PAC3ミサイルの実射訓練中止を求める要請書(2008年9月14日:不戦へのネットワーク) |
福田首相 様
林 防衛大臣様
防衛省は9月中旬から、アメリカのニューメキシコ州ホワイトサンズ射場で発射実験をおこなおうとしています。浜松基地に配備された機材を運び、米軍の協力を得て実施するということですが、実験の経費は23億円もかかると言います。
私たちは、以下のような理由で、アメリカで行われる実射訓練の中止を強く求めます。
ミサイル防衛(MD)はイージス艦から発射されるSM3は一機20億円、地上発射のPAC3は5億円もし、当面導入するシステムだけで1兆円、将来的には6兆円もかかるといわれています。巨額の資金は、守屋元防衛事務次官の「防衛汚職」に端的に現れているように、その利権をめぐって防衛省と日、米の軍需産業の構造的な癒着を生み、軍需産業に莫大な利益をもたらします。
ミサイル防衛の導入は、新たな軍拡と軍事的緊張をもたらします。ポーランドは8月20日、アメリカのミサイル防衛計画の迎撃ミサイル施設をポーランドに配備する文書に正式調印しました。このことは、グルジア問題で緊張が高まっているロシアと関係を一層悪化させ、緊張を高めるものになります。日米の軍事一体化がさらに進み、アメリカの「テロとの戦い」により深く日本がかかわり日本の軍事化を進めることになります。ミサイル防衛では、アメリカの衛星の情報から日本のミサイルが発射されることになります。このシステムは日米の共同戦争であり、集団的自衛権の行使です。このために3軍統合幕僚監部をつくり、横田基地に日米の共同作戦司令部の設置をすすめています。
ミサイル防衛は武器輸出禁止3原則、宇宙の平和利用原則、日本国憲法の平和主義に反するものです。
巨額の費用は、戦争の準備のためでなく、民生の安定と平和のために使われるべきです。憲法の平和主義を破壊し、戦争への道につながるミサイル防衛は中止すべきです。
アメリカニューメキシコで予定されている、実射訓練に反対するとともに、今後進められようとしている全国各地へのPAC3配備の中止を強く要請します。
2008年9月14日
不戦へのネットワーク