【申し入れ書】「憲法違反の任務を拒否してください」(2016年8月27日) |
小牧基地司令 尾崎義典様
自衛隊員のみなさま
尾崎基地司令への初めての申し入れとなります。私たちは誠意をもって意見を申し上げますので、基地司令も私たちの意見に耳を傾けられる姿勢をとられることを心よりお願いします。
8月15日、稲田防衛相は、就任後最初の訪問地であるジブチの自衛隊基地で、「海上交通の安全は依然として予断をゆるさない。今後も海賊対処を確実に実施することが必要不可欠だ」と述べました。また南スーダンでの自衛隊の活動について「現時点でPKO5原則は満たしているというふうに思っている」と述べました。
2015年における海賊対処は0件です。つまり、海賊対処行動は縮小または撤退しなければなりません。
南スーダンにおいては7月初めに紛争が再燃し、約300人の市民の犠牲者があり、PKO中国人隊員2名が死亡し、英、独のPKO要員は退避しています。日本の大使館員、JICAの職員も退避しています。国連の食糧庫が略奪されたりしました。この事態にたいして国連PKOは4000名の増派を決め、紛争への武力強制介入も可能とするということです。新しい安保法においても、PKO参加5原則と、「武力行使はしてはならない」の原則は貫かれています。南スーダンにおいては、PKO5原則は完全に破たんしています。自衛隊は撤退しなければなりません。にもかかわらず、政府は新任務として「駆けつけ警護」、「宿営地共同防衛」を自衛隊PKOに課す予定で、11月に派遣される陸上自衛隊第9師団第五普通科連隊(青森市)には、「抵抗する暴徒らを、武器を使って威嚇、制圧する訓練」などを行うとしています。これは武力行使です。また、専門家が指摘しているように、今の法制のもとでは、万が一、自衛隊員が現地市民を殺害した場合、日本の刑法の殺人罪が適用されるとのことです。自衛隊の派遣には無理があるのです。
政府の態度は、国民に対しても、自衛隊員に対しても誠実なものとは言えません。海賊行為がないにもかかわらず、基地を維持し続けたり、紛争状態にもかかわらず、「平穏」といったりするのは、戦争を「事変」として戦火を拡大させた戦前と同じではないですか? 安保法は憲法違反との指摘に「丁寧に説明する」とした安倍首相の約束はいまだに果たされていません。
安倍首相の言う「積極的平和主義」が憲法違反を生み、政府のウソとごり押しの言動となり、そして、自衛隊員のみなさんの生命の安全を脅かすという事態になっている、と言わざるをえません。私たちは、自衛隊員のみなさんが、現地で、殺し殺される関係に陥ることにならないように願っています。現場の自衛隊員のみなさんの、憲法9条をまもり、武力行使に至らないようするための賢明な判断を心からお願いします。そのことが結果的に自衛隊員のみなさんを守る力となります。まだ憲法9条には自衛隊員を守る力があるのです。
これまで述べたように、ジブチ基地の維持、南スーダンPKO派遣は、日本が米国と協力して、中東、アフリカで軍事的な存在感を示したいという現政権の危険な試み、としかいいようがありません。ところが、8月23日から来月1日まで、自衛隊と米軍は連携し、初の在外邦人などの輸送訓練を実施するとのことです。実施エリアは、宇都宮駐屯地、小牧基地からジブチまでとのことです!小牧基地が組み込まれています。
基地司令、小牧基地を憲法違反で危険な試みに組み込むことを拒否してください。隊員のみなさんの生命を守ることに専心してください。以上申し入れします。
2016年8月27日
不戦へのネットワーク