時代錯誤の田母神「論文」 首相・防衛大臣の任命責任は免れない(2008年11月12日配布) |
航空自衛隊のトップであった、田母神前航空幕僚長は、懸賞論文で、「わが国は蒋介石によって日中戦争に引き込まれた被害者」「(満州や朝鮮半島の)人々はそれまでの圧政から解放され、また生活水準も格段に向上した」などと侵略戦争を肯定し、また、「集団的自衛権の行使もできない、武器使用の制約も多く、攻撃的兵器の保有も禁止されている自衛隊を変え、自分の国を自分で守る体制にすることで侵略を未然に防止できる」とする論文を発表し、職を更迭されました。しかし、昨日(2008年11月11日)行われた参議院の外交防衛委員会の参考人質疑の中で、その発言を撤回するどころか、「私はいささかも間違っていない」と自己の主張の正当性を繰り返しています。
更迭されたとはいえ、このような歴史認識や憲法観をもった人物を航空自衛隊のトップに任命した、防衛大臣・首相に任命責任があります。戦前の反省を踏まえ、軍部の暴走を押さえるためにシビリアンコントロールを行うよう厳に定められています。しかし、確信犯の田母神前航空幕僚長の言動を止めることができない政府に対し、私たちは大きな危惧を覚えます。更迭・退職などという問題の揉み消しではなく、厳重な処分と、任命をした首相・防衛大臣の責任が厳しく問われるべきです。
日本は、アフガニスタン攻撃の開場補給活動として、また、戦後初めて戦地イラクへ陸・海・空三自衛隊を派兵しました。4月、名古屋高裁で航空自衛隊のイラクでの活動は憲法に違反するという判決が出ました。政府はこの判決を「傍論」としりぞけ、田母神前幕僚長もまた「そんなの関係ねえ」と、立憲主義を否定する発言を行っています。
インド洋(アラビア海)での給油活動を継続させようとし、日米軍事再編を進め、有事法を成立させた政府の姿勢と通じるものが、今回の他最上問題の根底にあるといえます。
自衛隊内部のこのような動きにストップをかけるためにも、首相・防衛大臣はきちっと責任を取るべきです。
有事法制反対ピースアクション