自衛隊の中東派遣に関する申し入れ書(2019年11月23日) |
小牧基地司令 船倉慶太様
自衛隊員の皆様
安倍首相による政治の私物化が再び問題になっています。4月に開催される「桜を見る会」は安倍政権になり年々肥大化し今年の招待者は18000人、予算の3倍にもなる5500万円もの税金が使われ開催されました。首相の後援会関係者約850人が招待されるなど、公職選挙法や政治資金規正法に違反をしているという疑惑も浮上しています。安倍首相の、政治の私物化の問題は、森友・可計問題でもすでに指摘されていますが、この問題を解決しないまま、政権を持続させたことが今回の問題を引き起こしたと言えます。
安倍政権は、憲政史上最長の在任記録を更新しましたが、政権発足以後、特定秘密保護法、安保法制、共謀罪など憲法違反の法律を強行採決し、民主主義を破壊してきました。
そして、今政治の私物化が公然と行われ、長期政権になればなるほど、権力は腐敗するということを如実に示しています。このような政権に政治を任せることはできません。
その安倍政権は、10月18日、アラビア半島南部オマーン湾やイエメン沖への自衛隊派遣を決めました。アメリカの主導する「有志連合」には参加せず、防衛庁設置法の「調査・研究」を派遣の根拠にするというものです。国会承認の必要もなく、防衛省の判断のみで派遣できるというものです。そもそも、この規定は、事務規定であり部隊運用は想定しておらず、自衛隊の海外派遣の根拠にするのは明らかな脱法行為です。このような曖昧な規定で、危険な中東への自衛隊派遣を決定すること自体、無責任極まりません。
そもそも、中東情勢の悪化を招いたのは、2015年にイランとアメリカなど6か国が合意をしたイラン核合意をアメリカトランプ大統領がイスラエルやサウジアラビアの意向をくみ、一方的に離脱したことに原因があります。アメリカが呼びかけた「有志連合」には参加しないとのことですが、菅官房長官は「米国とは緊密に連携していく」として、実質的に有志連合に協力し、アメリカによるイラン包囲網に加担していくことになります。自衛隊の中東への派遣は、結果的にはイラン軍と対峙することになり、もし不測の事態が起きれば、安保法制による米艦防護など米軍との軍事的一体化が行われ、集団的自衛権の発動の根拠となる「存立危機事態」を招きかねません。法的根拠もあいまいなまま、危険な中東への自衛隊派遣は中止すべきです。
政治を私物化し、法令違反の行為を平然と行い、国会での説明責任も回避する自衛隊の最高責任者である首相に、自衛隊員の皆さんの命に係わる中東派遣の決定を任せていいはずがありません。
日本の今やるべきことは、中東への自衛隊派遣ではなく、イラン核合意から一方的に離脱したアメリカに対し、合意への復帰を即し、平和外交に徹するべきです。上部組織に派遣中止の意見具申をされることを強く要請します。
2019年11月23日 不戦へのネットワーク