イラク派兵の実態を明らかにすることの申し入れ(2008年12月20日:不戦へのネットワーク) |
小牧基地司令 様
イラク派遣隊の撤収が開始されました。
五年前に派兵を開始したとき、私たちはみなさんに「殺すな、殺されるな」と呼びかけました。幸いにしてイラクの人々を直接殺すことや、皆さんが死傷するようなことはありませんでした。
撤収開始に先だってイラクで犠牲になった人々へ黙祷をしたと報ぜられました。どのような想いで黙祷したのでしょうか。
イラクで亡くなった人々は地震などの自然災害での犠牲者ではありません。戦争という人の意志で殺された人々です。アメリカなどの攻撃で殺されたり負傷したイラクの人々、でたらめな戦争にかりだされたアメリカ兵などの戦死者も犠牲者です。
皆さんは三万名を超えるアメリカ兵を輸送したと報道されました。皆さんがイラク国内の前線へ送り込んだ兵隊たちはイラクの人々をどれだけ殺したのでしょうか。皆さんがのせた兵隊のうちどれだけの数が戻れなかったでしょうか。皆さんの任務よって大勢の犠牲者がでたのです。
今回の派兵はイラクの復興支援のためという名目で強行されました。しかし実態は皆さんがご存知のとおりです。政府や防衛省のいう国際貢献という中身も日米同盟のためとすりかえられました。
皆さんは今回の任務のなかで「復興支援」の対象であるイラクの人々の顔をみることはなかったでしょう。アメリカ軍に「コンボイ」というコードネームを与えられ、アメリカ兵に「タクシー」と呼ばれた今回の派兵の意味を皆さんはどのようにうけとめたのでしょうか。
日米同盟とよばれても実態はアメリカ軍の戦争支援でしかない実態が徐々に明らかになってきています。このようなでたらめな派兵任務に皆さんのなかに政府への不満もあることも報道されています。
私たちは「ブッシュの戦争」「小泉の派兵」でしかない今回の派兵を拒否するように訴えてきました。派兵を疑問視する世論も増えてきています。名古屋高裁は4月違憲判決をだすにいたりました。
私たちは皆さんにお願いします。自分たちがイラクで行なってきたことの事実を公表してください。どのように命令され、なにをしてきたのか、なにを思ったのかすべてを明らかにしてください。
政府への不信感をつのらせながら、戦争の一翼を担ったことの追認やさらなる戦争体制作りに加わらないでください。
皆さんが経験したことは戦争のできる自衛隊作りに使われるべきではありません。皆さんがイラクの「復興」の一助になることを望み、平和をイラクの人々にもたらしたいと願ってイラクに赴いた想いはその経験と実態を広く市民の前に明らかにすることで叶えられます。
皆さんが再び戦場に赴くことがないためにも必要なことです。次はアメリカの支援ではなく日本の戦争に赴くことになるかもしれないからです。
私たちは小牧基地と防衛省に以下の要請をします。
1)イラク派兵の実態のすべてを情報開示すること
2)どのような形、名目でも今後自衛隊の海外派兵を行わないこと
2008年12月20日 不戦へのネットワーク