米国ブッシュ政権がイラク侵略を開始するかなり前から、米国企業は、イラク「再建」のおいしい契約のために列をなしていた。戦争と12年間の経済制裁により破壊されたイラクの「再建」に。「戦後」イラクで、ハリバートン社やベクテル社、カーライル・グループといった、ブッシュ政権と強いつながりを持つ企業が何千万ドルもの契約を得た中で、倫理問題と公益と私利の衝突を巡る疑問が起きている。
大ビジネスと政府の間の回転ドアは、ブッシュのホワイトハウスでは、いとも容易に描き出すことができる。イラク侵略の中心計画立案者リチャード・パールは、イラクと北朝鮮の紛争から利益を得ようと期待している諸企業から高給を受け取ってコンサルタントをしていたことが暴露された後、3月にペンタゴンの防衛政策会議の議長を辞任した。そして、国防長官になる前、ドナルド・ラムズフェルドは、1999年に2つの軽水炉原発を設計建築する2億ドルの契約を北朝鮮と結んだスイス企業の役員であった。
けれどもブッシュ政権における最もおぞましい公益と私利の衝突の例は、ディック・チェイニー副大統領のハリバートン社との関係に見られる。ハリバートン社はペンタゴンと定常的に仕事をしている石油サービス・建築企業である。1995年から2000年までチェイニーが最高経営責任者だったハリバートン社は、今年3月に、「戦後」イラクの油田の火を消す随意契約を手にし、また、5月に米軍が明らかにしたように、イラクの油田を運営し石油製品流通を担当する随意契約を得た。「行間を読む(ビットウィーン・ザ・ラインズ)」のスコット・ハリスがチャーリー・クレイにインタビューした。クレイは、シチズン・ワークスの企業改革キャンペーンを行っており、戦争不当利益をむさぼっているとして、ホワイトハウスと密接な関係を持ったハリバートンをはじめとする企業に対する告発を検討している。
チャーリー・クレイ:防衛政策会議には30人の委員がおり、そのうちの9人は、2001年から2002年に760億ドル以上の防衛関係契約を得た企業につながっています。4人がロビイストとして登録しており、一人は三大防衛契約企業の二つを代表しています。ですから、いわゆる公益と私利の衝突の問題があるのです。さらに大きな問題として、米国外交政策の表向きの基本が会議の委員の一部による私的行為によって反対されていないかどうかという問題があります。例えば、ディック・チェイニー副大統領の例を見ましょう。ディック・チェイニーは、ハリバートン社の最高経営責任者でした。頑固なヘンリー・ワクスマン下院議員(民主党・カリフォルニア州)によって明らかにされた話の一つは、ハリバートン社が、海外の子会社を通してイランやサダム・フセインのイラクとビジネスを行なったことです。これについてチェイニーが批判を受けましたが、彼は副大統領になった当初、あるいは候補だったとき、それを否定しました。その後これは本当のことだったことが証明されたのですが、彼は、恐らく、それは子会社の活動であり親会社はそれについてあまり知らなかったと述べることにより、その責任を逃れました。ここには、米国政府がテロリズムを支持していると考えている政権とビジネスを行っている企業がここにあるという偽善が存在します。
「行間を読む」:副大統領ディック・チェイニーは今でも毎年かなりの金額を、ハリバートン社から受け取っています。ハリバートン社は最近米国政府から大きな受注を受けました。ディック・チェイニーが今でも得ている報酬とハリバートン社が現在手にしている儲けの多い契約とについて説明してもらえますか。
チャーリー・クレイ:ディック・チェイニーとハリバートン社との関係は、11年前、チェイニーがブッシュ一世政権の国防長官だったときまでさかのぼります。当時、チェイニーは、国防省の作戦を契約私企業にサービスを行わせることによりもっと効率的に管理する方法はないかを調べるために、ハリバートンの子会社であるケロッグ・ブラウン&ルート社を雇ったことにより、ハリバートン社との関係を作りました。それから彼はハリバートン社で雇われて最高経営責任者になり、それによって、ディック・チェイニーのもとで、ハリバートン社は、国防契約企業第78位から、第17位の企業になったのです。それから、チェイニーは政府の職に復帰したのですが、ハリバートンとの関係を失ったわけではないようです。彼は、ハリバートン社から、毎年20万ドル近くの退職者報酬を受け取り続けています。
