準軍組織に耳よりのニュース:大統領の再選が可能になった
マリオ・A・ムリージョ
2005年10月24日
コロンビア・ジャーナル原文
コロンビア司法の最高組織が大統領再選を可能にする法律の合法性を認めたため、アレヴァロ・ウリベ・ベレスの支持者たちは、この強行な保守派の人物をさらに4年間大統領宮にいさせるために、キャンペーンを開始し、今こそこの国を変えるときだと主張している。彼らは、最近の世論調査で大統領支持率が78%にのぼることや、2002年にウリベが政権の座に就いて以来、公式の誘拐と殺人率が減ったことを指摘する。コロンビア憲法裁判所は10月19日、賛成6反対3で、数ヶ月にわたって続いていた政治的曖昧さに終止符を打ち、大統領再選を認める法律を承認したことは議会の権限内のことだと裁定した。とはいえ、議会が憲法を好きなように変えることは認めなかったが。
ウリベ大統領はこの裁定に喜び、「民主主義への重要な一歩」と述べ、州知事や市長の再選を可能にする同様の措置を支持すると述べた。憲法裁判所の裁定により、選挙戦シーズン----それは2006年5月の大統領選で最高潮に達する----に向けて早々とキャンペーンを開始することが可能になった。ウリベの支持者も反対派も、何ヶ月も前から論点を準備してきた。
コロンビアの報道は、しばしば、大統領が一方で右派準軍組織と交渉し、他方で左派ゲリラと軍事的に向き合うことで、コロンビアの多くの地域に治安をもたらしたと評価する。この一見して成功に見える状況をワシントンは歓迎している。ワシントンは2000年以来、40億ドルをコロンビアに投資してきた。しかもそのほとんどは、軍事・治安の支援に向けられていたのである。
けれども、事態がそんなにうまくいっていると皆が思っているわけではない。ますます多くの人権活動家や野党政治家、労働組合員、農民や先住民指導者たちが、ウリベに対抗しその政策を批判する声をあげているだけではなく、開発と安全そして最も重要な問題としての平和について、別の方法を提示している。
「現在、一日あたり165万米ドルが、プラン・コロンビアを通じて米国からコロンビア軍に流入している」とマヌエル・セペダ基金の代表を務めるイヴァン・セペダは言う。この基金は、1994年に準軍組織に殺された彼の父で元上院議員の名を冠している。「戦争ではなく、代替となる生産的な開発に投資する必要がある」。
セパダは、犠牲者の権利を擁護する大規模な運動の主導的存在として、とりわけウリベ政権とコロンビア自警軍連合(AUC)の間で進められている交渉を憂慮している。AUCは、過去15年間に民間人に対する何百もの虐殺を加え、2百万人以上の人々を強制的に追放してきた組織である。この数ヶ月、テレビカメラの前でAUCの兵士たちが武器を置くセレモニーが多数宣伝されたが、コロンビアの主要日刊紙エル・ティエンポは、10月16日の記事で、別の地域で新たな準軍組織が姿を現していると述べている。そうした組織では、若者たちが、解散プロセスに参加した指導者たちにかわって指導的立場についている。
「下級の兵士たちが武器をいくつか拠出することだけが平和ではない。これらの人々を裁判にかけ、また、再び武器を取らないような手だてが講じられなくてはならない」とセペダは語る。彼は、政府は「準軍組織の解散計画を泥縄で作っている」だけで、AUCの指導者たちに法的保護を提供する一方で元準軍組織の戦闘員にはそれに代わる真の道を提供していないと批判する。
準軍組織が制圧を続ける具体例の一つは、コロンビア南部のアマゾン地域にあるグアヴィアレ州である。グアヴィアレ州の州都サン・ホセで10月1日に開かれた毎週の市庁舎での大統領会見で、グアヴィアレ出身の独立派コロンビア下院議員ペドロ・アレナスはウリベに対し、サン・ホセの町を制圧する準軍組織がコミュニティ指導者たちの暗殺や強制失踪を続け、また、ほとんど毎日のように強請をしていると批判した。
「豚を一頭飼っていたら、彼らは5000ペソ(約2ドル)を要求する。鶏を何匹か飼っていたら、一匹につき2000ペソ。彼らはほとんどあらゆるものに税を課す」。アレナスは、全国放送されている中で大統領にこう言った。大統領の「民主的治安」政策に言及しながら、アレナスは、そんなものはこの州には到達していない、「というのも、準軍組織が町を制圧し、地元組織に侵入して、人々を常に服従させているからだ」と指摘した。
その翌日、アレナスをはじめとする「独立コミュナル/コミュニティ運動」の党員数名が、地元準軍組織の指導者ペドロ・オリヴェリオ・グエレロ・カスティージョから殺害脅迫を受け取った。カスティージョは「クチーヨ」すなわち「ナイフ」というあだ名で、AUCのグアヴィアレ・ブロックの指導者として悪名をはせている。グアヴィアレ・ブロックは現在、政府との交渉に参加していない。
ウリベ大統領はアレナスの批判を受けて「クチーヨ」への逮捕状を発行したが、3週間近くたってもこの準軍組織指導者は自由の身でいる。米国の議員や人権組織と面会するために最近訪れた米国で、アレナスは次のように言っている:「これは典型的なウリベのやり方だ。この大統領はみんなの前で治安オフィサたちに不法組織を追求するようにと述べることで、準軍組織に逃げ隠れのための時間をたっぷりと提供する」。
裁判所の裁定により、ウリベがもう4年大統領を務める可能性が高まったため、このやり方は続く可能性が高い。ウリベに有利な世論調査結果にもかかわらず、それでもアレナスのような反対派の指導者たちは、ウリベが二期目の就任準備をするのは早すぎると考えている。「キャンペーンはまだ実際に始まっていない。ウリベの政策について多くの矛盾をオープンに議論できるなら、支持率は低下し始めるだろう」と彼は語った。
マリオ・A・ムリージョはホフストラ大学コミュニケーション学部の助教授で、ニューヨーク・シティのWBAIパシフィカ・ラジオで「おはようコール」のホスト。Colombia and the United States: War, Unrest and Destabilization (Seven Stories Press, 2004) の著者。
準軍組織がコロンビア軍と密接に関係し、コロンビア軍の望む「汚い仕事」をやるための代理軍となっている側面については、米国ジョージワシントン大学の国家安全保障アーカイブのコロンビア・プロジェクトで最近、一次文書も含めて重要な資料が公開されました。
日本では、いろいろなイベントや出来事があります。
■コンサート:今、フィリピンで起こっていること!
