有事法制反対ピースアクション 不戦へのネットワーク

自衛隊のイラクからの撤退を求める申し入れ書(2007年8月25日)

航空自衛隊小牧基地司令  浮須一郎様
隊員の皆様

2007年8月25日

 混迷が深まるイラク 自衛隊の活動は、だれに、何のために続けられているのでしょうか。
 8月14日、イラク北部シンジャル近郊で2トンにも上る爆薬が使われた「自爆テロ」では、約500人以上の人が亡くなるという、2003年に米英のイラク攻撃開始以来、最大の犠牲者を出す大惨事が起きました。また、20日には、陸上自衛隊が駐留をしていたムサンナ州のモハメド・アリ・ハッサン知事が路肩に仕掛けられた爆弾で死亡するという事件もおきるなど、イラクの国内情勢は私たちの想像できないほど悪化の一途をたどっています。アメリカの傀儡政権ともいえるマリキ政権は、「石油ガス法」をめぐり、各派の利害が錯綜する中、機能不全に陥ってこの事態を改善する何の方法も力もないことがますます明らかになっています。

 今のこのイラクの現状の中で、いったい航空自衛隊は何のためにイラクでの活動を続けているのか、浮須指令はじめ隊員のみなさんは真剣に考えられたことがあるのでしょうか。昨年7月に撤退した陸上自衛隊の任務は、「人道復興支援」だと、小泉元首相はじめ自衛隊を派遣した政府与党の面々、または派兵を支持する人たちは盛んに言っていました。それ自体、多くの問題を含んでいると考えますがそのことをさしおいたとしても、今や航空自衛隊の活動は「安全確保支援」が中心になり、それはとりもなおさず、多国籍軍、とりわけ「日米同盟」を最優先するための米軍支援活動だということを、この申し入れでも何度も指摘してきました。そのことは、アメリカが行っている「武装勢力の掃討作戦」という殺戮に手を貸すことであり、アメリカが駐留することによって引き起こされるイラクの人々の上にのしかかるおびただしい犠牲を生み出すことになる、ということもこの申し入れで何度も指摘してきたことです。

 浮須基地司令はじめ隊員の皆さんが、自分たちの行っている活動はいったい誰のために、何のためになのか今一度、イラクの現状を直視し、真剣に自問していただきたいと切に思います。

好機を生かすチャンスです。

 7月の参議院選挙で政府自民党・公明党は「年金問題」や「格差問題」などが焦点になり、イラクやアフガン派兵は大きな焦点にはならなかったとはいえ、国民からの信任を得られませんでした。小沢民主党党首はテロ特措法の延長反対を明確にし、イラク特措法の廃止法案も再々提出をすると示唆しています。2001年に始まったアフガニスタン攻撃は、当時のタリバン政権がアルカイダと関係があるということで、アメリカが9.11事件の報復として始めてものです。アラビア海での海自による艦船への給油活動は、今イラクで行っている空自の米軍に兵員や物資輸送と同様に、後方支援=兵站活動で、ともに違憲・違法なものです。アフガニスタン・イラクと違法・違憲の状態が、国会でまともに論議をされることなく放置されてきましたが、今やっと正常に戻った感があります。戦後レジームからの脱却などど、現平和憲法を否定し、数の力で17もの法案を強行採決した安倍政権の暴走にとりあえずブレーキがかかりました。このことは、自衛隊法の「改正」などで、憲法を逸脱した海外兵任務を更に強いられる隊員の皆さんにとっても朗報だといえます。

 元陸上自衛隊イラク先遣隊長の佐藤正久参院議員が、派遣当時、自衛隊を警護していたオランダ軍が攻撃を受ければ、駆け付け、あえて巻き込まれて警護を行う考えだったことを明らかにしました。現場の自衛官が独断で事を起こそうとしたことに強い憤りと不安を禁じえません。1931年の柳条湖事件を思い起こさずに入られません。軍事組織が海外に出る危険性を物語って余りある発言だと思います。このまま、自衛隊が海外派兵を続ければ、いつ何時不測の事態が起こるとも限りません。そのような事態を招かないためにも、国会の場でまともな議論ができるであろう今が絶好のチャンスです。

 私たちも、これまで以上に国会や市民に向け、自衛隊の撤退を訴えていきます。浮須基地司令はじめ隊員のみなさんも、冒頭に書いたように、どうか今一度、皆さんが行っている活動がいったい誰のための何のためのものであるのかを、真剣に考えていただき、一刻も早い撤退を意見具申されるよう、申し入れます。

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