自治労音協通信553

自治労音協通信

　3面　　NO55号／2004.12.19発行

第１４回中央大交流集会文化班：報告

^*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~

「アロハーズ」初出演／文化班は日本昔話　桃太郎　男女共同参画バージョン」を上演

第１４回自治労青年女性中央大交流集会は７月２４～２６日、全国から３０００名が集まり、山梨県「泉郷」で開催されました。
文化交流はアロハーズをメインゲストに「ピースライブ」ということで、今年なかまのうた入選の前田まゆみさんがボーカルを担当、ギターを西藤さんが担当、息のあった演奏で参加者の拍手を浴びた。
文化班は日本昔話　桃太郎　男女共同参画バージョン」を上演、ナレーションと替え歌進行をウエストピーチの桃井さんと西藤さんが受け持ち、岐阜から初参加の　　さんのお祖父さんと、お婆さん役の前田さんのメリハリある台詞回しで日本昔話をジェンダーの視点でとらえかえした桃太郎の昔話から引用した、仕事と家庭での男女の役割分担について、問題提起する内容となった。

文化班構成詩
「日本昔話　桃太郎　男女共同参画バージョン」

（ナレーション）むかーし昔のことでした。ある所に、お婆さんとお爺さんが住んでおりました。ある日のこと、お爺さんがいつものように山へ柴刈りに行こうとするときの事でした。
婆「たまには私も山へ行きとうございます」
爺「どうしたんだ、急に」
婆「いつもいつも川で洗濯ばっかりﾉ。私は洗濯するために生まれてきたのではございません。どうして私もいつもいつも洗濯なのでございましょう、どうして柴刈りに行ってはいけないのでしょう」
爺「しかし、女のお前が洗濯し、男のわしが柴刈りをすることで、今まで何十年もずっとやってきたんじゃないか」
婆「その何十年が、なんだか急にむなしくなったのです。他の生き方もあったのではないかと」
爺「ﾉしかし、お前は女だ。男とは体の大きさも、出せる力も違う。男と同じには働けないのは当然だ。やっぱり、女には女にふさわしい仕事があるはずだ」
婆「確かに私はあなたより背は低いし、力もないかもしれません。でも、小枝を払ったり枯れ枝を拾ったりする柴刈りという仕事に、それがどれだけ致命的な要素でしょうか。男でなければならないという必然的な根拠がございますか。できるかできないか、適性を確かめてみる前に、女だからという理由だけで判断してしまうのは大きな錯覚だと思いませんか」
（ナレーション）とうとうお爺さんは一日だけ役割を交代してやることにしました。実際にやってみれば、やっぱり洗濯のほうが楽だと言うに違いないと考えたのです。男の仕事を甘く見てもらっては困る、という思いもどこかにありました。
（お婆さん、背負子を持って出かける、お爺さん、タライを持って出かける）

（曲挿入・桃太郎の歌の替え歌)

(お爺さん、家に帰ってくる)
爺「川の水は冷たいし、水を含んだ着物は思いし、しゃがんだままで腰が痛い。参った、参った」（お爺さん、腰をとんとんたたく）
爺「しかし、川を流れて来た桃は大きかった。岸にあげたのはいいのだが、あの大きさでは男のわしでも運べない。あれがあれば夕飯の支度をしなくて済むのだが、どうしたものか」
（お婆さんが背中に枯れ枝を背負って帰ってくる）
婆「運ぶにはさすがに力がいるのではと覚悟していたのですが、しょせん枯れ枝ですね。女の私でもいつもと同じだけのものを運べました。」

（ナレーション）お爺さんの「男の誇り」はまたもや打ち砕かれてしまいました。
さて、桃の話をすると、お婆さんは。
婆「でしたら、小さく切ってから運べばよいではございませんか」
（お爺さんショックを受ける。お婆さんは包丁とまな板を持って退場。お爺さん、お婆さんの後をしょんぼりしてついて行く。）

（ナレーション）お婆さんが包丁を入れると、中から、おぎゃあと元気な女の赤ちゃんが現れました。二人は思わず顔を見合わせました。二人はこの子に[桃子]と名づけることにしました。

(曲挿入・桃太郎の歌の替え歌)

