サミット警備を名目のオスプレイ飛来に対する要請書(2016年5月28日) |
小牧基地指令 野中 盛様
隊員の皆様
伊勢志摩サミットが開催されました。いわゆる先進国と言われる国々の首脳があつまり、今後の世界の有り様を決めるという会議です。私たちは、国連という場がありながら「先進国」の首脳だけで世界のことを決めるサミット自体おかしいと思っていますが、その評価はさておき、サミットでの要人警護を理由に、5月20日午後、米軍機オスプレイ5機が、県営名古屋空港の滑走路に「ひっそりと」着陸しました。報道によると、外務省の要請とのことで事前に県民には知らされることはありませんでした。
私たちは、サミットの警備を理由としたオスプレイの飛来に対し、断固抗議をします。サミットの警備は「テロ」の脅威を名目にまるで戒厳令のような警備態勢が敷かれています。名古屋空港へのオスプレイ飛来を始め、名古屋港には護衛艦「いずも」をなどの自衛隊艦船が寄港し、いたるところに警察官が配置され市民生活に大きな支障が生じています。明らかな過剰警備です。
そもそも、オスプレイは、開発段階から事故が多発している欠陥機です。普天間基地に配備された当初は、10万飛行時間当たりの重大(クラスA)事故の発生率は1・93件でしたが、15年12月時点で3・69件と約2倍に増加しています。沖縄への配備に際しては、県民の多くが反対し大規模な県民集会を開き意思表示をしました。それにも関わらず配備が強行され、配備後は、運用制約は形骸化し、夜間飛行や市街地上空での飛行を繰り返しています。事故が多発する危険極まりないオスプレイが、市街地が広がる名古屋空港周辺を飛行することは断じて許せません。
小牧基地のあり方について地元二市一町は「輸送と教育」という従来の役割に限定するように再三防衛省に申し入れています。今年おこなわれた、小牧基地航空祭でのブルーインパルス飛行についても、中止の要請をしています。しかし、近年の小牧基地は、空中給油機の配備、ブルーインパルスの強行、加えて政府の武器輸出解禁に伴って隣接する三菱重工小牧南工場での国産スシテルス戦闘機の開発、最新鋭ステルス戦闘機F35の修理拠点候補、新型空中給油機の導入などが進められようとしており、基地機能の強化が進んでいます。今回のオスプレイの飛来を契機に、米軍機の飛来が常態化をするのではないかと危惧します。周辺住民や自治体の意向を無視した、危険なオスプレイの飛来がないよう強く申し入れます。
沖縄で、元海兵隊員による、女性殺害遺棄という悲惨で壮絶な事件が起きました。1972年の本土復帰後だけを見ても、米軍人や軍属やその家族による犯罪が、検挙されただけでも5800件で、殺人や強盗、レイプなど凶悪犯罪は394件にものぼります。沖縄の人たちは、このような事件が起こるたびに何度も何度も「地位協定の改訂」など、何度も何度も訴えてきました。しかしながら、オバマ大統領と安倍首相の口からは、抜本的な解決をするという言葉は出ませんでした。むしろ、サミット開催前に謝罪するというパフォーマンスをみせ、事件の沈静化を図ろうとしているかに見えます。
沖縄でのこのような事件は、0.6%の国土に74%もの米軍基地が集中し、常に世界のどこかで戦争をしている米軍基地の存在が引き起こしたと言えます。軍事組織の本質は、敵を殺すことです。そのためには人間性をなくし、平気で人を殺すことができるよう人格を変える訓練をします。基地があるゆえのこのような事件事故をなくすには、全ての米軍基地の撤去しかないと考えます。
安倍政権により、安保法制=戦争法の成立し、施行され、自衛隊が他国の軍隊と共に海外で戦争ができるようになりました。小牧基地の約割もこれまで以上の重要になり隊員の皆さんの負担も過重なものになってくるでしょう。沖縄の例を見るまでもなく、基地・軍事組織の役割が増大する社会は、市民社会に大きな犠牲を強います。小牧基地がこれ以上の機能強化をしないよう、また、オスプレイなど米軍機の飛来がないよう、申し入れます。
2016年5月28日 不戦へのネットワーク