不戦へのネットワーク


コロナウイルス拡大の中、中東派遣中止に向けた要請書(2020年4月25日)

小牧基地司令 佐藤 網夫様
自衛隊員の皆様

 あと2か月の7月1日、航空自衛隊創立66か年を迎えます。それまでにウイルス禍が収まり、人々が安心して生活できる状態になることを願わずにはいられません。すでに、医療体制が限界にきている県は、陸上自衛隊の医療部隊の応援を待っています。すでに、長崎県の要請でイタリア船籍のクルーズ船乗員の検査の支援で陸上自衛隊の隊員は活動しています。東京都の感染者が1万人を超え、首都圏全体で2万人を超えれば事実上の封鎖体制になりかねません。地方自治体が恐れるのは、東京方面からの首都脱出組です。これを許せば、ウイルスはさらに全国に拡大することになります。新幹線も高速道路もストップになります。もし、物流がストップになれば、航空自衛隊に応援してもらうしかなく、その空輸拠点は皆さまの小牧基地となりましょう。C130輸送機も、KC767空中給油機も全力投球せざるを得ず、中東への空輸に1機も使えません。従って、これから数か月、基地司令はじめ隊員の皆さまに一人の感染者も出さない体制で毎日の任務についていただきたいとお願いします。

 今、「地球規模の防衛体制」を取るアメリカ軍の主軸である原子力空母がウイルス感染により機能不全状態です。セオドア・ルーズベルト、カールビンソン、横須賀基地所属のロナルド・レーガン、最新では空母ミニッツ。国防総省は4月に入り、感染状況を非公開にしたため状況は不明ですが、巨大な空母とはいえ、3蜜状態の中で4千名を超える乗組員が乗船していることを考えれば全艦機能不全と言わざるを得ません。セオドア・ルーズベルトの乗組員の感染を防ぐために、命令系統を無視して告発したクローザー艦長を解任したモドリ―米海軍長官代行がついに辞任させられるなど米海軍は混乱状態にあります。

 この状況下で、イランの革命防衛隊のスレイマニ司令官暗殺を決行した米軍とイランの緊張状態が今日まで続く中で、4月22日、トランプ大統領は「イラン艦艇が米軍に嫌がらせをすれば、撃沈するように海軍に指示した」と表明し、翌23日にはイランの革命防衛隊のサラミ司令官は「イランの安全を脅かすいかなる米国のテロリスト部隊も破壊するようにイラン海軍に命じている」と反発し、ペルシャ湾は極度の緊張状態にあります。相互の威嚇発言からペルシャ湾での衝突が起こり得ます。防衛省、自衛隊はその時どう対応をするでしょうか。日米同盟のもと「調査・研究活動」のみに限定できるのでしょうか。トランプ大統領が何と言おうとも活動限定を貫き、撤退命令を出すべきです。

 そして何よりもジブチ共和国政府はすべての国際線の発着を停止しています。人口80万人の小国に、アメリカ、フランス、ドイツ、スペイン、中国、そして日本が駐留し、かつ北はエリトリア、西はエチオピア、南はソマリアランドと国境を接し、4月中旬の感染者数は800人、死者も出ていると報道されています。
国会での野党の質問に対し、「『たかなみ』もジブチ基地もPCR検査体制はなく、他国軍の医療設備に頼るしかない」と、無責任な防衛省の対応です。20日には、バーレーンの多国籍部隊司令部に派遣されていた海自隊員が感染したと発表されています。このような防衛省の無責任体制の中での「情報収集活動」への空輸という支援はあり得ません。防衛省に対し、隊員の命と健康を守るために、そして本当に来るかもしれない首都封鎖に備えるために、中東への空輸作戦の中止に向けた意見具申を上部組織に対し行ってください。

最後に、くれぐれも感染対策のさらなる強化をお願いします。

 2020年4月25日 不戦へのネットワーク


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