不戦へのネットワーク 代表 水田 洋
平和な生活を希求する私たちの意思をふみにじって、いわゆる新ガイドラインにともなう関連法案が衆議院を通過した。
この法案は事実上、日本をアメリカの意のままに戦争に巻き込もうとするもので、日本国憲法に違反するだけでなく市民生活の基本にかかわる国内諸法・諸制度を蹂躙する危険をはらんでいる。多くの地方自治体はその危険を察知して反対を決議し、疑義を表明した。この法案によって地方自治体がどのように戦争協力を要請(強制)されるのかという質問を、政府は抽象的な回答ではぐらかそうとしている。
輸送・通信・医療などの施設が戦争協力に転用されれば市民生活のマヒは避けられないし、非協力に対する取締りは直接の肉体的な拘束だけでなく、電話の盗聴や手紙の検閲まで及ぶであろう。現に、上記の法案に対応して組織的犯罪対策が検討されているのである。その上、戦争協力は戦闘行為が直接市民生活に波及することを避けられないものとする。現代戦において、前線と後方の区別が意味を成さないことは、例えばアメリカ軍自身がユーゴの空爆で実証している。このように、市民生活に直接重大な影響を与える法案が永田町の党利党略やアメリカへの手土産として、多くの疑義を残しながら採決されたことに強い憤りと危惧をおぼえる。
この法案は(それに先立つ日米共同宣言とともに)日米安保条約の枠を超えてその改定というべきものであるにもかかわらず、条約改定という外交的手続きを踏まずに、国内法だけでアメリカの要求を処理しようとしている。このことは、民主主義を愚弄することである。
敗戦55年。日本の政治家たちはかつて闇雲な排米によって市民生活を破滅させ、また、アジア諸国の人々に言い表せないような苦痛と苦難をもたらした。その愚行を、今度は闇雲な拝米によってくり返そうとしている。
だが歴史の教訓は私たちにこれを許すなと告げる。私たちは、この法案に反対を表明するだけでなく、「武力で平和は創れない」ということを肝に銘じ反対行動を続けるであろう。
99年4月28日
不戦へのネットワーク
代表 水田 洋
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