有事法制反対ピースアクション 不戦へのネットワーク

自衛隊のイラクからの撤退を求める申し入れ書(2007年7月28日)

2007年7月28日に航空自衛隊小牧基地へ以下の申し入れ行動を行いました。猛暑の中、自転車で平和を訴えるピースサイクルのメンバー、<ノーモア南京>名古屋の会自衛隊イラク派兵差止訴訟原告が申し入れを行いましたが、いつもとは違い、門扉を二重に閉めての対応だったので厳重に抗議をしました。


自衛隊のイラクからの撤退を求める申し入れ書

航空自衛隊小牧基地司令  浮須一郎様
隊員の皆様

2007年7月28日

 「米兵中心に1万人空輸」「非戦闘地域はない」「クウェートーバグダッド緊迫の1時間20分」「もう戻れぬ覚悟」、これらの見出しの記事が7月23日付の中日新聞に掲載されました。非戦闘地域であるはずがない、イラクでの緊張を強いられる活動の一端がこの記事からわかります。

 この記事にあるように、航空自衛隊の活動の実態を政府は公式には明らかにしていません。政府が、航空自衛隊の皆さんの活動実態を明らかにできないわけは、皆さんの志に反して、残念ながら皆さんが行っている活動が、憲法に違反するからです。安倍首相は私的諮問機関として「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を設けて、集団的自衛権行使の見直しを始めました。具体的な4事例を上げていますが、その中の一つに、武器輸送などの後方支援を行う」との項目があります。検討の累計の一つとしてわざわざあげたのは、「武器輸送などの後方支援が現在の政府解釈では集団的自衛権行使にあたり、違憲であるからです。航空自衛隊が行っている「輸送活動」の実態が明らかになることは、違憲であることが明らかになり、政府としてはまことに都合が悪いことになるからです。

 更に、イラク特措法では、派遣されるのは、「非戦闘地域」という規定があります。小泉元首相がいみじくも言ったように、「自衛隊が派遣されているところが非戦闘地域だ」などという人を馬鹿にしたような、論理もなにもない理屈が、公式に言わないまでも今の安倍政権に通じているのです。今、イラクが非戦闘地域であるなどと信じる人はどこにいるのでしょうか。自衛隊の派遣自体がイラク特措法にも違反しています。

 イギリスのNGO、イラクボディカウントによると、イラクでの民間人の死者数は、最大74,336名、少なくとも67,945名(7月24日現在)としています。(実数は明らかになっておらず、10万人という説もあります)そして、約220万人の人たちが、戦火を逃れるために住みなれたところを離れ、ヨルダン・シリアなど近隣の国に逃れ、200万人の人たちが国内避難民となっていると国連難民高等弁務官事務所はいっています。殺された何十万という人たちにも家族があり、数字で示すことのできない喜怒哀楽の日々の生活があったはずです。生きるために住み慣れた街を離れなければならない人たちの心情はいかほどのものだったのでしょうか。いったい誰のために、何のために、何の権利があって殺し・破壊するのでしょうか。このようなことが長く続いていいはずがありません。アメリカ軍が駐留をしている限り、この際限のない殺戮は続くはずです。皆さんの志がいかほどのものであっても、皆さんが運んでいる米兵がイラクで戦闘行動を行い、殺し、住居を追い払っています。皆さんの活動が、残念ながらイラクの人たちを苦しめているのです。

 この新聞記事には「日の丸を背負っている以上、心の支えは国民の理解と支持しかない。だからこそ、ありのままを知ってほしい」と結ばれていますが、そうではなくて、皆さんの安全を守っているのは、自衛隊の活動を知り、認知することではなく、「国の交戦権はこれを認めない」と規定した憲法9条があるからです。戦争は、いかなる詭弁を言っても人が人を殺す最大の人権侵害です。皆さんの安全をかろうじて守っているのは憲法9条と憲法前文があるからこそです。このことをよく肝に銘じていただきたいと思います。

 選挙が間近になりましたが、残念ながらイラク派兵は大きな争点にはなっていません。しかし、改憲を明言している政府与党がこのまま政権を引き継げば、自衛隊員の皆さんに対し、更に危険な任務を強いるでしょう。制服を脱いだ一市民として、真剣にこの社会の将来を考えていただきたいと、切に願います。また、違憲・違法なイラク派兵に対し、直ちに撤退をするように意見具申をされるよう、申し入れます。

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