不戦へのネットワーク


憲法違反の戦争法に関わる要請書(2016年3月26日)

自衛隊小牧基地指令 野中 盛様
自衛隊員の皆様

憲法違反の戦争法に関わる要請書

私たちはことあるごとにこの小牧基地の正門を訪れ、戦争法(安保関連法)にかかわる幾多の要請やお願いをしてきました。それは若い隊員のみなさんが、憲法違反の命令で命をおとしたり、負傷をしたりすることのないよう願っているからです。それとともに、本来、中立をたもって接すべき海外の人たちに銃を向けることのないようにも願っています。そして、東アジアの平和な環境を整えるための努力も強く訴えてまいりました。しかし、いま、私たちのこれらの願いは踏みにじられようとしています。

1.政府は戦争法(安保関連法)の施行を3月29日とすることを閣議決定しました。29日までに関連する約20本の府省令、約40本の訓令も定めるとしています。PKOなどで拡大する武器使用の手続きや規範に関する訓令も29日までに定めるとしています。武器使用に関しては、自己防衛のための現行の規則が、武力行使、交戦を前提としたものに変えられれば、それは憲法違反です。自衛隊員のみなさんは、この規則を前提とした命令に従う必要はありませんし、また従ってはいけません。審議を尽くすことなく、憲法を無視して戦争法(安保関連法)を強行成立させた安倍政権は、隊員のみなさんに今大きな負担を強いていると言えます。
戦争法(安保関連法)に対して多くの市民が、戦争法(安保関連法)は憲法違反であり、廃止すべきであるとして運動を続けていますし、野党五党は廃止法案を衆院に共同提出しています。政府・与党は「より一層の理解を得るため努力」するとしながら、廃止法案の審議に応じようとさえしていません。その一方で、南スーダンでのPKOに関して「宿営地での共同防衛」や「駆け付け警護」は今秋に先送りするということです。安倍首相は「自衛隊員の任務はこれまで同様、危険がともなう、しかし、全ては国民のリスクをさげるためだ」と防衛大の卒業式で述べました。武器使用を認めた任務を拡大して自衛隊員の任務はこれまで通りで、武力行使をみとめられた自衛隊が海外展開しているのに、国民のリスクが下がるなどありえません。
安倍政権が、野党5党で共同提出している戦争法廃止法案の審議に応じるよう、防衛省に上申してください。若い隊員のみなさんに憲法違反の任務を強いることをやめてください。

2.私たちが申し入れの活動を続けているのは、基地司令始め隊員のみなさんに私たちの意見を直接届けたい思いがあるからです。しかしながら、この3月13日の小牧基地航空祭において、ブルーインパルスの編隊飛行がなされました。昨年の飛行では、春日井市、小牧市、豊山町の2市1町が中止を申し入れていましたし、この3月7日には、春日井市と市議会、住民による協議会が「絶対に容認できない」と抗議をしていましたが、小牧基地は地元の理解を得ることなく強行しました。とても残念です。私たちは、この小牧基地の決定を、安倍政権が進める強行的な姿勢、たとえば沖縄辺野古への新基地建設への姿勢などと重ねあわせてみています。自衛隊のような実力部隊が住民の意見を聞かないという事態は、民主主義の根幹にかかわる問題と思っています。ブルーインパルスの飛行は、地元住民に騒音と事故への不安を強いてまで行うべき大事なことのようには思えません。
小牧基地司令にお願いします。地元住民との信頼醸成のために、ブルーインパルスの飛行を今後はとりやめてください。

3.3月7日より米韓合同軍事演習が続けられています。この演習は昨年6月に米韓連合軍司令部が作成した対北先制攻撃を念頭においた「5015作戦」を適用したものとされています。この演習には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)も反発を強めています。核攻撃や報復攻撃で対応すると繰り返し表明しています。懸念されるのは偶発的な戦争の勃発です。これまでの米韓日の強行的な姿勢は、かえって北朝鮮指導部の軍事化、核開発を煽る結果となっています。私たちはこの挑発的な米韓軍事演習がただちに中止されることを願っています。新たな日米のガイドラインがとりきめられ、戦争法(安保関連法)が施行されれば、自衛隊も関与していくことはあきらかです。
自衛隊が東アジアでの戦争危機を煽ることに加担することのないよう申し入れをします。上申してください。

以上3点、基地司令としてしかるべき対応をされることをお願いします。

                             2016年3月26日

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