コロンビア:悪化する治安状況
ギャリー・リーチ
2005年2月7日
コロンビア・ジャーナル原文
アレヴァロ・ウリベが大統領になった最初の一年、米国政府とコロンビア政府の関係者そして主流派メディアは、ウリベ新政権の「民主的治安」戦略の「成功」を吹聴した。彼らは、殺害や誘拐、強制移送が減ったことを競うように指摘し、軍が主導権を握ってゲリラが敗走していると主張した。ところが、こうした昨年のPRキャンペーンとは全く対照的に、政府関係者と主流メディアはコロンビア内戦をめぐる最新の統計を論ずる意欲がほとんどないようである。ちなみに、最新の統計は、この1年でコロンビアの状況が劇的に悪化していることを示している。
先週コロンビア革命軍(FARC)ゲリラがコロンビア軍に対して加えた二件の大規模な襲撃によりコロンビア軍兵士23人が殺された。この襲撃は、FARCが今も大きな軍事的脅威となりうることを示すものだった。実際、FARCが守勢に回っているというワシントンとボゴタの主張は、ウリベ大統領の最初の2年間に、前任者アンドレス・パストラナ大統領任期のどの2年よりも多くの攻撃をゲリラが行っているという事実により反駁されている。ボゴタに本部を置く防衛シンクタンクである治安民主主義財団(FSD)によると、FARCは2004年平均一日二回コロンビア治安部隊を攻撃しているという。
コロンビア地方部での紛争規模はまた、暴力により強制的に追放された農民の数が増えていることからも示されている。ボゴタを拠点とする人権・移送コンサルタンシー(CODHES)は、最近、2004年に28万7581人のコロンビア人が強制的に追放されたと発表した。2003年に自宅から強制追放された人数20万7607人と比べて38%もの増加である。これらの数値は、都市部の住民は以前より安全に感じているかも知れないが、地方部の生活は暴力により荒廃し、一日平均780人が強制的に家を追われていることを示している。
そして、誘拐は減少傾向にある----ワシントンとボゴタはこの点を繰り返し指摘して、ウリベ大統領の政策がコロンビアの安全を向上させていると主張する----が、強請が劇的に増えたことについてはほとんど注意が向けられていない。誘拐が2002年の2986件から2003年に2200件へと26%減ったことを指摘する政府と主流メディアは正しいが、一方で政府も主流メディアもこの減少が、2003年には強請が2271件と前年比22%上昇したことでほぼ相殺されてしまっているという事実を無視していると、ボゴタにある自由祖国財団(FPL)は語る。
犯罪者集団とゲリラは、単に、誘拐して身代金を要求する代わりに、強請の代金を支払わないと殺すと脅迫したり、ゲリラの用語で言うと「戦争税」を払うよう脅す戦略に切り替えているだけである。コロンビア国家警察のウムベルト・ガティボンサ大佐が指摘するように、「その方が誘拐よりもはるかに簡単である。電話をとって脅迫し、脅して要求を突きつけ、電話を切るだけなのだから」。
政府関係者と主流メディアはまた、コロンビアで強制失踪が増えているという不穏な情勢をほとんど無視してきた。ウリベ大統領の任期最初の2年間に3500人異常が「失踪」した。これはそれ以前の7年間の「失踪」者数の合計よりも多い。「拘束・失踪者家族協会」(ASFADDES)によると、失踪の大多数を行っているのは右派準軍組織とコロンビア国家治安部隊であるという。
ASFADDESのグロリア・ゴメス報道官は、アルゼンチンの「汚い戦争」時のよりよく知られた事件と比べてコロンビアでますます増えている強制失踪の問題に国際的な注目を集めるのははるかに難しいと語る。「アルゼンチンでは」「人々の悲劇は短期間に起き、軍服を着た軍事臨時政権のイメージは、国際的な反感を引き起こすことを容易にした。一方コロンビアの専制支配はスーツを着てネクタイを締めており、民主的に選ばれた」と彼女は言う。
ウリベ大統領のイージーな「成功」の多くが今逆転しているという事実はほとんど気付かれていないようである。ワシントンとボゴタの政府関係者は、主流はメディアとともに、ウリベ大統領の就任後1年間でコロンビア内戦で政府は優勢となったという気持ちの良い物語を人々に垂れ流してきた。コロンビアの安全状況が悪化している現在、その同じ声は何故か沈黙している。
■「難民問題緊急レクチャー」があるそうです:
日時:2005年3月5日(土)14:00〜16:00(13:40受付開始)
場所:マイクロソフト株式会社 17階セミナールーム1
(東京都渋谷区代々木 2-2-1小田急サザンタワー)
http://www.asia.microsoft.com/japan/presspass/MAP/shinjuku.aspx
交通:新宿駅南口から代々木方面へ徒歩3分
*オフィス用のエレベーターホール(2階)のドアが
閉まっていますので、誘導員に従ってください。
内容:
「日本の難民認定基準と国際基準の違い」
「国連マンデート難民の強制送還に含まれる問題点」
「送還の背景となった本国調査の問題」
講師:本間浩氏
(法政大学教授(国際法専門)。日本の難民認定制度の
立案から携わる第一人者、難民支援協会上級顧問。)
参加費(資料費込):¥1,000
(当協会会員・難民サポーターの方は無料)
お申し込み:
以下のメールアドレスに、タイトルを「緊急レクチャー
参加希望」とし、お名前、ご連絡先、レクチャーで聞き
たいこと、および、会員/サポーターの方はその旨をご
記入のうえ、お申し込みください。
申込みメールアドレス:bosnian@goo.jp
締切:3/4(金)12:00まで
【注意】会場のセキュリティにより申込をされていない
方の当日参加はできません。ご注意下さい。