政府の進めるソマリア派兵は「海賊対処」の範囲を完全に踏み越えています(2009年5月24日) |
■政府の進めるソマリア派兵は「海賊対処」の範囲を完全に踏み越えています。
政府は、3月13日ソマリア沖の海賊対策と称して、現行法の自衛隊法82条の海上警備行動に基づき、14日、海上自衛隊呉基地(広島県)から、護衛艦2隻を派遣し、更に5月17日、海自のP3C対潜哨戒機2機と陸上自衛隊の精鋭部隊「中央即応連隊」を、ソマリアの隣国ジブチに派遣する命令を出しました。この命令を受けて、18日、先遣隊と、関連装備品の輸送のためと称して航空自衛隊のC130輸送機を派遣しました。
自衛隊法82条を拡大解釈し、他国の主権がおよぶ一般地域に治安を目的に自衛隊が初めて派遣され、「海賊対策」を名目に陸海空の三自衛隊の統合運用を実践するものです。
■ソマリア派兵は「テロとの闘い」の一環
ソマリア沖での「海賊対策」は、アメリカの「対テロ戦争」を支援することになります。オバマ政権は、アフガニスタンを対テロ戦争の主戦場として位置づけ、増派を行おうとしています。これを支援するためのインド洋での海上自衛艦2隻に加え、日本のP3Cが海上での哨戒を行うことで、アメリカの対テロ戦争を下支えするものです。
■ソマリアへの地上攻撃も視野に
昨年12月、国連安全保障理事会は、アメリカの主導でソマリアの領土・領空での軍事作戦を可能とする決議1851を採択しました。
これに基づき、4月16日の国会で、民主党の議員の「各国の軍がソマリアへの地上攻撃の可能性」を指摘したことに対し、中曽根外務相は、「仮に指摘の事態が生じても海賊の取り締まりは犯罪の取締りなので、武力行使に該当しない」と答弁をしています。
「海賊」ならば他国の民間人を殺戮しても問題はないという政府の答弁は、海外で武力行使を容認する決して許してはならないものです。
■「海賊対処法」は海賊版「派兵恒久法」
4月23日衆議院を通過し、参議院で審議をされようとしている、「海賊対処法(案)」は海自に大幅な武器使用の緩和を認めています。先制的な「危害射撃」によって人を殺しても罪にならないことを規定しており、「国の交戦権の否認」を定めた憲法9条2項に明らかに違反します。「海賊対策」を名目に、いつでも、どこにでも、どれだけでも自衛隊を派遣できる法律です。
政府・防衛省が制定しようとしている、「海外派兵恒久法(一般法)」の海賊版といえます。
私たちは、「海賊対策」を名目の海外派兵を認めず、以下を訴えます。
○ ソマリア沖海域から海上自衛隊艦隊を即時帰還させること
○ ジブチへのP3C哨戒機と海自隊員の派遣、駐機場警備を名目とする陸自部隊の派遣、関連輸送活動を口実とする空自C130輸送機の派遣をすべて中止すること
○ アフガニスタン侵略を続ける米軍を支援するためのインド洋・アラビア海での海自の給油活動を停止し、補給艦隊を帰還させること
○ 国会で審議中の「海賊対処法案」を撤回すること
○ 「海外派兵恒久法(一般法)」を制定しないこと
● 有事法制反対ピースアクション(2009年5月24日)