不戦へのネットワーク


ブルーインパルス飛行等についての要請書(2012年10月6日)

小牧基地司令  荒木 淳一様
隊員の皆様

 基地司令や隊員の皆様の日頃のご努力に敬意を表します。制服を脱げば、私たちと同じように家族とともに命を大切にし、幸福を追求する権利が皆様にもあると考えてきました。また、憲法9条こそが自衛隊員の命と安全を保障していると考えてきました。しかし、とりわけ野田政権が成立して以降、皆様の日頃の任務が憲法を超えて大きく変質しつつあることを強く危惧せざるを得ず、要請の前にその点について述べます。

 ご存知のように、オスプレイ問題で、その危険性から沖縄県を先頭にその関係する自治体や住民の猛反対に対し、野田政権は「アメリカが決めることで、日本がどうこうしろという話ではない」と発言し、森本防衛大臣も「米国の権利であり拒否できない」と発言し、海兵隊の予定通りに配備され、訓練が強行されています。

 自国では、反対があれば中止するオスプレイ飛行訓練を、日本国内では予定通りに強行する米国の姿を、皆様はどう思われるでしょうか。野田政権は、その米軍に対し地球規模で自衛隊を積極的に協力させると「動的防衛力」の名前で宣言しています。アメリカ軍が一時も休まず、どこかで戦争をし続けている国だという恐ろしさを自覚しているとは思われません。そして、アメリカはわざわざ8月15日を選んで、アーミテージ元国務長官に対日要求書でもある「日米同盟」という報告書を発表させました。有事における集団的自衛権の行使、PKOへの参加拡大、南シナ海での監視活動、ホルムズ海峡への掃海艇派遣、日米防衛協力の更なる強化などの要求です。アメリカからの大きな変質要求に日本政府が応じ、航空自衛隊が「今まで以上に米軍への支援を拡大する」となれば、小牧基地がその任務をさらに大きく担わざるを得ません。この大きな任務の変質を「イラク派遣」により経験し、隊員の皆様の命と安全が脅かされたことは、まだ記憶に新しいことです。この変質を任務の拡大として肯定するのではなく、「おかしいのではないか」と疑問を持っていただきたく、強く要請します。

 命令がすべてと思った瞬間、旧帝国陸海軍と同じ間違いを、今度は米軍とともに行うことになります。私たちの危惧が現実にならないよう、深く考えていただきたいと思います。

 さて、ブルーインパルスがこの基地に登場する1週間前になりました。「国際航空宇宙展」という、イベントにこの基地が後方支援として活用されます。オスプレイ問題で敏感になっている自治体や住民は、「とにかく基地はじっとしていて欲しい」につきます。小牧基地が戦闘機部隊から輸送部隊に変わったいきさつを記憶する住民はまだたくさんこの地域に存在します。今回のことが、来年、基地上空でのブルーインパルス展示飛行につながるのではないかという心配から、私たちは「国際航空宇宙展」でのブルーインパルスの後方支援であっても反対せざるを得ません。どうか、万が一のことを考え、基地航空祭での展示と後方支援を中止するよう要請します。

 次に、部品の落下などの事故の頻発に対し、厳重に抗議し、原因究明と再発防止対策を自治体や周辺住民に確約できるまでは、訓練を再開しないことを強く要請します。昨年12月、今年に入っても4月、8月、そして今月は飛行中のUH―60J救難ヘリコプターから部品の一部が落下するという事故が起こっています。

 基地は、その都度「原因究明と再発防止」を約束していますが相次ぐ事故からわかるように、事態は一向に改善されていません。小さな事故がいつか大きな事故につながるのではないかと危惧をしています。住宅が密集する基地周辺で事故が起これば大惨事になります。これでは、「共存・共栄」といっても不信感が増すばかりです。自治体に対しても私たちに対しても、再発防止対策を文書で提供するように強く要請します。住民の安全の保障なしに日本の安全保障はないと申し添えて、基地祭でのブルーインパルスの展示と後方支援を中止し、事故の再発防止策の提示を改めて要請します。

2012年10月6日
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