★第二〇回自治労仲間の歌コンクール・・・入選曲は「何だろね」!
1999度第20回自治労仲間の歌は、入選曲一曲は「何だろね」詩=永井明美(新潟県本部佐和田町職)、曲=松本敏之(栃木県職労)、佳作曲三曲は「Happy
Birthday」詩・曲=山田芳裕(Baby★Baba)(新潟市職労)、「万華鏡の箱のなかで」詩・曲=小川典子(自治労東京直属支部)、「泣いて、笑って」詩・曲=山本英二(新潟県職労)、紹介曲一曲「さよならの約束」詩・曲=宮本雄一郎(大阪市職労)が選ばれました。
今回は昨年に引き続き応募された人の検討が目立ちました。また全国から十一曲の応募がありました。
●その他の応募曲の紹介
「ひとりから」詩・曲=北山清喜(全道庁)、「平和への願い」詩・曲=榊原隆子(札幌市職労)、「願い」詩・曲=籠味正樹(北海道本部上川町職労)、「チャレンジ」詩・曲=山口 真(自治労名古屋市職労)、「夢見るクリスマス」詩・曲=宮本雄一郎(大阪市職労)、「仲間の歌ー今こそひとつになれ」、詩・曲=品矢光賢(大分県本部本匠村職労)
第20回仲間の歌コンクール審査員報告
吉田 隆(日音協・全逓音楽協議会)
まず、全体的な印象としては前回に比べ、作曲に手慣れてきた、あるいは手慣れた人達が応募してきたなア、というところです。
逆に言うとはっきり言ってあまり面白くありません。応募者の詳しいプロフィールはわかりませんが、年齢的にはいくぶん高めかと思います。
私も含めてですがこのぐらいの年齢になると、ポップス始まって以来のあらゆる曲のフレーズが頭の中にいっぱい詰まっているはずで、意識せずともどこかで出てきてしまうものです。
しかし、そこだけが印象に残る、あるいはフレーズの詰め込みすぎはいただけません。
では個々の曲について少しだけ。
●「ひとりから」北山清喜さん
当初、選挙をイメージして作ったというだけあって、出だしはアルフィーの啓蒙ソングのようで詞・メロとも目的を果たしているように思います。
もう少しインパクトのあるものにするためには曲の構成として「こんな時代を生きてゆく俺達」と「いらだちの中生きてゆく俺達」この繰返しのフレーズを印象づけるために、「何かを変えようとして苦しみもがいてる」のフレーズも繰り返しとしたいところです。
細かいところですが、「生きてゆくおれたーちー」このシンコペーションを2番にもいかしたいですね。たとえば「いまなにほしいのーかー」のように。
詞全体としては問題点の提起のあと、これからの方針へと移って行きますが、非常に前向きな詞であるので間にもう少し具体的な方法論が欲しいところです。
●「平和への願い」榊原隆子さん
コード進行からももう演歌のノリ、というところですね。吉幾造のようにしんみり聞かせたいところです。
全体的な詞としては反戦というこでしょうが、殆どがグルーバルに反戦を訴えている中で「愛しい人をなくしてまで」のところだけ問題が小さくなっているところが気になります。
言葉の使い方ですが「たたかい」と「あらそい」は同じ様ですがニュアンスはだいぶ違います。使い分けの意図がよく見えてこないところです。全体を7文字で通したところは曲調にぴったりで苦労のあとが伺えますが、極一般的なテーマですから「焼かれた野にははなも咲かず」のようにありきたりな表現になるのはしかたないところですが、もう一歩工夫して違う言葉遣いをしてみたらどうでしょう。
細かいことですが、コード表記の間違い、音符への言葉のわり等は自分の作品ですから正確に。「はなも咲かず」のフレーズの譜点は使わないか、使うとしても逆が正当のように思われます。
●「願い」籠味正樹さん
「知的障害を持つ・・・」という説明文がないと、最初はラブソングのように聞こえ、「父さんと母さん〜」のフレーズで訳がわからなくなるでしょうね。
どんでん返しのようで面白みはありますが題材的にはミスマッチでしょうね。
「どこからも逃げないことはあなたがおしえてくれた」という詞はかなりいい表現です。が、前述したように背景がわかって初めて理解できる表現で、「何からも逃げられない」あるいは「どこへにも逃げられない」のほうが思いを正確に伝えられると思います。
メロディはせつせつと訴えていて盛り上がりも十分でうまく作ってあります。メロの盛り上がりと詞の盛り上がりを合致させればもっとよくなるでしょう。
本人が歌えればそれまでなんでしょうが、音域がひろいのと音が飛ぶのが少し気になります。
●「泣いて、笑って」山本英二さん
童謡のような要素もあり、誰が聞いてもすぐ憶えてしまいそうな好感のもてる曲です。サビの4分3連は4回はくどいですのでどこか一ケ所ぐらいに絞って使ったほうがいいですね。
2番の詞で「きみだけがたのしいからじゃなく」は「きみのしらないどこかでは」に繋がりにくい「ごはんをたべたからじゃなく」のように結論を出してしまえばいいのでは。
●「何だろね」永井明美・松本敏之さん
誰もがのってしまうようなリズム感をもったいい曲です。リズミカルな曲というと、練習しないと歌えなかったり、特殊なノリだったりするものが少なくありません。その点、この曲は誰でもすぐ歌えてノレるというところが優れていますね。
そういう意味でも冒頭の「よろこびって〜」の部分は4分休符ではなく8分休符のほうが自然です。ここだけが音符の配列として(4:2:2)他は全て(4:1:3)です。
この曲をこのまま歌唱指導すれば最初半分の人はそう歌うでしょう。つまりそれが自然なノリ、リズム感というものなのでしょう。
メロディの構成としては起承転結になっていますが、「転」の部分「なにかをわかちあえる」が音が飛びすぎる感じがします。ごく普通に冒頭のメロの繰り返しでもいいのでは?
