FARCは地方政府職員たちを標的にしている

2002年6月24日
ギャリー・M・リーチ
コロンビア・ジャーナル原文

この数週間の間に、150名以上の地方政府職員が、コロンビア革命軍(FARC)の脅迫を受けたために辞任した。FARCは、多くの地方部から政府を撤退させようとして、新たな政治暴力を導入した。右翼準軍組織の対応や、新たに指名された内務大臣、そしてゲリラが生み出した権力の空白に関する軍事アナリストの見解から、この最近の危機は、コロンビア地方部のさらなる軍事化と暴力の激化につながると予想される。

6月21日、東部アラウカ州の97名の市長や市議会議員が、FARCから殺害脅迫を受け、集団辞任した。これは、同様の脅迫で辞任したアンティオキア州の23名の市長たちの後に続くもおであった。FARCはこの、地方政府職員に対する脅迫キャンペーンを数週間前に開始した。最初は、コロンビア南部の、カクエタ、カウカ、ウイラ、プツマヨ州で、大統領に選ばれたアレバロ・ウリベを支持した職員たちを脅迫することからこのキャンペーンが開始された。その結果30名以上の市長が辞任し、その多くはそれらの地から逃げ出した。

ボゴタの政府筋は、地方政府関係者を保護することができないにもかかわらず、地方政府職員に対し、脅迫を無視するよう要請した。政府が地方政府職員を守ることができないという事実は、過去18か月の間に、14名の市長が殺害され、16名が誘拐されたことからもわかる。FARCはまた、コロンビア南部の行政区で、公務員も脅迫している。これにより、500名が仕事を辞めた。

アラウカでは、FARCの作戦に対し、右翼準軍組織コロンビア自衛軍連合(AUC)が、辞任した地方政府職員はすべて「軍事標的」と見なすと宣言することで応えた。この間に挟まれた地方政治家は、辞任して亡命する以外に選択の余地はなくなったのである。軍事分析家の中には、それによって生じた空白のポジションを、軍人が埋めるべきと示唆するものもいるが、その合憲性は疑問である。

ウリベが指名した内務司法相フェルナンド・ロンドノは、最近、新政府が発足したら、非常事態宣言を発令できるよう憲法修正を検討すると発表した。ロンドノはFARCが最近進めている地方職員を標的とする戦略について言及しなかったが、それを非常事態宣言を正当化するために用いる可能性は高い。それによりどのような自由が制限されるのか問われたロンドノは、「必要なすべてが。すべてが。絶対的な権利などというものは存在しない。権利と公共の自由にリストされるものはすべて、治安維持のために制限される可能性がある」と述べた。

ワシントンでもまた、多くの政府関係者が、最近のFARCの戦略を指摘し、コロンビアにさらなる米国の軍事支援が必要だと述べている。しかし、軍事援助増大は、10000人以上の戦闘員を要する右翼準軍組織と、合計20000人以上の武装戦闘員を要する2つの左翼ゲリラグループが関与する戦争に軍自身がさらに深く入り込むことにつながるだけである。すなわち、暴力の社会経済的原因を無視して、米国が軍事援助を与えることにより、勝者なしの戦争を激化させるだけである。

そして、いま再び、激化する内戦で犠牲となるのは一般市民である。ウリベが選挙で勝利したため、FARCは攻撃を激化させたが、一方、準軍組織はそれに対して、一般市民を脅迫することで対応している。そして、8月7日に新政権が発足したら、ウリベと米国ブッシュ政権の友人たちが自制を示すと信じるものはほとんどいない。その結果、暴力のさなかで生き続けることを余儀なくさせられる、地方に住むコロンビア人たちにとって未来は明るくない。


  益岡賢 2002年6月25日

一つ上へ] [コロンビア・ページ] [トップ・ページ