【申し入れ書】「憲法違反の任務を拒否してください」(2016年9月24日) |
小牧基地司令 尾崎義典様
自衛隊員の皆様
安全保障関連法(戦争法)が成立をして9月19日で1年になりました。私たちは、憲法で禁止をされている集団的自衛権行使容認を、一内閣が閣議決定によって覆したことは立憲主義に反し、また、憲法に違反するとして一貫して、反対をしてきました。1周年にあたる9月19日、国会前では2万3千人が、この愛知でも2000人が集まり、戦争法廃止の訴える集会・デモを行いました。全国では400か所以上で大小さまざまな取り組みが行われました。1年たった今でもこのような行動が全国津々浦々で行われるのは、戦争法がこの国の行方を大きく変える稀代の悪法であり、これを認めることは絶対に許せないという多くの市民の意思が継続しているからです。基地司令や隊員の皆さまには、この声を真摯に聞き、これから課されるであろう新たな任務について賢明な判断をされることを切に願っています。
いよいよ、南スーダンへのPKOで、自衛隊員に「駆けつけ警護」や「宿営地の共同防衛」などの新任務を課すとして訓練が始まりました。11月にも青森から派遣される陸上自衛隊第9師団第五普通科連隊に新任務として行うとしています。しかし、南スーダンは紛争が続いています。7月には市民約270人以上が犠牲になり、中国人のPKO隊員2名が死亡するという事態が起こりました。家屋の破壊や略奪、レイプなどが起こり混乱は今も続いています。このとき、陸上自衛隊の宿営地の隣にあるビルで二日間にわたり銃撃戦が起き、政府軍の兵士2人が死亡したということです。自衛隊の宿営地からはわずか100mしか離れていないということです。このような事態になっても、菅義偉官房長官は「武力紛争が発生したとは考えていない」「PKO参加5原則が崩れたとは考えていない」と強弁しています。現実を顧みず、法律も守らず、派遣される自衛隊員の命も軽んじる認識と言わざるを得ません。南スーダンへの自衛隊派遣はPKO5原則に反していることは明らかです。自衛隊はただちに撤退すべきです。
9月23日付の中日新聞では「安保法抑止力に疑問」というタイトルで、安倍首相が安全保障関連法(戦争法)を強行に進めた理由の「抑止力の強化」を事実に基づいて疑問視しています。北朝鮮の核実験の実施やミサイル発射、尖閣諸島周辺での中国の活動の活発化など戦争法の成立後東アジアの緊張は逆に高まっています。安倍政権がすすめる軍事力による「積極的平和」が何をもたらすのか、この短い期間でも結果は明らかです。これまで、憲法9条があったからこそ自衛隊員の命は守られてきたと考えます。自衛隊員の皆さんが海外で殺し、殺される事態になることを私たちは危惧しています。憲法はまだ生きています。基地司令はじめ、自衛隊員の皆さんが憲法を遵守し、賢明な判断をされるよう切に要請します。
2016年9月24日
不戦へのネットワーク