（ナレーション）桃子を連れて帰った翌朝、お爺さんが山へ行こうとすると、お婆さんが袖を引いて言いました。
婆「待ってください、私が一人で育てるのでございますか」
爺「一人ということではないがﾉ主に、お前に、育ててほしい」
婆「どうしてでございますか」
爺「どうしてってﾉやはり、子供は女が産むものだし、おっぱいも女にしかﾉ」
（お爺さん、桃子はお婆さんが産んだわけでないことに「はっと」気づく）
爺「いや、たとえ、自分の子ではなくても、おっぱいが出なくても、女には、何ていうか、子供がかわいいっていう、母性ﾉ」
婆「あなたは、かわいいと感じないのですか」
爺「いや、そんなことはﾉ」
婆「でしたら、女も男も変わりはないではございませんか」
爺「そ、そうかなﾉ」
婆「しかも貴族の方々は、子どもは皆、母親ではなく乳母（めのと）が育てますもの。生みの親でなければならない必然性はございませんでしょう。お乳の代わりになるものがあれば、育てるのは男だって構わないのではございませんか」

（ナレーション）お爺さんは、またまた言い負かされてしまいました。
こうして、お婆さんとお爺さんは相談しながら二人で桃子を育てることにしました。柴刈りは交代で出かけ、洗濯や炊事は、その日その日で都合のつく方が行います。
　長い間の暮らしぶりが急に変わったので、二人とも大わらわでした。それでも、日ごとの桃子の成長がお婆さんとお爺さんの励みとなっていました。めでたし、めでたし。

　この構成台本は、静岡県の教師が男女参画、ジェンダーについて日本昔話を脚色した内容で作った物語「一寸ちゃんが行く」から脚色し台本を作成いたしました。原作者にお断りした上で上演させていただいたものです。

●２００５年度日音協総会報告

第３８回はたらくものの音楽祭４月２３～２４日、青森県八戸市公会堂文化ホールで開催！決まる

自治労音協事務局長　松本敏之

　日音協は１９６４年に当時の総評系労働組合、とくに全電通、全逓、全林野を中心に結成され、会員労組の財政的組織的支えの中で４０年活動してきました。しかし、労働組合の組織率の低下などを背景に、ここ１０年間で全電通、全たばこ、全日通が日音協を脱退、今年また全逓が脱退しかわって全逓全国音楽協議会（音楽活動家の自主的組織）が加入する事態になりました。労組会員の会費も引き下げを繰り返し、機関紙『音楽運動』も減部を続けています。日音協そのものの存続すら危ぶまれる中で、運動を継続していくにはどうしたらいいか、問われる総会でした。
昨年総会で、財政・組織運営などの基本部分について大幅に見直すことが提案されました。その内容として、８月の全国代表者会議で、「日音協個人会費は中央に納めずに支部で使う。音楽祭と機関紙の抜本的な見直し」と提起されていました。
　このことに対して、東京など４都県支部の代議員から修正案が提案され、議論になりました。修正案は「個人会費は支部に、中央事務局は単産会費とその他事業費、という『財政二元化』案では、日音協の中央機能である、機関紙『音楽運動』の発行と『はたらくものの音楽祭』の開催の、維持、継続が困難となる」というものです。原案支持の発言が２人、修正案支持の発言が４人、支持を明らかにしない発言が１人ありましたが、いずれも日音協の今日の困難な事態を会員全体の認識として、組織財政の強化とそのための支部での運動の必要性を訴えるという点では一致していました。討論を踏まえて、天羽事務局長が「原案は『二元化』の是非も含めて１年間議論しようというもの。音楽祭と機関紙は日音協の根幹であり、組織の基本は加盟単産と地方支部である」と発言、あわせて原案の一部字句修正を提案し、修正案は取り下げられました。
　そのほかに、「年に一度の都支部コンサートに加えて、平和のうたを一般の人に届ける路上コンサートを４回開催」（東京）、「反核コンサートのほか、戦争への道を許さない女たちの会、原爆の絵展、津田沼駅前広場など、路上でも演奏している。多いときは２００人の人が立ち止まって聞いてくれる」（千葉）、「関東ブロック合宿を日立で開催し、野外コンサートも」（茨城）、「集会公演費がはいって、中央への未収金を解消できる。東北北ブロック合宿には、新潟の吉川さん、福島の安西さんに来てもらい、刺激になった」（青森）、「有事関連法案、イラク自衛隊派兵に対して、連合などの集会で何回もうたっている。デモで、日音協がギターで伴奏しながら、うたって、街宣車から参加しませんかと呼びかけた。母と女性教師の会の集会で、教育基本法を構成詩にして上演、中央の教育文化フォーラムでも再演した」（岩手）、「出前演奏で、労働組合、市民団体から２つ、３つ声がかかった。富山、長野、石川合同で合宿をしている」（長野）、という報告があり、「地方支部が常に新しい音楽仲間を含めた活動を展開しよう」という議案を補強する形になりました。具体的な活動としては、第３８回はたらくものの音楽祭を４月２３日から２４日まで、青森県八戸市で開催することになりました。費用の一部を、１団体１万円の分担金でまかなうことにしました。青森県支部から企画書案が示され、これを基本に各県支部（労組音協）から意見をもらって準備をすすめることになりました。さらに、ブロック合宿、日音協セミナー、全国代表者会議、演奏活動（音楽現場）、創作活動も提案、決定されました。
　最後に、野田理事長、天羽事務局長をはじめとする役員体制を選出して、総会は閉会しました。
自治労の代議員として、登坂青年部長と自治労音協事務局長の松本が出席しました。両代議員とも総会では発言しませんでしたが、事前の自治労音協の討論に野田理事長（自治労総務報道局長）にご参加いただくことで、実質的に討議参加してきました。

