェクトがビジネスが新市場に侵入することを助ける道具であるとして批判されてきた[22]。
RTIはまた、USAIDから、ワシントンDCのクリエイティブ・アソシエイツ・インターナショナルを通して、「教育システム改革」の下請け契約も受けている。この契約は、イラクの学校教科書をより親米に書き換えようという計画が明らかになった際、多くの論争を引き起こした[日本で一生懸命やっていることです]。契約のこの部分が現在無効となったのか単に強調されなくなったのかについては、見解の異なる報道がある。
RTIが実地でどのような活動をするかについては注意深く監視しなくてはならない。そして、ベクテルやハリバートンをはじめとする大規模な契約だけでなく、RTIにも注意して監視しなくてはならない。
監視すべき他の犯罪者たち
コンピュータ・サイエンス・コーポレーション(CSC)の子会社ディンコープ・エアロスペース・オペレーションズ(英)は、米国国務省国際麻薬法執行問題局から2200万円の契約を得た。これは、5億ドルに拡大される可能性があり、「紛争後イラクでの警察と司法、刑務所機能の再建」を請け負うものである。オブザーバ紙が指摘するように、「ディンコープのような軍契約企業を雇うことで、米国政府は代理人を使って秘密裡に政策を進める効果的な方法を見つけだしたことになる。これらの代理人は監視できず、犯罪制裁から実質的に免れており、軍士官ではなく企業のボスに責任を負うだけなので統制が危険なまでに困難である」(2003年4月13日)。ボスニアでは、ディンコープの職員が、若い女性を性奴隷として売買することに従事していた他、多くのイカサマ行為を行なっていた。エクアドルでは、農民たちが集団訴訟を起こしてディンコープが無慈悲に家と農園に毒薬を散布し病気や死を引き起こし農産物を破壊したことを告発している(コロンビアの例についてはこちらをご覧下さい)。
悪辣なまでに反労働組合のスティーブドアリング・サービシズ・オブ・アメリカ(SSA)は、USAIDから480万ドルの当初契約を得た。「人道供給品をはじめとする再建初期に必要な物資のタイムリーな配布を促すためのウムカスル港の初期評価、港による制約を乗り越えるための改善計画の策定、船舶誘導の港湾パイロットの雇用、倉庫や船荷積み卸し、冷蔵等貯蔵といった積荷扱いサービスの促進、ウムカスル港からの積荷の陸路運搬調整」などが契約内容である。SSAは、この契約を、米軍がウムカスル市を占領する前に得ていた。
経済以外のものも脱構築する
経済を「全て無料」で私企業に与えることに加え、米国はイラクに3つの常駐軍事基地を作ろうとしている。これらの軍事基地が、イラクの真の主権を大きく制限し、親米指導者が権力を掌握し、イラクでの真の民主化闘争を制限することは明らかである。さらに、米軍基地はより大きな地域的意味を持ち、米帝国の軍事リーチをさらに拡大する。
さらに米国政府はイラクのパレスチナに対する立場を変えようとしている。米国が指名するイラク新政府は、イスラエルを受け入れる必要があり[23]、イスラエルに石油パイプラインを開放し[24]、パレスチナ人への支援を取りやめる。イラクで、米軍が侵略して略奪した最初の(そして今のところ唯一の)海外外交部がパレスチナ外交部であり、最初に逮捕された外交官がパレスチナ人であり、最初に合法的に所有を許された武器が没収されたのがパレスチナ外交部からであることは、偶然ではない。
それに加え、9万人のパレスチナ人がイラク追放の危機に置かれている。移送されたり移送の脅しを掛けられているパレスチナ人のほとんどはハイファ出身であり、1948年、ユダヤ人国家がパレスチナの地に建設された際、ハイファから暴力的に追放された家族である。現在イスラエルが支配しているふるさとと土地に帰ることはできない。というのも、イスラエル政府が帰還権を認めていないからである。パレスチナの人々はキリスト教徒とイスラム教徒であり、ユダヤ教徒でないため歓迎されない。
イラクとパレスチナの類似は日々強まっている。どちらの人々も同じ要求を持っている。占領を終わらせること、自分たちの天然資源を盗み取らないこと、国際法を完全に遵守すること(これには650万人のパレスチナ人の帰還権も含まれる)[某日本政府はイラクのサダム・フセイン政権が多数の国連決議に従わなかったことを米国による侵略の正当化に挙げていましたが、イスラエルははるかに多くのしかも政治的・人道的に重大な国連決議を無視してパレスチナの地を占領し、民間人の殺害を続けています]。
何をすべきか?