イラク情勢などの大きな事件に紛れ報道される機会がほとんどない中で、フィリピンの人権状況が極度に悪化しています。今年だけでもジャーナリスト、人権活動家や学生、聖職者など、60人以上の人々が、権力によると思われる暴力の犠牲となって亡くなっています。アジアでの対テロ戦争を煽るアメリカの尻馬に乗る形で、アロヨ政権は、「テロ勢力の根絶」の名の下に、民衆の人権擁護を要求する勢力を弾圧し、財政危機にある政権の延命を図っているのです。特に地下資源が豊富なミンダナオでは、沖縄からの米軍海兵隊500人以上が常駐し、事実上戦闘の指揮を取りつつ、資源の確保と基地の恒常化を狙っています。9.11以降、アジアで、フィリピンで、起こっていることを是非知って欲しい!そういう思いでこのコンサートを企画しました。戒厳令時代から、フィリピンのプロテスタント・ソングを作り、歌い続けてきた伝説の歌手、ジェス・サンチャゴが駆けつけてくれることになりました。彼の深い歌声と共に、アジアの今、そしてこれからを一緒に考えませんか。
出演者:ジェス・サンチャゴ
生田 卍 & S0-SO
※ 貴重な映像資料なども用意しております。
日時:10月29日(土) 開場 13:30 開演 14:00 終演 17:00
会場:聖アンデレ教会 港区芝公園3-6-8
(地下鉄日比谷線神谷町下車徒歩3分、東京タワー前)
チケット 1500円(当日、会場での販売のみ)
主催 生田卍
協力 日本キリスト教協議会 (03-3203-0372)
ジェス・サンチャゴのプロフィール
1950年マニラ北方ブラカン州生まれ。詩人、歌手、作曲家、執筆家。フィリピンで広く歌われる民衆歌「ハリーナ」の作曲者としてつとに有名。マルコス戒厳令下での地下音楽活動を指揮。現在も社会変革運動の先頭に立ち、歌い続けている。
■11・20プーチン来日を問う 虐殺と抑圧
ロシアと日本に侵略される人々
チェチェン・アイヌ民族の歴史を知る、上映&トーク集会
来る11月20日、ロシア大統領プーチンが来日します。ロシアのチェチェン共和国では、第1次戦争(1994〜96年)と第2次戦争(1999〜現在)によって、すでに20万人以上の民間人がロシア軍によって殺され、3万人以上が行方不明になっています。一方、日本政府は今回のプーチン来日・日ロ首脳会談を通じて、北方諸島の再併合にむけた「領土交渉」を行おうとしていますが、そこには先住民族であるアイヌの権利を尊重する姿勢はまったく見られません。私たち「プーチンはチェチェン戦争をやめろ!11.20デモ実行委員会」は、プーチン来日に先立って、ロシアと日本に翻弄されてきたチェチェンとアイヌという二つの少数民族の歴史を知るための上映&トーク集会を開催します。ぜひお誘い合わせの上、お越しください。
関連HP:http://blogs.yahoo.co.jp/anti_putin/
日時:2005年11月2日(水)18:45〜21:00
場所:烏山区民センター 3階 集会室
東京都世田谷区南烏山6-2-19
03-3326-3511
京王線千歳烏山駅東口徒歩1分
地図:こちら
参加費:500円(資料代)
定員:200名
参加の条件:初心者歓迎
主催:プーチンはチェチェン戦争をやめろ!11.20デモ実行委員会
申込:事前のお申し込みはご不要です
問合・申込先:プーチンはチェチェン戦争をやめろ!11.20デモ実行委員会
電話:090-9846−3869
メール:kano74@peach.ocn.ne.jp
HPアドレス:http://blogs.yahoo.co.jp/anti_putin/
■障害者自立支援法という名の自立妨害法が採択されかねません
こちらに簡潔に問題点をまとめた記事があります。また、コメントはこちらをご覧下さい。とても大ざっぱにいうと、この法案は、たとえば1日1時間でも支援がないと生きていけない人に対しても、一律支援の上限を区切ってしまうような乱暴なもの。
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■STOP!!憲法改悪暴走
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