米国はアラウカで「対テロ戦争」を支援

ダン・コヴァリク
2004年10月28日
コロンビア・ジャーナル原文


米国大統領選を通して、「対テロ戦争」が大きな議論の的となっている。この議論はほとんど常に中東、イラクとアルカーイダを扱っている一方で、ワシントンが現在進めているコロンビアでの戦争についてはほとんど言及がない。こちらの対テロ戦争で、米国はコロンビアの人々にテロを加えている軍を支援しているのである。実際、多くの人権団体の反対を無視して、米国議会は、現在コロンビアにいる米兵数を400人から800人に倍増させることを承認することにより、コロンビアにおける米国の役割をさらに強めた。こうした米軍の関与に加えて、2000年以来米国はコロンビア軍に35億ドル以上を提供しており、これによりコロンビアは米軍援助のうけとり手として世界第三位になっているのである。

私はコロンビアのサラベナから戻ってきたばかりである。サラベナはアラウカ州の重要な石油産出地域に位置する小さな町で、コロンビア駐留米軍の大部分はこのサラベナにいる。米軍兵士たちは、コロンビア軍第18旅団の一部隊がいる基地の内部で生活している。米軍は、コロンビア軍のこの旅団に、米軍が「対テロ」と呼ぶ技術を教え、また、オクシデンタル石油のパイプラインを防衛する方法を教えている。オクシデンタル石油はアラウカで操業する米国企業である。実際、米国は最近、コロンビア軍第18旅団にパイプラインを防衛させるための装備のために、9900万ドルを割り当てた。

しかしながら、第18旅団は、民間人に対する人権侵害で悪名をはせている旅団である。最近第18旅団が犯した最もあからさまな侵害の例として、2004年8月5日の労働組合指導者3人の暗殺、そして同じ日の労働組合員2名の拘束があげられる。コロンビア軍は、3人は軍との銃撃戦で殺されたと主張するが、コロンビアの検事総長はそれは真実ではなく、3人の労働組合指導者は非武装であり、冷血に殺されたものであると結論した。

サラベナで、私は第18旅団の部隊長であるメディナ大佐と会い、彼の管轄下にいるコミュニティ・リーダーたちの命について憂慮を表明した。大佐は、この地域の労働組合員と社会指導者たちはゲリラであるとの見解を語った。これはコロンビア軍の典型的な見解で、コロンビアの人権侵害を伝えるアムネスティ・インターナショナルのような重要な人権組織だけでなく米国国務省からさえ真実ではないと言われているものである。

アムネスティ・インターナショナルが最近述べているように、コロンビア軍は、「人権を擁護する活動家をはじめとする民間人に皮相な刑事調査を行なっている。こうした方略は、ゲリラ活動に参画していると非難することで人権擁護活動家や社会活動家の信頼性を失わせ、準軍組織による攻撃対象として大きな危険にさらさせるためのものである。調査により人々が実際に犯罪行為を犯したことの証拠が見つかったかどうかには関わりない」。軍の第18旅団が2002年、伝統的な祭りの際に2000人の民間人を狩り出して拘束した事件は、同じ報告で詳述されているこうした戦略の悪名高い例である。拘束された人々の中には、「サラベナの人権活動家のほとんどと、著名な労働組合員をはじめとする社会活動指導者たち」が含まれていた。

サラベナで起きていることが例外なのではない。米国国務省でさえ、コロンビアの人権状況は劣悪であり、労働組合員をはじめとする社会活動家が恐るべき比率で殺されており、その殺害のほとんどは、米国が記録的な規模で援助を与えているコロンビア軍と密接に結びつき協力関係にある準軍組織により行われていると結論している。特に労働組合員の状況を取り上げてみると、昨年コロンビアで暗殺された労働組合員は94人である。世界中で殺された労働組合員の数は123人である。すなわち、ここ数年の例にもれず、世界中で殺されている労働組合員のうち約75%はコロンビアで殺されているのである。

大佐と話をするためコロンビア軍第18旅団の基地に行ったとき、私に随行していた地元自治体のメンバーは私に「今やオオカミの口に入っているのだ」と警告してくれた。サラベナで出会った人々の間では、コロンビア軍は鶏小屋の番をするオオカミのようなものだという見解が広まっていた。地元の労働組合連合、人権弁護士たち、コミュニティが運営する浄水場の代表、ウワ先住民の副代表は、全員が、サラベナの路上では民間人よりも多くいる兵士たちは民間人を守るためにいるのではなく、石油企業を守るためにいるのだと述べている。

そして、これには十分な証拠がある。例えば、オクシデンタル石油の開発のために、コロンビア軍はウワの人々を土地から暴力的に追い出そうとした。軍はまた、オクシデンタル社と協力して、サント・ドミンゴの小さな村を爆撃し、その過程で17人の民間人を殺した。

実際、アムネスティ・インターナショナルが報じたように、アラウカでの暴力は、石油利益を理由としそれによって引き起こされたものであり、コロンビア軍が米国の支援を受けて石油利益を防衛しようとしていることによる。その結果、人権状況は世界でも最悪の一つとなっている。良心を有する人々は、石油利益を守るために、人々にテロ攻撃を加えているコロンビア軍を我々の国は支援すべきかどうか、自問すべきであろう。

悲しいことに、この問題は、米国大統領選の年にもかかわらず、議論の対象にすらなっていないのである。

ダン・コバリクは米国鉄鋼労働者連合(USWA)の副評議員。


「しかしながら、第18旅団は、民間人に対する人権侵害で悪名をはせている旅団である」。

米軍の侵略後、イラクでは侵略前の状態では死なないですんだはずの10万人もの人々が殺されたことを考え、また、米州軍事学校(SOA)で米軍が訓練した部隊は中南米で最悪の人権侵害を行なってきたことを思い起こすと、ここでの「しかしながら」は、「予想されるとおり」の方が論理的には妥当だと考えられます。

新潟中越地震のボランティア関係や募金情報などが、新潟県災害救援ボランティア本部HPにあります。赤十字社はこちら。義援金詐欺も横行しているようですので注意が必要。

曾野綾子先生は、「台風 教育のチャンス 利用を」の中で、「お弁当なども行政は配る必要はない。天気予報を聞くことができるシステムがあるのだから、自分で歩けない老人や障害者は別として、避難する時、食料は自分で持って来るのが世界の当然だ」とおっしゃっています。イラクを占領している米軍様にお弁当を提供している米国にも、同じことをおっしゃっているかと探してみましたが、そちらはありませんでした。

教育は、本質的に準備的要素を持つものなので、実際の事件を「教育のチャンス」と述べるのは、単に教育における構成力と想像力の不在を実質的に容認することと表裏の関係にあります。当然、論ぜられるべきなのは、行政を中心に(当然です:そのために行政はあるのですから)災害への準備がきちんとなされているかどうか、です。現場のレスキュー隊員等のがんばりとは別に。それにしては、曾野先生のご意見には、行政への呼びかけはありません。

イラクで拘束されていた香田さんが殺害されたようです。詳しいことはシバレイさんのブログをご覧下さい。

多少こじつけですが、日本政府は、新潟中越地震でも香田さん拘束でも、納税者を守る義務をほとんど放棄しているようです。自衛隊のイラクからの即時撤退を要求する緊急声明がありました(少し前のものですが)。

The Nose that Knowsという英日混交の奇妙なブログを見つけました。犬が書いているので、英語も日本語も、少し妙ですが、乱暴に面白いブログです。
益岡賢 2004年11月2日

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