「小牧基地の機能拡大に反対し、憲法違反の戦争法の任務に従わないこと」を求める要請書(2015年12月26日) |
小牧基地指令
野中 盛様
隊員の皆様
1.小牧基地の基地機能強化について
政府は、12月24日、2016年度予算案の閣議決定をしました。軍事費は5兆541億円と過去最高に達し、安倍政権になって4年連続で増加しています。今年、9月に安保法制=戦争法が強行採決され、自衛隊の任務拡大に合わせた武器調達の拡大が軍事費の増大をもたらしています。小牧基地に関係するものは、新型空中給油機の導入です。新型空中給油機は、ボーイング社のKC46ベガサスが選定され、小牧基地に2018年までに3機導入を予定されています。新型空中給油機は、現在配備されているKC767が、MV22オスプレイには空中給油できないのに対し、使用が可能になり、また機体の小型化などにより島嶼防衛などにも適しているとのことで、一段と高性能な機能を備えています。ボーイング社のHPには、KC46ベガサスの導入は「日米同盟に基づくシームレスな運用性を手に入れることができます」とあり、小牧基地は派兵拠点としての機能をより強化することになります。
また、今月からは小牧南工場で、航空自衛隊に導入されるF35戦闘機の機体の組立も始まっています。その新型ステルス戦闘機F35の整備拠点を、三菱重工小牧南工場にするという予算も計上されました。三菱小牧南工場が、整備拠点となれば、米軍機のみならず他国の軍用機の利用の拡大につながります。2007年、春日井市、小牧市、豊山町の周辺自治体は、防衛庁(当時)と防衛施設庁に対し、「他基地所属の自衛隊機による定期的業務以外による利用及び米軍機の利用などがないようにされたい。」との要望書を提出しています。滑走路の管理運営をする、愛知県の担当者も私たちとの話し合いの中で、小牧基地の役割は「輸送と教育」と明言しています。軍事評論家の前田哲男さんは「名古屋空港はこれまで自衛隊基地の位置づけだったが、今後は米軍や他国軍の整備センターの機能を持つ」と指摘しています。
県や周辺自治体・住民の意向を無視し、基地機能強化につながる新型空中給油機配備や、三菱南工場の整備拠点化には断固反対をします。
2.安保法制=戦争法の成立による自衛隊員の任務拡大は憲法に違反します。
安保法制=戦争法の強行成立を受けて、PKO派遣に対して「駆けつけ警護」や「治安維持活動」が新たな任務として盛り込まれました。当初、来年5月にも南スーダンに派遣される部隊から新任務を追加するとしていましたが、7月の参議院選挙を前に、不測の事態が起こることを避け、選挙に影響が出ないように発動の先送りをしました。政府軍や反政府軍の武力衝突が続く南スーダンでのこれらの任務を行えば、現地の人たちを殺し、自衛隊員が殺される可能性が高まってきます。そもそも、停戦合意が実質的に成立していない中での南スーダンへの派遣は、PKO5原則に違反します。自衛隊の南スーダンへの派遣は直ちに中止しなければなりません。
また、戦争法の成立により、2003年に始まった、アメリカのイラク戦争と2011年のシリア内戦の混乱の中で勢力を拡大してきた、ISに対して、空爆を続けるアメリカ軍などへの軍事支援が可能になりました。安倍首相は「軍事的な支援は考えていない」と言っていますが、今年6月の参議院安保法制特別委員会では「要件を満たせば、法理論としては適用されることはありうる」と答弁しています。既に、在日米軍基地はISへの空爆の出撃拠点になっています。6月18日付の米軍準機関紙「星条旗」では、米軍三沢基地所属のF16戦闘機が、「対IS戦闘作戦の一環で5000戦闘時間飛行した」と書いています。戦争法では、戦闘発進中の米軍機への給油も可能になっており、在日米軍への支援の可能性もあります。安保法制=戦争法により、自衛隊の任務の拡大は、自衛隊員の命の危険が増すことになります。7月の選挙で自公政権がこのまま政権を維持するようなことになれば、南スーダンへのPKO派遣の任務もISに対する空爆を続ける米軍への後方支援も一気呵成に発動する危険性があります。
安保法制=戦争法は、圧倒的多数の憲法学者や元内閣法制局長官、元最高裁判事も指摘したように、憲法の平和主義に反し、明らかに憲法違反です。自衛隊委員の皆さんが命を危険に晒さないように、また、他国の人を殺すことがないように憲法違反の命令に従わないことを要求します。
2015年12月26日 不戦へのネットワーク