不戦へのネットワーク 有事法制反対ピースアクション

KC767配備中止を求める申し入れ書(2008年2月23日:不戦へのネットワーク)

石野基地指令及び
隊員の皆様

 もうすぐ空中給油機がこの基地に配備されます。そのことに対して、私たちは「不戦へのネットワーク」の呼びかけで集まった市民です。

 2月10日のアメリカ海兵隊員による沖縄の女子中学生性的暴行事件や、辺野古における住居不法侵入、酔っ払い運転による蛇行運転など米軍の事件が続く中、今度は海上自衛隊のイージス艦が漁船と衝突、漁師親子が行方不明になるという事件が起きました。昨年秋以降、世を騒がせた「守屋前防衛事務次官問題」や県営空港滑走路でのF2戦闘機墜落事故の記憶が生々しい中で、由々しき事件が連続しています。私たちは、まず唖然とし、次には怒りに震え、事件をこのままにしてはおけない、許せない、何とかしなければと強く思っているさなか、小牧基地へKC767配備のニュースに接しました。空中給油機の小牧配備に関しては、「不戦へのネットワーク」を始め、私たちが従来猛反対をしてきた事柄です。

 石野基地指令はじめとして隊員の皆さんが制服を脱いで一個人として市民生活を営むとき、私たち市民・県民と同じ権利を持ち、自分の将来や家族のことを考える一人の市民であり県民であることも当然のことです。私たちは、同じ市民・県民として、この基地の正門の外からKC767の配備中止を求めるために本日参りました。

 防衛庁が省に昇格し、1年がたちました。この間、防衛大臣が四人も代わり、守屋前事務次官が自滅し、一時的とはいえ海上自衛隊のインド洋派兵が中止されました。昨年7月29日の参議院選挙における有権者の選択の結果といえましょう。しかし、政府は、在日「米軍再編」にかかわる2005年の中間報告、2006年の最終報告の方針を変えようとしません。他国を攻撃する作戦で、米軍が中核的任務を引き受け、自衛隊がそれを補完する。そのために日米共同の司令部をつくり、日本列島全体でアメリカ軍主導のもとに自衛隊を活用する。その共同作戦で生み出す力で新たな海外侵略をやりきる。「アメリカに従っていれば間違いない」と妄想した小泉前首相には「アメリカの侵略」という言葉はありません。国際協力のための「ヘリ空母」であり、中央即応部隊であり、空中給油機であり、いずれも海外派兵が前提となる兵器であり、部隊です。政府も防衛省も一歩一歩「専守防衛」の縛りを自衛隊からなくし、インド洋派兵7年、イラク派兵5年です。アメリカの尻拭いはもうやめなめればなりません。このままいけば、C130に加え、4機のKC767がアメリカ軍の尻拭いを始めることになります。

 海上自衛隊のインド洋派兵の経験者の中からの自殺者が非常に多いことの中に、疲れきった隊員たちの姿が浮かんできます。同じことは航空自衛隊の皆様にも言えると思います。春日井・小牧の市民の目からも、私たちの目からも、平日・毎日午前・午後に繰り返されている急旋回訓練とタッチアンドゴー訓練は、イラクでの危険性を想像させますし、またその訓練そのものの危険性を、不安を持って見ざるを得ません。騒音や墜落の危険性だけではなく、訓練をされている皆様自身の危険性を、です。さらには、あの青い飛行機がアメリカ陸軍や海兵隊の兵士をイラクへ運んでいることを考えるとき、一日も早くイラクからC130輸送機を撤退させるべきだと思います。このような状況で、KC767が二機、四機と配備されるとなると、地域住民の不安・心配は増すばかりです。そして、なにより小牧基地にとっても隊員の皆様にとっても確実に過剰負担となってしまいます。

 今回のイージス艦「あたご」の行動は、防衛省・自衛隊の今を象徴しています。省に昇格した傲慢さが現れています。沖縄の海兵隊も、今のアメリカ軍を象徴しています。米軍の傲慢さは今に始まってことではありませんが。米軍犯罪の怒りは沖縄だけではなく、日本全体に拡大しています。それは軍隊自体への怒りに変り得るものです。

 石野基地指令も隊員の皆様も職務に忠実であると思いますが、しかし、これから厳しく問われるのは職務の内容であり、意味です。KC767もこれからの航空自衛隊を象徴しています。空飛ぶガソリンスタンドといわれるKC767配備のあと、訓練による騒音被害、あるいは墜落、そのほかの事故の可能性が想定されます。また、何より、六カ国協議などによりせっかく東アジアに平和的機運が高まっている今、この機運を脅かしかねない危険性がはるかに大きいのです。なぜ、空中給油機を小牧に配備するのか。それがどんな影響をアジアに及ぼすのか。私たちはそのことを最大の懸念としています。

 どうか配備中止に向け、皆様も動いてください。

以上

2008・2・23
不戦へのネットワーク及び参加者一同


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