不戦へのネットワーク


【申し入れ書】(2017年6月17日)

小牧基地でのPAC3訓練並びにF35ステルス戦闘機試験飛行に抗議の申し入れ

稲田朋美防衛大臣様
小牧基地司令
尾崎義典様

PAC3の緊急展開訓練に抗議します。
 6月15日、小牧基地で地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の緊急展開訓練が行われました。航空自衛隊岐阜基地から早朝小牧基地に向かい、ミサイル発射機やレーダーの組み立て、作動の手順を確認する訓練をしたと報道されています。私たちは、小牧基地でのこのような訓練に断固抗議し、今後一切訓練をしないように要請します。
今回の訓練は、朝鮮民主主義共和国(北朝鮮)のミサイル発射に対応して行われてとのことですが、いたずらに危機を煽り、挑発的行動といえます。そもそも、ミサイル防衛システムは、アメリカが宇宙の軍事化を進め、小型核兵器を含む先制攻撃用の軍備開発・配備を行い、この先制攻撃のために相手側からのミサイルを打ち落とすために「ミサイル防衛」を準備してきました。アメリカの軍事衛星の情報から日本のミサイルが発射されることになり、このシステムは日米の共同した戦争遂行であり集団的自衛権行使そのものです。
アメリカは、中国などの反対を無視して、韓国に新型迎撃ミサイル「THAAD(サード)」を配備しました。稲田防衛大臣は、今年1月、グアムにアンダーセン基地を訪問しサードミサイルを視察し、日本への導入の検討を開始しています。これに対してロシアも日本が米国の地球規模のミサイル防衛システムの一部になることに懸念を表明しています。更に、ミサイル防衛の開発・生産には多くの軍需産業が関わっており、三菱重工などをはじめ軍需産業の拡大につながります。
 東アジアの緊張を高め、世界の軍拡を進め、軍需産業に巨額の富をもたらし、憲法の平和主義に反し戦争への道を進め、ミサイル防衛システムを推進する役割を果たす訓練に強く抗議をし、今後一切小牧基地での訓練をしないよう要請します。

F35ステルス戦闘機の試験飛行に抗議します。
 13日、三菱重工業で組み立てられた、国内製造1号機のF35ステルス戦闘機の初飛行訓練が、県営名古屋空港で行われました。F35ステルス戦闘機は、レーダーに映りにくいステルス性に優れ、他の航空機や艦船と情報を共有でき、高い機動力とミサイル探知能力を保有する次世代戦闘機です。そもそもこのような高性能な戦闘機の配備は、憲法で禁止されている戦力の不保持に逸脱しています。すでに配備されている、空中給油機と合わせ、その機動力は飛躍的に大きくなります。
 また、三菱重工など国内の軍需産業が部品の一部の製造や組み立てを行うことは、アメリカの軍需産業の一部に組み込まれることになります。F35ステルス戦闘機は世界各国に配備されます。安倍政権になり、武器輸出が事実上解禁されたことによりイスラエルなどにも日本で生産されて部品を使ったF35が輸出される可能性があります。
 更に、2015年12月にアメリカは、三菱重工小牧南工場と、IHI瑞穂工場(東京都)にアジア太平洋地域のF35整備拠点(リージョナルデポ)の設置を発表しました。三菱重工小牧南工場が整備拠点になれば、航空自衛隊機だけではなく、韓国やオーストラリアなどアジア太平洋地域で運用されているF35ステルス戦闘機が、県営空港である名古屋飛行場に飛来することになります。2009年周辺の春日井市、小牧市、豊山町の首長や、周辺住民団体である「春日井市飛行場周辺対策協議会」は、防衛大臣に「米軍機などが利用することがないように」という要望書を提出しています。F35のリージョナルデポになれば、県営名古屋空港の滑走路は小牧基地や三菱重工のための滑走路として使われる頻度がより増し、県営空港として機能をさせたいという、県や周辺自治体、住民たちの想いを無視することになります。今後も三菱南工場での組み立ては行われ、今回のような試験飛行がさらに行われる可能性があります。そのことは、小牧基地の基地機能の強化につながり、県営空港として機能させたいという県や周辺自治体、住民の意向に反します。今後、県営空港の滑走路を使った試験飛行をしないよう、強く要請します。


 2017年6月17日
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