日本政府は、3月24日未明、日本海において「不審船」二隻に対し、戦後初めて自衛隊法82条に基づく「海上警備行動」を発令し、海上自衛隊の護衛艦が25回にも渡る「警告射撃」と12発の爆弾投下を行いました。
私たちは、この事実を知り、驚きとともに、怒りを禁じえません。そもそも自衛隊法82条の海上警備行動は、「海上における人命もしくは財産の保護または治安の維持のため特別の必要がある場合には、首相の承認を得て、自衛隊の部隊に海上において必要な行動をとることができる」としています。今回の事態は、「人命・財産の保護治安維持のため」というどの理由にもあてはまらず、政府の決定の迅速さからも、過剰なそして、全く異常な対応だといわざるを得ません。
「不審船」の追跡は過去にも多々あったはずですが、なぜ今の時期このような突出した対応に出る必要があるのでしょうか。私たちは、現在国会で審議されている周辺事態法などの新ガイドライン関連法案の成立に向けた、危機煽とも言える格好のデモンストレーションだと受け止めざるを得ません。
野呂田防衛庁長官は、今回の「警告射撃」の理由を「国の秩序を守るために実行した」「海上保安庁の対応だけで不十分な場合には、自衛隊がこれに当たるという断固たる決意を内外に示したことは大きな抑止力になる」(24日朝日新聞)と言い、さらには自衛隊法の改悪、武器使用の拡大のための法整備も示唆しています。武力による抑止が真の平和にならないのは近くには湾岸戦争があり、現在も行われているNATO軍によるユーゴスラビア空爆でも明らかです。軍事力の拡大や行使が、緊張を拡大し戦争の危機を増すことはあっても問題の根本的解決にはなりません。
今回の事態で、周辺事態法など新ガイドライン関連法案の危険性がますます明らかになってきました。逆に憲法九条の言う非軍事的解決の必要性が今ほど理性を持って求められているときはないと確信します。
二度と再び、武力行使を行わないよう強く要請します。
不戦へのネットワーク
代表 水田 洋
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