名護への普天間基地移設についての抗議声明
(1999年12月27日)
本日(1999年12月27日)、名護市の岸本市長は、普天間基地の移設問題で名護市への移設に同意しました。
この決定は、昨年行われた名護の住民投票に於いて新たな基地建設に反対を表明した名護住民の意向に反するものです。また、悲惨な沖縄戦を体験し、戦後50数年基地があるゆえに人権や生命まで脅かされ続けるなか、基地の整理・縮小・撤去を求め続けてきた沖縄の人々の意思を踏みにじることです。沖縄の人々の民意よりアメリカや日本政府の意向に沿った決定を容認するわけにはいきません。
新たに作られようとしている基地は工法も規模も何ら具体的なものが明らかにされないまま「振興策」と引換に今後予想される基地被害・環境破壊を住民に容認せよというものです。稲嶺知事が言う15年期限付きもアメリカは難色を示していますし、米国防省の報告では、現在使われているCH46侵攻輸送ヘリの数倍の能力のあるMV22オスプレイの配備も明記されています。普天間基地の県内移設は基地の縮小・撤去につながらないばかりか基地強化にほかなりません。
もとより、沖縄に米軍基地の75%を押しつけ続け、今回また「振興策」というお金と引き換えに新たな基地を押しつけているのは日本政府です。私たちは、沖縄にのみ犠牲を強いる政府のこのような政策を看過するわけにはいきません。加えて本土の多くの人々が沖縄の痛みを他人事としてしか考えないこともまた、今日の事態に至った原因でもあります。そのことを自覚してもなお、今回の岸本市長の新基地建設受諾は容認するわけにはいきません。それは、日米安保体制下、今年成立した周辺事態法など新ガイドライン関連法に見られるよう日米の軍事同盟の強化につながることであり、沖縄のとりわけ名護住民に新たな苦渋を強いるものだからです。
私たちは、岸本市長の住民投票で示された名護住民の民意を無視した受け入れ容認に厳重に抗議するとともに、受け入れを撤回するよう要請します。
不戦へのネットワーク 代表 水田洋(名古屋大学名誉教授)
名古屋市昭和区白金1−13−10
TEL/FAX 052−881−3573