不戦へのネットワーク   有事法制反対ピースアクション


県営名古屋空港の平和利用についての質問

2008年4月26日
愛知県知事 神田 真秋様

不戦へのネットワーク
代表 水田 洋
名古屋市昭和区鶴舞3−8−10
労働文化センター2階

 貴職におかれましては、日々県民のための県政にご尽力されていることに敬意を表します。
これまで何度も私たちとの話し合いに応じてくださり、感謝申し上げます。昨年、11月にもF2支援戦闘機事故について質問させていただきました。それ以後、今年2月には、私たちが、長年導入に反対をしていた空中給油機が配備されるという事態になりました。今回の質問は、その給油機導入を中心に、県営空港の機能強化の問題や県のこれからの方針などを質問させていただきます。質問は多岐にわたりますが、ご回答をお願いいたします。回答時期は、5月中旬から下旬までにお願いいたします。
 尚、4月17日、名古屋高裁で「自衛隊の活動、特に航空自衛隊の活動が現在イラクで行っている米兵等の輸送活動は、他国による武力行使と一体化したものであり、イラク特措法2条2項、同3項、かつ憲法9条1項に違反する」という、違憲判決が出ました。小牧基地が、空の派兵拠点として機能し続け、更には基地強化が行われるなかで、憲法に反する行為をこの基地で行わないようにということを、空港を管理する県として態度表明をしていただきたいことを申し添えます。



○小牧基地に空中給油輸送機が導入されたことについての質問
1.小牧基地ではすでに格納庫の建設が行われ、空中給油機配備の準備が進んでいます。配備に伴った人員増や施設の整備など県は把握されていますか。

2.報道によると空中給油機の、09年度の離発着回数は80回程度とされていますが、どのような訓練をされるのか把握されていますか。

3.導入に伴い、騒音区域の再調査が行われているようですが、その範囲、騒音の想定などどのようにされていますか。三菱重工に搬入された戦闘機などの整備・点検の際の、エンジンテストの騒音は、測定されていますか。
 滑走路上でのエンジンテストなどの騒音は、補償の対象に入っていますか。

4.導入容認に際して、二市一町に、周辺整備調整交付金として計6億円が、06年度から5カ年で順次交付されていますが、各自治体への金額、使途はどのようになっていますか。

5.小牧基地では、昨年10月のF2支援戦闘機の墜落・炎上という事故も起こっています。万が一、空飛ぶタンカーと呼ばれる空中給油機の事故が発生した場合大惨事になることが予想されます。消防体制など、安全対策はどのようにされていますか。


6.空中給油機は、機体の安全性にかかわる実験に合格できず、アメリカ連邦航空局の型式証明がとれなかったという理由で昨年度末の導入予定が延期されました。イタリアでの導入も遅れているということですが、このような導入経緯のあるKC-767Jの安全性についてどのようにお考えでしょうか。

7.航空自衛隊は、小牧基地の空中給油機の実用試験に伴い、3月末に、沖縄那覇基地およびその周辺で、米空軍の空中給油機の支援を受け、空自F-15支援戦闘機への訓練を行いました。このような訓練は6回目になりますが、日米軍事再編が進む中、小牧基地の空中給油機が将来、実用段階になった場合、米軍の戦闘機への給油は想定されているとお考えですか。

8.2月20日付中日新聞によると「空中給油・輸送機は、領空侵犯に対してスクランブルする戦闘機への支援などを目的」と記されています。また、防衛庁(現防衛省)は空中給油輸送機の導入目的について「(1)戦闘機訓練の効率化(2)空中警戒待機(CAP)など防空能力の向上(3)国際協力任務の輸送活動の効率化」としています。愛知県は、空中給油機導入に際し、従来の小牧基地が持っている「輸送」の任務を拡大するものではなく、基地機能強化に当たらないという見解でしたが、実際に導入された今、その見解は変わりませんか。変わらないとすれば、前述の記事並びに導入の目的についてどのようにお考えになりますか。

管制塔移転関連
○ 3月8日中日新聞に管制塔の小牧基地側への移転の記事が載っていました。関連の質問です。

1.記事中に現在の管制塔の使用で空自は国交省、県に年間で計約3280万円支払っているという記載がありました。管制塔の使用者(管理責任)はどこになるのでしょうか。(記事から推察すると空自ということになるようですが)

