傍聴報告者:山本 みはぎ(不戦へのネットワーク)
8月4日、参議院の地方公聴会が名古屋で行われた。7月30日金曜日の夕方のニュースで名古屋開催を知ったが時間や場所に関しては土・日を挟んだこともあって地元の国会議員にもいろいろ手配をしたが、最終的に確認できたのは月曜日になってからであった。
公聴会当日、会場となったホテルの周辺の警備はものものしく、マスコミも大勢集まっていた。緊急に集まった30人程で開始前に特別委員会委員長宛に申し入れを行った。(申し入れ文は日米新ガイドラインと有事立法に反対する愛知連絡会、組織犯罪対策法に反対する愛知連絡会、不戦へのネットワークの三団体)公聴会の会場は、豪華なホテルの一室で特別委員と公述人の席と傍聴の席があり傍聴席はざっと数えて50あまりだったが所々に空席もあった。公聴会といいながら各党割り当ての傍聴券がなければ傍聴はできない。空席をつくるなら広く公募して傍聴させるべきではないかと思った。公聴会は特別委員会の委員8人が出席し、自民党の鴻池理事の司会で始まった。公述人は6人で、反対の立場で南山大学小林武教授、日本キリスト教団の島しずこさん、わだつみ会(名古屋大学名誉教授)の安川寿乃輔さんが、賛成の立場で京都産業大学の所功教授と山本学園理事の山本さん、名古屋電波学園の中山さんのそれぞれ3人がそれぞれ10分程度意見表明をしたあと委員の質疑があった。
反対の3人の意見を要約すると、島さんは@日の丸・君が代は侵略戦争のシンボルであり日本はその被害者に国家として謝罪をしていないA君が代は天皇賛美の歌であり主権在民とは相容れないB国を愛することは個人の内面の問題であり強制することはできない。
憲法19条の思想及び良心の自由に反するということを宗教者の立場から主張。小林さんは、@今国会の審議事態が日の丸君が代を軽んじることになる、A法案には義務規定がないにもかかわらず多くの教員が処分されており良心の自由の侵害を拡大することになる、B君が代の解釈問題で象徴天皇イコール国家を代表することにはならないと主張。安川さんは、@教育は常に政治に利用され、十五年戦争は教育の力がなければ遂行できなかった歴史があることA定着しているという根拠を名大生に対するアンケートの数字を示し反論し、B加害の立場からわだつみ会の活動を紹介、C最後に解釈問題で象徴天皇制は身分差別・性差別・障害者差別と差別の根元であり1条から8条までは積極的に改正すべきであると主張した。(反対の意見の中で小林さんは条件が整えば国旗国家の法制化よしと主張。共産党の推薦らしい主義。民主党の推薦の島さんは反対の立場を言ったためか質問内容は日の丸・君が代の取り上げ方の違いを執拗に聞いていたのが印象だった)
賛成派の3人の主張はほぼ同じようなもので国を愛することは当然、教育現場の混乱は反対者がいるからで法制化により混乱は収まる(つまり教育現場に強制するということ)、憲法規定に照らしても象徴天皇制と主権在民は矛盾しないという主張であった。賛成派の主張で欠けていた点は侵略戦争の加害責任の問題であり、現在も公教育の場で民族教育を保証されず日本の公教育を受けざるを得ない人がいるということだ。
公聴会というものを初めて経験したが淡々と進行した。真面目に日の丸君が代の法制化を考えている方の意見を生で聞くと本当にこの人たちの思考回路はどうなっているのだろうかと不思議な気がしてくる。(所さんが行進曲のテープを流してこんなんでもいいんじゃないかと言ったのには呆れてしまった)とはいえこの主張が国会の中では主流になっている。(勿論外には圧倒的な無関心層がいるのだけれど)あれこれ怒濤のように押し寄せてくる課題でヘトヘトだけれどこんなことを聞くともう少しがんばらなきゃと思うしだいです。