　日本音楽協議会活動方針についての考え方

日本音楽協議会活動方針についての考え方方針案「はじめに」で言われているように、昨年総会で、財政・組織運営などの基本部分について大幅に見直すことが提案されました。その内容は、方針案では各論のところで「財政二元化移行に向けての」「一元的に財政運営を行う最後の年度として」と言われていますが、内容は明らかになっていません。しかし、全国代表者会議では、天羽事務局長から「日音協個人会費は中央に納めずに支部で使う。音楽祭と機関紙の抜本的な見直し」と提起されています。これに対して、全国代表者会議のほとんどの参加者の意見は、「財政を日音協中央に集中して、音楽祭と機関紙を現状に近い体制で精一杯努力すべき」ということでした。会議では天羽事務局長が「今日の議論を理事会に報告して、もう一度検討する」とまとめました。が、今回の方針案では、「もう一年かけて全体的に理解を深め合う活動を展開する」としています。結局、「財政二元化」（地方支部への大幅移行）にあくまで固執する、あと１年かけて各地方支部を説得する、という意味のように見えます。しかし、この方針では全体の合意は難しいかと思います。
　私も、全国代表者会議の多くの構成員と同じく、この厳しいときにこそ、財政を中央に集中して、全国組織としての日音協を維持し、できることなら強化することが大切だと思います。別の言い方をすれば、機関紙の定期発行と音楽祭の年１回開催ができなければ、事実上、日音協は流れ解散になるのではないかと心配しています。
　私たち自治労音協は、自治労という労働組合の音楽活動を通じて県を超えて知り合い、結びついてきました。音楽をやるということだけで言えば、栃木県内でもできます。何も高いお金をかけて熊本に出かけたり青森に出かけたり、という必要はないのではないでしょうか。自治労という労働組合全国組織と結びついて音楽をやろうとするから、自治労音協という全国のネットワークもつくったし、日音協にもかかわって高い会費（年５千円）も払っているのだと思います。県支部で５千円あずけられても困るという発言もありました。県内活動だけだったら、コンサートのときに、合宿のときにかかる費用を出し合えばたいていのことは済むのだろうと思います。全国組織を維持するためだと思って５千円出しているのだと思います。県内のコンサートなどなどのために必要があるのであればこの５千円のほかに出し合うというのが普通の地方支部の発想だろうと思います。私の所属する茨城県支部はそういう発想で、毎年千円集め、そのほかに合宿のときは別に費用を集めています。
　ついでですが、そういう意味で、私は日音協は単なる個人の寄せ集めではなくて、労働組合と切っても切れない関係だと思います。「組織活動」の項で地方支部を強調するのはわかりますが、本当は、地方支部と会員労組の両輪が日音協組織の基本なのだと思います。


●目次ページに戻る
●タイトルページに戻る
●１面に戻る
●2面に戻る
●4面に進む