2.管制の建物、施設、機器の維持、管理も空自になるのでしょうか。県の管理責任は及ぶのでしょうか。

3.管制業務は防衛省(具体的には空自小牧管制隊)がおこなっています。県と防衛省との関係はどのようなものなのですか。県が業務を委託している(たとえば空港運営に指定管理者をおいて契約しているのと同様のもの)かどうか。契約や協定があるならその内容か文書を公開してください。

4. 金銭的関係(委託料など)はあるのでしょうか。

5. 管制業務への県の責任の及ぶ範囲があるのでしょうか。自衛隊の管制業務の監督や管理責任はあるのでしょうか。

6. 自衛隊の管制業務の責任や指揮監督は、国交省が直接おこなっているのですか。

7. 管制業務と空港の設置管理者としての空港運営とは一体のものですか。それとも制度上異なっているのですか。根拠となる法令も含めてお答えください。

8. 管制塔移転はすでに08年度防衛省予算に計上されているということです。3月8日の中日新聞の解説記事には非公式にも県や関係自治体に打診はなかったとあります。空港の設置管理者の事前了承なしに防衛省が移転をきめることができるのですか。もしできるということでしたら法令や協定など根拠を明らかにしてください。

9. 移転の計画は本当に打診もなにもなかったのですか。本当なら県はどう対処するのですか。こうしたことに県としてはどう対応されたのですか。

10.報道にある管制機器の更新時期の到来、使用料問題といった金銭的問題以外で、管制塔が現在の位置にある不都合はあるのでしょうか。管制業務の実務にとっての不都合な点です。基地側にあることのメリットがあるとすればどのようなことがあげられますか。

11.現在地に管制塔が建てられたのは「国際空港として飛躍する第一歩に」ということだったようです。空港のシンボル的存在の管制塔が基地側にあるのか民間側にあるのかは名古屋空港の性格付けに大きな意味があると当時に空港関係者(国)は考えていたということです。このような考え方にたつなら、基地側に管制塔が移転するというのは、自衛隊基地という性格付けが前面にでることになると思いますが県の見解はどうでしょうか。

12.管制塔は旧陸軍、米軍駐留時代もふくめて69年まで基地側にありました。県側に移転をした経緯はどのような理由でしたか。その記録を示した文章はありますか。

13.今回の移転で基地側にもどるというのは、再び名古屋空港は基地であることを内外に示すものになるのではないでしょうか。


○ 米軍機F18緊急着陸問題の関連
昨年、11月28日、米軍の韓国烏山(オサン)基地から神奈川県の厚木基地に向かう途中の米海軍F18戦闘攻撃機2機が県営名古屋空港に緊急着陸した件について
1.着陸許可を求めてきたのは誰ですか。パイロットから直接ですか、米軍または自衛隊からですか。パイロット以外の場合はどのような経緯をたどってきたのかも明らかにしてください。

2. 着陸許可は誰が出しましたか。

3. 着陸許可が出た経緯について時系列にそって具体的に明らかにしてください。

4. 県への連絡や対処の経過を時系列にそって明らかにしてください。

5. 県からの関係機関への連絡、対処も同様に明らかにしてください。

6. 名古屋空港に着陸したのは何故ですか。この地域には浜松基地や岐阜基地など民間に影響をあたえず、戦闘機が離発着するのに十分な滑走路をもった自衛隊基地も隣接しています。そのなかで名古屋空港を選んだ理由はどのように米軍(ないし防衛省、外務省)から説明されていますか。

7. 報道では航空灯(誘導灯)を壊したとありましたが、着陸にあたってどのような管制、誘導をおこなったのでしょうか。

8. 正常な着陸ができないような緊急事態だったのですか。

9. 着陸後、県や警察などの関係機関は「故障」の内容等について調査しましたか。

10.離陸はいつしましたか。

11.トラブルないし故障は解消したのでしょうか。修理をしたのならどこが行ったのですか。自衛隊ですか三菱ですか。

12.県は安全性をどのように確認して離陸許可をだしましたか。

13.今回のような、緊急着陸については、誰が、どのように判断をして許可するのでしょうか。法令やマニュアルがあるのであれば示してください。

14.緊急着陸をした、F18の所属はどこか把握されていますか。

15.何の目的で、上空を飛行していたのか把握されていますか。

16.これまでに米軍機の緊急着陸はありましたか。

17.沖縄県下地島にある、下地島空港は、民間パイロット訓練空港として使われています。2001年以降、米軍ヘリなどが緊急着陸を繰り返し、また、当時の伊良部町議会が自衛隊の訓練空港誘致の決議を挙げるなど、米軍・自衛隊との軍民共用の空港利用を進めようとしています。しかし、合併後の宮古市市長、沖縄県知事をはじめ、反対の意向を示しています。住民感情からしても当然のことと思います。自治体の長が、毅然とした姿勢を示せばたとえ政府や米軍の意向でも拒否することができます。
 小牧基地にも米軍機の着陸が増えていますが、愛知県知事もその利用を拒否するつもりはありますか。

