有事法制反対ピースアクション 不戦へのネットワーク

航空自衛隊のイラクからの撤退を求める申し入れ書 (2008年6月28日)

航空自衛隊小牧基地司令   石野次男様  隊員の皆様

 今月もまた、この基地の正門前に立ち、基地司令及び、航空自衛隊員の皆さんに、4月17日の名古屋高裁が出した違憲判決が生かされず、「イラクからの即時撤退を求める申し入れ」を行わなければいけない状況を非常に残念に思います。2003年4月のイラク攻撃開始から、5年以上。その間に、理不尽に殺され、傷つけられ、故郷を追われ、日常の生活を破壊された多くのイラクの人々の犠牲に思いを馳せて、本日も自衛隊の戦争加担の中止を求める申し入れをします。

アメリカの意図がますます明らかに

 本年末に、米軍のイラク駐留の根拠である国連安保理決議の期限が切れるため、アメリカ・イラク間の協定が必要とのことで、交渉が行われています。その詳細は、明らかにされていないため、私たちでは到底わかりませんが、少ない報道によってもその内容はイラクの主権を侵害し、アメリカの長期駐留を意図するものであることがわかります。その内容は、@米兵や米軍と契約する民間軍事会社の社員らの刑事免責A米軍のイラク人逮捕権Bイラク政府の許可を必要としない軍事行動C領空、水資源の支配権、更には、イラク国内58カ所の基地使用も求めているというものです。ウソの開戦理由によって、国土を破壊され、殺され続けている上に尚このような理不尽な内容を突きつけられている状況を皆さんはどのように考えられるでしょうか。一国の独立した主権国家に対し、まるで植民地のような要求を突きつけるアメリカの傲慢さ、侵略性があからさまになっていると考えざるを得ません。マリキ首相は、「断固として拒絶する」「決して受け入れられない」と明言しています。当然のことと思います。

アメリカの理不尽なイラク侵略に自衛隊はかかわるべきではない

 そのようなアメリカのイラク侵略に加担し続けるために、政府は6月13日の閣議で、イラク特措法に基づく航空自衛隊のイラク派兵に関して、来年7月31日まで1年間延長をする基本計画の変更を閣議決定しました。自衛隊法第3条では、「自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする。」としています。自衛隊の存在そのものに対する、私たちの立場の違いを抜きにしても、自国の主権を守ることを本分とする自衛隊員の皆さんが、一方で、他国の主権を侵害するアメリカの理不尽なイラク政策に加担はすべきではありません。

改めて、4・17イラク派兵違憲判決を生かし、自衛隊のイラクから即時撤退を

 4月17日、名古屋高裁で、「自衛隊の活動、特に航空自衛隊がイラクで現在行っている米兵等の輸送活動は、他国の武力行使と一体化したものであり,イラク特措法2条2項,同3項,かつ憲法9条1項に違反する」との判決が出たことは、以前の申し入れの中でも指摘しました。この判決のもうひとつの重要なポイントは、平和的生存権を基本的人権の基底的な権利と認めたことです。この違反要件として、「憲法9条に違反する戦争の遂行、武力の行使等や戦争の準備行為等」への「加担・協力の強制」などを挙げています。言うまでも無く、基地司令はじめ自衛隊員の、日本国憲法下で、自衛隊員としてまた、一市民として仕事や生活を日々送っています。今回の判決は、戦地イラクで危険な活動を強いられ、日々平和的生存権を脅かされ、違憲・違法な任務に就かざるを得ない自衛隊員の皆さんにこそ生かしてほしい判決です。
 改めて、アメリカの侵略戦争に加担することはやめ、4.17判決を生かし、自衛隊のイラクからの即時撤退を意見具申をしてください。基地司令ならびに隊員の皆さんは、その権利と義務があります。

2008年6月28日  有事法制反対ピースアクション


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