コンクールとか長年作曲をやっている人達は斬新なメロディとか、自分の中で飽きが来てしまったりと色々いじくりたくなるものですが、ごくありきたりでもいい曲はいい曲ですので作曲コンクールと新発明を混同しないほうがいいですね。
●「Happy Birthday」Baby Babaさん
作り慣れてる感じで色々な曲の雰囲気だけを拝借した構成はヒットを生む要素がたっぷりです。細かい時間の推移を折り込んで転調を使いドラマ仕立てに挑戦したわけですが、チャレンジとしては非常に面白いものの、うまく聞き手には伝わってこないところが残念です。たとえばこの曲を誰かに贈るとすれば、「贈る」ということだけで感動を得られるものですから、それ以上のテクニックはいらないのでは?送る相手が音楽家なら別ですが。(笑)
作曲して歌って演奏して、というのは自己の表現ですが、譜面にして見せる、というのも同じことです。見せる以上は譜面もきれいに書きましょう。
●「チャレンジ」山口 真さん
いまトレンドな女性歌手の曲のような雰囲気をうまく使った曲です。構成としては「あさいちばん〜いちにちになりそうな」のメロディを繰り返したほうがインパクトが強いような気がします。「きがしてあたらしい〜」の部分が続くとどっちつかずになります。
詞をフレーズごとに箇条書きにして見るとわかりますが、「朝一番〜街にでてみたよ」は3行、他は2行です。詞があってそれに曲をつけるというなら言葉の足りなさをいたしかたありませんが、詞曲ともにであればなんとかなるでしょう。
詞全体としては「チャレンジ」という題名にふさわしいように見えますが、「挑戦」という意味であれば「茶ばしら」はたっていないほうが・・・逆境に向かうほうが「挑戦」らしいのでは?
「恐れないピュアな瞳は 運を引き寄せるから」と自分でも言っているのだから。「待っているだけじゃダメで 追い掛けてもナカナカだけど」は実にいい表現です。
●「さよならの約束」宮本雄一郎さん
冒頭のメロは非常に印象深いです。1番、2番として繰り返すのも効果的です。つづくサビのゆったりしたメロも対照的でいい効果を生んでいます。ただ、全体的に借り物のメロ、コード進行が気になります。
最初にイメージを浮かべることは作曲の大事な要素ですが、あまり固めすぎると冒頭に書いたように、材料が頭に一杯詰まっている人には陥りやすい罠です。
●「ピエロにはならないで」宮本雄一郎さん
作詞者が組織外ということで選考対象外だそうですが、別な意味でも選考対象外になってしまうでしょうね。
限られた音階の中での作曲ですから、何かに似てしまうのはしかたないとしても4小節はやりすぎです。一度コード進行を離れて作曲をしてみたらいかがでしょう。
●「夢見るクリスマス」宮本雄一郎さん
某有名曲のコード進行を拝借した作曲ですね。コード進行自体はよくあるものでしょうが、どうしてもメロも似てしまいますね。
それよりもこんないいコード進行を使いながら全体的に一向に盛り上がりがない、というほうが物足りないですね。
詞自体に盛り上がりに欠けるというか「子供たちの幸せ祈っているよ」の結論までの導きの言葉が弱いところに起因しているかも知れません。
●「仲間の歌」品矢光賢さん
「仲間の歌」に相応しい詞とメロになっています。歌を歌ったことがない人でもすぐ歌えるというのは「仲間の歌」としては大事な要素です。昔の「うたごえ」を思い出しますね。休符から始まるフレーズも音がとりやすくできています。
サビの部分の譜点処理はまさに「うたごえ」らしいのですが淡々と進んできたリズムを違うノリに変えてしまうので、できれば同じリズム感に統一したほうがいいと思います。
あたりまえの詞になってしまうのはしかたないところですが、「いまこそひとつになれ」の部分意外はもう少し表現の冒険をしてみてもいいのでは?
●「万華鏡の箱の中で」小川典子さん
色々ないいフレーズが一杯詰まった曲ですが、詰め込み過ぎてかえってインパクトがうすくなっています。削ぎ落とすとすれば、「この町に帰ってくる」あたりでしょうか?詞で見ても間延びしている部分です。
本人は全く意識していないようですが、「じかんのガラスのかけらは」の部分は「ガラス」の言葉とあいまって、某曲にクリソツです。もっともその某曲自体も昔の某曲にクリソツではありますが。その部分の譜点も全体的にゆったり流れる中では不自然です。
詞についてはサビの抽象的な表現の素晴らしさに比べると他の部分のあたりまえさが惜しいですね。
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全逓全国文化サークル協議会
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●吉田隆(日音協・全逓音楽協議会)
◇自治労音協事務局で、応募作品を整理して順番に楽譜を掲載していきます。
入選・佳作を問わず皆で歌ってくださいね!
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