18.下地島空港の利用方法については、飛行場設置に当たって1971年(昭和46年)に日本政府と当時の屋良朝苗琉球政府行政主席との間に交わされた「屋良覚書」が存在しており、その内容は、@下地島飛行場は、琉球政府が所有及び管理を行い、使用方法は管理者である琉球政府(復帰後は沖縄県)が決定する。A日本国運輸省(現・国土交通省)は航空訓練と民間航空以外に使用する目的はなく、これ以外の目的に使用することを琉球政府に命令するいかなる法令上の根拠も持たない。Bただし、緊急時や万が一の事態のときはその限りではない。という内容です。また、帯広空港には、周辺住民との間で「自衛隊機ならびにそれに類する飛行機の乗り入れを原則禁止する」という覚書があり、これによって2000年には米軍機の着陸を拒否する、ということも起こっています。県としては、周辺自治体もしくは、周辺住民団体と同様の協定か覚書などを結ぶ意向はありますか。


○空港利用実績について
1.07年度上半期の空港利用実績が公表されています。自衛隊機と民間機に分けてありますが、三菱に定期検査や修理などで飛来する自衛隊機はどちらの区分ですか。以前の説明では自衛隊が直接もってくれば自衛隊機というようなことだったと思いますが、墜落したF2のように三菱のパイロットが乗っている(三菱側は運行している場合)ような時は民間機としてカウントされるのですか。
2.民間機と自衛隊機の区分は何によって決まるのですか。
3. 米軍機の着陸はどこにカウントされていますか。
4.米軍機が三菱で修理・点検ということはありますか。その際、どこにカウントされますか。
5. 民間定期便以外の内訳はどのようなものですか。

○ 名古屋空港の基本計画および09年度予算について
1.県は2003年に「名古屋空港新展開基本計画」を策定されました。その中では都市型総合空港として1)コミューター空港の活動拠点として 2)小型常駐機の活動拠点として 3)ビジネス機の受け入れ拠点として 4)広域防災拠点としての四つを挙げています。
前記目標の進捗状況はどのようになっていますか。また、今後どのようにすすめますか。

2.同じく、基本計画には2015年までの施設規模・施設配備計画が盛り込まれていますが今回移転するとされている管制塔の用地はその中に盛り込まれていますか。

3. 2008年度愛知県予算案は航空対策の推進費用として、2,161,462千円となっていますが、この中で名古屋空港にかかわる予算の使途のついて説明をしてください。

4.2008年度愛知県は、「航空宇宙産業研究開発施設用地の購入環境適応型高性能小型航空機(国産ジェット旅客機)研究開発への支援」と「(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)の飛行研究施設の誘致」を盛り込んでいますが、具体的にはどのような事業でしょうか。

5.2008年度予算に「航空宇宙産業研究開発施設用地購入費用」として、478,416千円がありますが、具体的にはどのように使われるのでしょうか。

6.県の基本計画にもあるように愛知県は三菱重工をはじめ、航空宇宙産業の集積地であります。しかし、その三菱重工は、ミサイル防衛システムに導入されているPAC3のライセンス生産を行っています。言うまでもなく、ミサイル防衛システムは、憲法で禁止されている集団的自衛権の行使につながり、武器輸出三原則の逸脱や専守防衛の原則にも反すると多くの疑念があります。ヨーロッパでは配備予定にチェコ・ポーランドの住民が反対の意思を示しています。また、ロシアは対抗して新型ミサイルの開発を進め、アジアにおいても中国などが軍備を拡大するなど、世界の軍拡を増長しはじめています。また、宇宙の軍事化の懸念もあります。
  このように、航空宇宙産業は「軍事」の部門と切り離して考えることはできません。三菱は日本最大の軍需産業です。ミサイル防衛の推進はますますこの地位を押しあげることになります。県営空港の敷地をこのような軍需産業が使用することについてはどのような見解をお持ちでしょうか。



以上


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