イラク占領を検討する方法は多数ある。軍事占領という観点及び帝国の欲望という観点から、イラクの人々を非人間化する人種差別の観点、増大する私企業勢力の力という観点。いずれも、正しい。最初の二つの視点は深く議論されてきた。私企業勢力とその国内外の人々への影響については、イラクの議論においてさらに深めなくてはならない。
私企業権力に対して何をすることができるだろうか?これまで何がなされてきただろうか?
第一次世界大戦後、米国上院委員会がジェラルド・ナイ主導で作られた。戦時中の弾薬産業の活動を調査するためであった。弾薬調査委員会の公聴会は1934年9月4日に始まった。委員会が発表した報告書の中で、米国政府の戦争参加決定と弾薬産業のロビー活動の間には強い関係があったと結論されている[まさに死の商人です。「アメリカを起こらせるとどうなるかわからない」と述べていた人々は、「それが資本の論理だからしょうがない」と言うのでしょうか・・・自分の身にそれが降りかかってくるまでは]。
より大きな歴史上の例は、戦争利益追加課税の適用である。南北戦争の際、ジョージアで人々が戦争から利益を得ることに対する非難の声を挙げた。ジョージアの議会は特別利益税を適用することでこれに応えた。1917年、米国連邦政府は過剰利益税を適用し、それは1921年までかたちを変え税率を増やしつつ続いた。第二次世界大戦時及び朝鮮戦争時に、連邦法によりこれは再開された。企業の平和時収入と比べたときの余剰あるいは一定の税率で税が課された。英国もまた1915年から21年に、40%から80%の余剰利益税を導入した。第二次世界大戦時、英国の余剰利益税は再導入され、税率は100%に増大した[余剰利益税を課すことで「国民」の不公平感を薄め挙国一致に向けて扇動する一助とするという側面は大いにあるので現在の文脈でこれを論ずることは米国市民社会/日本社会の異様さを見ると疑問なしとしませんが]。
現在米国議会では、上院議員の一部が、2003年のイラク再建契約法に疑似公開を導入し、契約の透明性をもたらそうとした[いずれにせよ不法占領軍と契約した企業の活動も不法ですが]。これは十分とは言い難いが、出発点ではある。より重要な動きとして、バークレー市議会は「イラクの米軍の活動及び/あるいはイラク「再建」を巡る全ての契約につき、余剰利益に高い税率を課す法律を上下院の議員に」求める決議を採択している[25]。
これは出発点である。
南部研究所は戦争不当受益者キャンペーンを開始して、イラクにおける死と破壊により利益を得ている企業に注目し批判する活動を行なっている。何百万ドルもの「再建」契約からブッシュ関係企業まで、そして浮上している石油や水などの産業の私営化により米/欧の多国籍企業によりイラクを支配させるといったものまでである[26]。
人々が組織的に要求していかない限り、米国でも海外でも、企業権力に終止符を打つ真の変化は起こり得ない。
イラクで行われた唯一の解放は、イラクの資源を米国企業に「解放」することである。イラクの資源を盗み取っていると同じ企業が、米国納税者のお金も盗み取っており、国外でも国内でも全てのものを私営化しようと目論んでいる。水から刑務所に至るまで。両国---イラクと米国(そして他の国々も)---ともに、企業に対して身を切り開かれている。ここ米国では、我々の道路は今はまだ軍が運営はしていない[日本でも有事法制のおかげで軍が運営する可能性が出てきましたが]。我々は検問で殺されもしない[一部の人々を除けば]。内戦の危機にも直面していない。そして、我々の多くが、どんなに忌み嫌おうと、イラクや他の所で略奪と殺害をまさに行なっている、この軍産議会刑務所複合体の守護者[27]であり続けている。
守護者として、この体制に反抗しよう。
ラニア・マスリは、南部研究所のプロジェクトである南部平和研究教育センターのセンター長。Iraq: Its History, People, and Politics (2003); Iraq Under Siege (2002); The Struggle for Palstine (2002)に寄稿している。メールアドレスは、戦争不当受益者キャンペーンの情報は、rania@southernstudies.orgから得られる。ノース・カロライナ州立大学から博士号を取得した。ベイルート生まれで現在ノース・カロライナに住む。
[12] Mark Forbes, "'Dumb' bombs used to topple Saddam," The Age (Melbourne, Australia), June 3, 2003.
