【申し入れ書】(2017年5月27日) |
申入書
小牧基地司令 尾崎義典様
自衛隊員の皆様
私たちは平和な社会をめざすために活動を続けている市民団体です。私たちは、今の自衛隊の置かれた状況を、大変な危機感をもって見ています。そうした危惧からいくつかのことを申入します。
1、河野克俊統合幕僚長発言は到底許されません。
5月23日、河野克俊統合幕僚長は、日本外国特派員協会で講演し、安倍首相が自衛隊の存在を憲法に明記する改正に言及したことについて問われ、「一自衛隊員として申し上げるなら、自衛隊の根拠規定が憲法に明記されるのであれば非常にありがたいと思う」と述べました。この発言は、憲法99条公務員の憲法尊重義務違反、そして自衛隊員の政治的行為を禁止した自衛隊法第61条違反です。自衛隊という実力部隊の責任者としてふさわしくありません。暴走と言われてもしかたありません。即刻辞任すべきです。自衛隊のような実力組織が、憲法や国会を軽視するようになれば、法の縛りがなくなり、人の生命をも軽視するようになります。それは自衛隊員の命をもふくみます。それが、歴史の教訓です。自衛隊は大変な岐路に立っています。
2、自衛隊の南スーダン派遣の検証をおこなってください。
5月25日、南スーダンへPKO派遣されていた陸上自衛隊が首都ジュバを離れ、完全撤収しました。私たちは、紛争状態にある南スーダンへの自衛隊派遣と、駆けつけ警護などの新任務付与に反対しました。政府は「活動に一定の区切りがついた」として撤収を決めました。隊員の皆さんは無事といわれていますが、きびしい状況下での任務だったので、心のダメージが心配されます。
政府は、PKO5原則違反という批判をかわすために、「南スーダンに紛争はない」としてきました。これは、自衛隊派遣と新任務付与という政治目的のための詭弁と言われても仕方ありません。政治目的のために、自衛隊員に危険な任務が付与されたことになります。そして、自衛隊派遣が優先された結果、日本は南スーダンの平和や人道危機にたいする有効な貢献策がうちだせませんでした。ほんとうに自衛隊派遣は必要だったのでしょうか? その検証がなされないまま自衛隊のPKO派遣は許されません。
3、米軍と共同演習し、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を威嚇することは憲法違反ですし、危険です。中止してください。
3月1日より米韓の軍事演習が過去最大規模でなされ、これに対して北朝鮮側は弾道ミサイル発射を繰り返すなどしました。安倍首相は、4月18日、ペンス副大統領との会談で、「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」という米国の立場を支持すると表明しました。武力行使を容認したということです。海上自衛隊は4月23日に、朝鮮半島にむかう米空母カールビンソンと共同訓練をおこないました。そして、5月1日、戦争法での新任務、米艦防護(武器使用も認められる)を実施しました。朝鮮半島情勢は一気に緊迫しました。
憲法9条は「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄する」としています。「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」というのは威嚇であり、許されません。「紛争」を解決するには対話と外交以外ありえません。憲法9条は現実的な選択です。危険な挑発はやめるべきです。日本もふくめて、何十万人の犠牲者、何百万人の難民がうまれ、想像を絶する事態となります。
1、河野幕僚長は発言の責任をとって辞めること、2、南スーダン派遣の検証をおこなうこと、3、朝鮮民主主義人民共和国への威嚇をやめること、以上3点について基地司令から意見具申してください。
2017年5月27日
不戦へのネットワーク