安倍首相が責任を放棄した今こそ、イラクからの撤退を求める申し入れ書(2007年9月22日) |
航空自衛隊小牧基地司令 浮須一郎様
隊員の皆様
9月12日、安倍首相は、突然職務を投げ出してしまいました。戦地で命がけで活動する自衛隊員を残して自分だけさっさと逃げた、と言うしかありません。62年前、残された日本人がどうなっているかわかっていながら、いち早く「満州帝国」の最高官僚としての責務を放棄して日本へ逃げ帰った安倍の祖父、岸 信介元首相とそっくりだ、と思わざるを得ません。大日本帝国の国策として中国に行き、その国策として現地に捨てられた多くの日本人を何とかしようという素振りもありませんでした。安倍首相もその祖父とまったく同じだったと断じざるを得ません。
9月23日に自民党総裁が決まります。小泉元首相が言っている「アメリカに従っていれば日本は大丈夫だ」という政治選択は誰が首相になっても変わりません。依然として、自衛隊員には犠牲になってもらうという選択に変わりはありません。しかし、その選択に明確にノーという答えを出したのが7月の参議院選挙の結果でした。有権者は、自衛隊員やその家族だけに犠牲を押し付ける選択を拒否した、と私たちは判断しています。日本国民の多くが、自衛隊員のかけがえの無い生命を犠牲にするような選択を求めてはいない、という結論です。「まずは撤退させろ」という国民の声を民主党や他の野党は代弁しているだけです。自衛隊員を、外務や防衛の官僚たちが作った「人道支援」や「国際貢献」というむなしい言葉の犠牲者にしてはいけない、という国民のまっとうな判断だったと私たちは理解しています。民意を尊重するのであれば、自民党政府は政策を転換しなければなりません。
しかし、現地の隊員の皆さんには、政策の転換を待っている余裕など無いというのが、私たちのイラク情勢の判断です。浮須指令や隊員のみなさんから、このような転換期にある今こそ、一日も早い撤退に向けた声を出していただきたいという強い考えから本日の申し入れを行います。
9月13日、ブッシュ大統領は、イラク情勢について「任務の成功に応じて撤退する」と述べ、その成功の一例として、ラマディやファルージャのあるアンバール州の治安の安定を強調しました。しかし、その日のうちに州都ラマディでアメリカ軍に協力しているとみなされたドレミイ族の指導者アブリーシャ氏が暗殺され、ブッシュ大統領の楽観論が否定されました。「任務の成功」をまともに確信するアメリカ軍はもう一人もいないと断言できます。3万人の増派によって9月までに一定の成功を得るとした1月10日発表の「新戦略」も失敗してしまいました。ブッシュ大統領もイラク現地の兵士も、何のための戦争なのかもう説明できません。それなのに何で殺し続けるのか、何で殺され続けるのか、軍隊全体がわからなくなっているということです。人間としての倫理観や道徳観を持つ兵士たちは精神を病むほかありません。それから逃れる道は、自分を命令で動く戦争マシーンと割り切るしかありません。そのマシーンに直面するイラクの人々は、もはやアメリカ兵を人間としてみることはできません。ベトナム戦争と同じ末期的症状になっています。これが私たちの理解するイラクの情勢です。
バグダッド周辺は激戦のため、6月・7月・8月とC130輸送機の、バグダッド便の飛行の中止が伝わっています。イラク特措法の第9条は、派遣した部隊の「安全確保義務」を首相や防衛大臣に課しています。特措法違反の政策を変えるためにも、撤退に向け皆さんが声を上げてくださることを切に要望いたします。
2007年9月22日
有事法制反対ピースアクション