本土でのMVオスプレイに低空飛行を中止し、普天間基地からの撤去を求める要請書(2013年3月6日) |
内閣総理大臣 安倍晋三様
防衛大臣 小野寺五典様
小野寺防衛相は、沖縄の民意を無視し、普天間基地に強行配備された垂直離着陸機MV22オスプレイ3機を3月6日から8日まで、岩国基地を拠点に本土での低空飛行訓練を実施することを発表しました。6日から紀伊半島から四国にまたがるオレンジルートといわれるコースで開始されます。私たちは、オスプレイの普天間基地からの撤去と本土での低空飛行の開始に強い抗議を行うとともに、普天間基地からの撤去と訓練の中止を求めます。
オスプレイは、開発段階から事故が多発し、すでに30人以上の死者を出しています。沖縄では、日米合意を無視した市街地上空や夜間の訓練が実施され、住民に騒音や墜落の危険を与えています。
これまでも行われていた、本土での低空飛行訓練では、各地で騒音に対する苦情や住宅の窓ガラスが割れるなどの被害が起こり、94年には高知県の早明浦ダム上流で空母艦載機が墜落し、住民の命も脅かされかねない状況がおこりました。今回、同じ地域で墜落事故が頻発しているオスプレイの飛行訓練を強行するということは、低空飛行訓練の安全性に危惧を持つ住民感情を無視する暴挙です。
このような、危険極まりない低空飛行訓練が沖縄でも本土でも実施されるのは、日本政府が、日米地位協定の第5条2項の「合衆国軍隊が使用している施設及び区域に出入し、これらのものの間を移動し、及びこれらのものと日本国の港又は飛行場との間を移動することができる。」という規定を拡大解釈し、「航空法特例法」によって、航空法の適用を除外しているからです。すでに、多数の関係自治体からは低空飛訓練に対する意見書が出ています。住民の平穏な生活や安全を無視し、米軍機の訓練を優先させるようなことがあってはなりません。日米地位協定を見直し、航空法の厳格な適用を強く求めます。
本土での低空飛行訓練の目的は、低空で飛行することによって敵のレーダーをかいくぐり、敵の施設などを破壊する強襲揚陸にあります。そのために、施設やダムや発電所などを攻撃目標にして訓練を繰り返しています。2月、アメリカのカリフォルニアの海兵隊基地でオスプレイを使って始まった離島防衛能力強化を目的とした日米共同訓練では、陸上自衛隊員が参加し行われました。おりしも、尖閣問題をめぐって中国との緊張が高まる中で、実践的な訓練を行うことは中国をけん制する非常に危険な動きだと言わざるを得ません。「国家安全保障基本法」の制定で、集団的自衛権の実質的な解禁をめざし、さらには明文改憲をしようとする安倍政権が、アメリカと共に「戦争をする国家」を目指していることは明らかです。オスプレイの配備や低空飛行訓練の実施は、その実践の一つであると言えます。
オスプレイの沖縄への配備は、戦後一貫して基地の重圧を押し付けられた沖縄への更なる負担を強いることになります。低空飛行訓練は、住民の生命や安全を脅かします。改めて、普天間基地のオスプレイの撤去と、嘉手納基地への更なる配備の中止、本土での低空飛行訓練を中止するよう、強く求めます。
2013年3月6日
不戦へのネットワーク