[13] Simon Jeffery, "War may have killed 10,000 civilians, researchers say," Guardian, June 13, 2003. も参照。
[14] "Iraqis living in limbo struggle to keep hope alive," CARE, June 22, 2003, www.care.orgから入手可能。
[15] "One in five Iraqis suffers from chronic poverty: Survey," World Food Program, June 19, 2003, www.wfp.org から入手可能。
[16] Jim Krane, "U.S. announces creation of new Iraqi army," Associated Press, June 23, 2003.
[17] Humeira Iqtidar, "Celebration in Iraqi streets," Znet, April 23, 2003, www.zmag.org から入手可能。
[18] 例えば、 Stephen Shalom, "Iraq war quiz," Znet, March 26, 2003; "The corporate invasion of Iraq: Profile of U.S. corporations awarded contracts in U.S./British-occupied Iraq," U.S. Labor Against the War, June 15, 2003 を参照。www.uslaboragainstwar.org から入手可能。
[19] David Baker, "Debate rages over who will run Iraq's utilities. Privatization vs. public control emerges as key issue in shaping future of country," San Francisco Chronicle, June 8, 2003.
[20] Chris Kromm, executive director of the Institute for Southern Studies, contributed most significantly to this section on RTI.
[21] Baker.
[22] USAIDの歴史に関する手頃な背景説明としては、Communications for a Sustainable Future のウェブサイト csf.colorado.edu を参照。
[23] 「国務省筋は、イスラエルとの和平協定締結がイラク新政府にとって「優先順位のトップ」にあるものであり、チャラビはイラクがイスラエルを承認することについて議論したことが知られている」。 Ed Vuillamy, "Israel seeks pipeline for Iraqi Oil," Guardian, April 20, 2003.
[24] Hoomam Peimami, "In the pipeline: More regime change," Asia Times, April 4, 2003, www.atimes.com/atimes/Middle_East/ED04Ak01.html から入手可能。及び Akiva Eldar, "The pipeline to Haifa: Israeli minister dreams of Iraqi oil," CounterPunch, April 1, 2003, www.counterpunch.org/eldar04012003.html から入手可能。
[25] Cities for Peace Campaign については、citiesforpeace.org を参照。
[26] 戦争不当受益者キャンペーンについては、Institute for Southern Studies のウェブサイト www.southernstudies.org を参照するか、著者 rania@southernstudies.org に連絡して欲しい。
[27] 「体制の守護者」という言葉はハワード・ジンの言葉で、その著書 The Twentieth Century: A People's History の結論部に書かれている: "The prisoners of the system will continue to rebel, as before, in ways that cannot be foreseen, at times that cannot be predicted. The new fact of our era is the chance that they may be joined by the guards. We readers and writers of books have been, for the most part, among the guards. If we understand that, and act on it, not only will our life be more satisfying, right off, but our grandchildren, or our great grandchildren, might possibly see a different and marvelous world."