新テロ対策特別措置法改正案の廃案をもとめる決議文(2008年10月19日) |
今年1月、自民、公明両党は、新テロ対策特措法を、民主、共産、社民の野党により参院で否決された後、衆院再可決という異例なかたちで成立させました。審議の過程で、給油された燃料がイラク戦争に転用された事実が明らかになり、海上自衛艦の航海日誌が廃棄されているなどの疑惑も指摘されました。新法はこうした疑問点を十分明らかにすることなく成立しました。自衛隊の活動の国会承認も削除されました。
この法律に基づいて、今も自衛隊の補給艦が、インド洋で多国籍軍の艦船に燃料を供給し続けています。自衛艦が給油し続けたこの1年間、アフガニスタンはどう変わったでしょうか。国連の報告によれば1月から8月までに、アフガニスタン国内で1445人の民間人犠牲者が出たとのことです。これは前年にくらべ39%の増加です。その多くは米軍の空爆、「誤爆」によるものです。結婚式への参加者を『武装勢力』として攻撃したこともありました。こうしたことから、アフガニスタン民衆の怒りがつのっています。8月26日には、NGOペシャワール会の日本人ワーカーが殺害されるという本当に痛ましい事件が起きました。事件の真相は明らかではありませんが、アフガニスタン民衆の対日感情は悪化してきているといわれます。この事件は、自衛艦の給油活動というかたちで、多国籍軍に協力し続けていることが明らかになったことや、日本政府が陸上自衛隊の派兵を言い出し始めたことと無関係ではないと思われます。
今、アフガニスタンは最悪の状況です。ISAFは増派を決め、米軍はパキスタンへの越境攻撃を拡大しています。こうした状況の中でカルザイ大統領は、国連の場で、米軍の攻撃により一般市民の犠牲者が増大していることに懸念を表明しました。また、アフガニスタン政府がタリバーンとの和解に動いていることも報道されました。
7年間にわたる多国籍軍への給油は、アフガニスタンの安定と復興に役に立っているのでしょうか。むしろ、アフガニスタンの人たちを苦しめているのではないでしょうか。「現代戦において輸送等の補給活動もまた戦闘行為に重要な要素」として本年4月17日名古屋高裁「イラク派兵違憲判決」(5月2日に確定)に照らせば、インド洋での給油活動も、アメリカ軍等がアフガニスタンでおこなっている軍事攻撃と一体化した行動であって、憲法違反の疑いが強くあります。アフガニスタンで日本がすべきことは、戦争協力ではありません。アフガニスタンの現実そのものが、「対テロ戦争」は間違ったものであり、アフガニスタンの民衆になんの利益ももたらさず、武力平和を回復できないことを証明しています。
以上の理由から、私たちは新テロ対策特措法の延長に反対します。廃案とするよう自民、公明両党に強く要求します。民主党は衆院を解散するための戦術として、法案成立を「前提」とした国会での日程を考えていると、報道されています。私たちはこのことを懸念します。昨年「戦争に参加することは許されない」と言ってテロ対策特措法が期限切れになるまで国会で徹底追求・審議lを行ったように、本臨時国会でも手をゆるめずに他の野党各党とともに徹底した審議を行い、廃案に追い込む努力を最大限することを強く求めます。
2008年10月19日 「もうやめよう 海外派兵」集会・デモ参加者一同