4・4 ソマリア派兵反対! 海賊対処法反対!集会アピール(2009年4月4日) |
政府は、3月13日ソマリア沖の海賊対策と称して、現行法の自衛隊法82条の海上警備行動に基づき、14日、海上自衛隊呉基地(広島県)から、護衛艦2隻に自衛隊員400人、特殊部隊の特別警備隊員のほか、海上保安庁の保安官8人も乗船し、ソマリア沖での海上警備行動を開始しました。また、新たに「海賊対処法案」を閣議決定し、今国会でも成立を目指し、海賊対処法の下での活動に切り替えようとしています。私たちは、「海賊対策」に名を借りた新たな自衛隊の海外派兵に反対します。
そもそも、海賊という犯罪に対しては海上保安庁がその対策に当たるのが任務です。自衛隊法82条でいう「海上警備行動」は、外国船による領海侵犯を想定しているものであり、その活動範囲は日本の領海内を想定しています。遠いソマリア沖での活動は、「自衛隊の派兵」ありきを目的に都合のいいように解釈を拡大した違法な派兵です。
更に、「海賊対処法案」は、海上保安庁法第20条2項が規定する「危害射撃」の権限を準用して停戦のために海上自衛隊にも武器使用の権限を認めています。これまで、自衛隊の海外での武器使用は正当防衛や身体防御・緊急避難の場合に限定されていましたが、今回の法案は初めて「敵」を想定し、武力の行使ができるという内容です。また、日本船籍や日本の事業者が運行する船舶だけでなく、外国船まで護衛対象を拡大しています。また、派遣期間や派遣地域も決められておらず、対象を拡大化解釈すれば自衛隊がいつでもどこへでも派兵でき、「戦闘行動ができる」という、まさに「海賊版派兵恒久法」といえます。
また、ソマリア沖には、海上自衛隊の護衛艦だけでなく、隣国にジブチと地位協定を結びP3C対潜哨戒機2機を派遣し、海上自衛隊員100人前後が駐留します。C130輸送機で日本から定期的に物資を輸送し、更に陸上自衛隊が「基地警備」をすることも検討されています。そのために、防衛省は、カタールにある米軍の合同航空作戦センター(CAOC)に空自要員を連絡官として送るとしています。CAOCは米中央軍が管轄する中東やソマリアを含むアフリカ北西部での航空作戦を一元的に指揮する司令部で、イラクやアフガニスタンに駐留する英軍やオーストラリア軍も要員を派遣しています。実現すれば、陸海空の三自衛隊が実戦で統合運用を行う始めてのケースになります。また、憲法の禁止する「集団的自衛権の行使」にあたります。
ソマリアの海賊問題は欧米各国の介入がつくり出したソマリアの内戦による無政府状態と漁民など住民の貧困、大国の海洋支配への反発が根本原因であり、この解決なくして「海賊問題」の解決はありません。憲法第9条をもつ日本の政府がまずなすべき事は、アフガニスタン攻撃以来、極めて安易になった列強の軍事介入に加担することではなく、アフリカ諸国の和平努力に協力し、沿岸諸国の自主的な努力に協力し、この地域の貧困と破壊を食い止めるためのあらゆる可能な平和的援助の努力です。
朝鮮民主主義共和国の衛星発射に対するミサイル防衛発動と並んで、「敵」を想定した実戦配備が日本国内とソマリア沖で進んでいます。憲法をないがしろにし、武力行使にもつながる、ソマリア沖への海上自衛隊の派兵を直ちに中止し、海賊対処法を廃案にするよう、反対の声を大きく上げていきましょう。