さらに、ほとんど知られていないことですが、副大統領オフィスは、2002年10月、ハリバートン社及び他の石油産業の代表達と、サダム後のイラクにおける石油生産を議論するために会議を開いているのです。これは、2002年10月、つまり、公式には戦争を開始するという決定は全く何も行われていないことになっている時です。この会議について、私たちは多くのことを知りません。1月16日にタデウス・ヘリックによってウォールストリート・ジャーナル紙で報道されましたが、政府はそんなことがあったことすら否定しました。国家エネルギー戦略の文書を公開しようとしないことと同様です。現政権とそれに深く結びついた企業との関係については、多くの秘密があります。特に、石油とガス産業関係です。政府には、石油とガス関係産業出身の約41人の上級メンバーがいます。例えば、コンドリーザ・ライスは、以前、シェブロン社所有のタンカーに彼女の名前が付けられていました。
「行間を読む」:ディック・チェイニー副大統領とハリバートン社との関係は、不正のように見えるだけなのか、それとも、あなたの調査では、それについて議会の調査を行うべき証拠があるのでしょうか。
チャーリー・クレイ:ディック・チェイニーとハリバートン社の間には、主として二つの系列の証拠に基づき、議会で調査を行う十分な証拠があると思います。第一は、1月16日にウォールストリート・ジャーナルが報じた記事で、副大統領オフィスがハリバートン社及び他の企業代表と昨年10月の段階で、イラクの石油計画を議論していることです。これは、イラクでのビジネスについて入札資格を持つ他の企業を除外した非公開での入札だったという証拠があります。では、何故この会議は非公開だったのでしょうか。この疑問に対しては答えが要求されています。
もう一つの証拠は、現政権、特にディック・チェイニーは、企業とあまりになれ合いの長期にわたる関係があることです。過去のこの企業の記録を考えるならば必要となるであろう、過剰費用請求に関する納税者向けの席に明確化がなされたという証拠はあるでしょうか。議員に対して、少なくともこうした公益と私利の衝突を調査する特別検察官あるいは調査官を設け、これまでのところワクスマンだけが追求してきた疑問に答えるよう求めていく時期だと思います。人々は、最低でも、より大きな途名声を求めることができますし、これらの契約を誰もが見れるように、ウェブに掲載すべきだと思います。
政府に近い石油等企業が、イラク侵略を巡る公の方針が発表される遙か前からイラク関係の暴利を得る相談をしていたことを巡る記事の二つ目です。一つ目については、こちらをご覧下さい。この記事、最後の部分で追求されているのが、公開入札/非公開入札という極めて技術的な側面だけである点には大きな違和感を感じました(米国内の文脈であるとしても)。不法侵略と不法占領の中での不法利益ですから、戦争犯罪・平和への罪といった大きな枠組みのもとで、こうした企業の不正利益は検討されるべきものでしょう。
この不法侵略と占領に荷担し、その流れの中で有事法制をごり押ししようとしている日本政府についても、反対の声を挙げる必要があると思います。。有事法制反対のイベントはここに、首相官邸への抗議のfaxは、03-3581-3883に、オンラインでの意見書き込みはこちらからできます。
なお、「見れるように」と、いわゆる「ら抜き言葉」を使っています(私が使っている仮名漢字変換プログラムは、ご丁寧に無意味に、これを指摘してくれました)。ら抜きの方が、使役・受け身・尊敬の曖昧性を形式的に避けることができる優れた表現方法だと考えるからです(というか、ホントは、したり顔で「ら抜き言葉はいかん」というようなオヤジは単にイヤ・・・私もオヤジですが)。