航空自衛隊のイラクからの撤退を求める申し入れ書 (2008年7月26日) |
航空自衛隊小牧基地司令 石野次男様 隊員の皆様
まず、先回6月26日の申し入れの際に、私たちの法に基づいた申し入れ行動に対し、隊内から隠し撮りをするという行為に対し、厳重に抗議をします。私たちの申し入れ行動は、事前にアポをとり、貴隊の担当者の方と事前に話をして行うという平和的で法に基づいたやりかたで行っています。昨年、イラク派兵に異議を唱える団体・個人を情報保全隊が監視をしていたといことが明らかになり、大きな問題になりました。私たちの、請願権、並びに表現の自由を侵害するような行為は今後一切やらないように強く申し入れます。
さて、4月17日の名古屋高裁での「自衛隊の活動、特に航空自衛隊がイラクで現在行っている米兵等の輸送活動は、他国の武力行使と一体化したものであり、イラク特措法2条2項,同3項,かつ憲法9条1項に違反する」とし、加えて、「平和的生存権は全ての基本的人権の基礎にあってその享有を可能ならしめる基底的権利であるとし、単に憲法の基本的精神や理念を表明したにとどまるものではない」とし、平和的生存権の具体的権利性を認めた判決後、初めての派兵が今月行われました。法治国家である日本が、憲法判断を下した裁判所の決定にも従わず、諾々と派兵を続ける現状は修正しなければなりません。
12月で切れる国連決議を目前に控え、アメリカとイラクは駐留の根拠となる二国間協定を結ぼうとしていますが、その内容をめぐって今月末の締結は困難という見方が出ています。それに合わせるかのように、閣僚や議員の中からも自衛隊の年内撤退の声も漏れ聞こえてきます。アメリカと行動をともにしてきたイギリス軍さえ来年前半の撤退に向け動きだしています。2003年のイラクへの軍事介入後の世界を、酒井啓子さんは、その著書「イラクは食べる」で「他国への軍事介入を主権侵害とする従来の国際政治の「常識」が、米軍の攻撃でひっくりかえされ、かつて植民地支配だと糾弾された外国の支配が「復興」だとか「人道支援」といった美名へと価値転換される」と言っています。日本はまさに、「日米同盟」を最優先に上げ、主権侵害=侵略と植民地支配を人道復興支援の美名の下に行っています。撤退計画ももたず、アメリカ任せで派兵を継続する日本政府は無責任極まりないものです。一刻も早く自衛隊は撤退すべきです。
8月中にも召集される臨時国会では、昨年同様、インド洋(アラビア海)でも給油を目的とした新テロ特措法が焦点になります。今臨時国会では上程を断念したと言われる「派兵恒久法」が提出されるのも間近だと思われます。私たちは、9・11以降のアメリカブッシュの行っている「非常識」を「常識」に戻す努力をしないといけません。
米英軍のイラク侵攻でイラクに何がもたらされたのか、イラクの人たちがどれだけ多く殺され、国内外に逃れ、今のその恐怖は去っていないと言うことを。自衛隊がとりわけ航空自衛隊がイラクで行っていることがイラクの人々に何をもたらしているのかを、もはや皆さんは気がついていると思います。
この門前に、一日でも早く立たなくてもいい日がくるように、基地指令はじめ隊員の皆さんは、イラクの現状を認識し、法に従って、自衛隊のイラクからの撤退を意見具申されることを申し入れます。
2008年7月26日 有事法制反対ピースアクション