ブルーインパルス展示飛行に待ったをかけていただくための要望書(2009年7月6日/不戦へのネットワーク) |
小牧市長 中野 直輝様
私たち「不戦へのネットワーク」は、主に名古屋を中心に平和を求める活動を続ける市民グループです。近年、小牧基地が海外派兵の中心基地になってきたことに危惧を禁じえず、繰り返し小牧基地に申し入れを行ってきました。アメリカ政府の軍事要求による海外派兵を止め、また、各種訓練による地域住民の不安や爆音被害を出さないように要望してきました。
気がつけば、基地の駐機場に巨大な空中給油機が3機並び、その後ろにC130がずらりと並ぶ光景が日常化しています。誰が見ても基地機能強化が進められていると理解できます。それに比例して、基地に関連する軍用機事故が多発していることも記憶に新しいことです。
このような状況の中で、今年3月、新たに着任した谷井基地司令による、航空祭でのブルーインパルス展示飛行発言が出てきました。私たちは、市民グループとして「中止」の声を上げるとともに、関係自治体、とりわけ小牧市長に対し、基地側が今年も断念せざるを得ない意思表示をしていただきたく、申し入れに参りました。
いわゆる米軍再編の進行の中で、各地の航空自衛隊基地でアメリカ空軍の戦闘機F15やF16が訓練名目により何日間も居座る状態になっています。自衛隊機に加え、アメリカ軍機の爆音・騒音や事故の不安が増大する中、基地を抱える自治体から強い声が上がらない一つの大きな理由に、「安保・防衛問題は国の専権事項だから口出しはできない」という思い込みがあるのではないでしょうか。従って、基地があるために起こっている住民の不安や爆音・騒音被害を止めることは地域住民の生命と生活を守らねばならない自治体の責務であることまでを、その思い込みによって忘れてしまっているのではないかと思います。関係自治体が住民の立場に立って強い意思表示をやめてしまうとき、「日米同盟の強化」という流れに中で、基地側は一歩一歩それまでできなかったことをやるようになり、やがて既成事実化していき、日常化していくことになります。小さなミスや小さな事故の積み重ねの先に、大きな事故が起きることはどの分野でも例外ではありません。しかし、自衛隊は、この法則に反し、より危険な訓練をわざわざやることによって自信を深めるという組織体質を宿命づけられています。この体質こそ、自治体・住民にとっても、また自衛隊員にとっても認めることのできないものなのです。今回のアクロバット飛行計画もその延長にあります。
今回、特に注目しなければならない点は、防衛省がこの計画をやりきるためにこそ新司令を着任させたことです。谷井司令は、ブルーインパルスを持つ第四航空飛行群司令と、住民対策も行う情報本部主任分析官も歴任してきた人物です。3月24日、着任当日「小牧の空に、美しい花を咲かせたい」と言ってしまう人物です。片方で、「地域住民との共存共栄を図りたい」とも言っています。しかし、危険な曲芸飛行を「美しい花」と言ってしまう人物と地域住民は共存できるでしょうか。防衛省は、小牧基地を海外派兵の中枢基地に位置づけ、基地開庁50周年を派手に盛り上げ、ブルーインパルスで存在感を示し、基地機能強化を住民や自治体に見せつけるという強い意志で臨み、それを新司令がやり遂げる方針です。そこには、住民の平穏な生活や自治体の立場に対する配慮など全く見られません。「基地にはじっとしていてほしい」(小牧基地でジェット戦闘機が墜落した時の住民の声)と望む住民や自治体関係者の声を中野小牧市長には真摯に受け止められ、一日も早くブルーインパルスの飛行実施を認めないよう表明していただきたいと、強くお願い致します。
不戦へのネットワーク 2009年7月6日