航空自衛隊のこれ以上のイラク攻撃加担を中止するよう求める要請書(2007年5月26日) |
小牧基地司令 浮須一郎様
隊員の皆さま
本日も、イラクでの航空自衛隊の活動の中止を求める要請をいたします。
今、開催されている国会では、数年前までには予想だにしなかった法律が次々と成立しています。すなわち、改憲のための国民投票法、アメリカの戦争のために自衛隊と在日米軍が共同して対処できるように、自治体に札束で「再編」の受け入れを強要し、税金などで海外(グアム)に基地建設を可能とする米軍再編推進特措法、そして、皆さんの派兵の根拠になっているイラク特措法の「改正」は参議院の外交防衛委員会で審議が始まろうとしています。防衛庁は「省」に変わり、自衛隊法の「改正」によってこれまで雑則だった自衛官の「海外任務」も本来任務になりました。これだけの「軍事」に関わる法律が突出している国会はなかったように記憶します。しかも、これらの法律は、数年前に成立した有事諸法制に比べるとすぐに実行されるものです。これらはみな、日本の行く末を決める非常に重要な法律ですが、とりわけ自衛官の皆さんにとってはどれも私たち以上に身近で重要な法律であると認識されていると思います。更に、安倍首相は「有識者会議」なるもので集団的自衛権の解釈の変更を行おうとまでしています。この有識者会議での「集団的自衛権」の課題の一つに「武器輸送などの後方支援を行う」がります。すでに、航空自衛隊のクウェートからイラク国内への任務は、国会の答弁によると、2007年1月から3月までの輸送実績の内93%がアメリカ軍関係の物資輸送であることが明らかになっています。すでに皆さんの活動は、憲法を逸脱する任務なのです。それを強いているのは、もちろん法律を作り、命令をくだす人たちです。
久間防衛相は国会答弁で「テロ特措法は戦争を支援する法律」と本音の発言をしました。アフガニスタンに向けての洋上での給油活動が「戦争を支援する法律」であるなら、今だ各地で「掃討作戦」を続けるイラクも間違いなく「戦闘地域」です。
私たちは、イラク攻撃開始前から、戦争をとめるための活動をし、その中で自衛官の皆さんの想いも聞きました。「・・・なぜ、テロの続く『今』でなければいけないのか。なぜ、復興人道支援に『装甲車』や『武器』をもたなければいけないのか。テレビに登場する立派な先生方のおっしゃる『国益』を、どれだけかみ砕いても、のどを通りません。
17日(2004年1月)、夫に申し訳なく思いながら、小牧基地での(反対運動の)『人間の鎖』に参加しました。(中略)駅への帰り道、たくさんの人にあいました。体の不自由な人が何人かに支えられながら歩いていました。たった一人で遠くから来ていた老人も。皆それぞれに『思い』を抱えて雪の中をやってきたのだと思いました。それでもやはり、政府は『自衛隊派遣』の方針を変えることはないでしょう。(中略)自衛官の『志』が失望に変わりませんように。『使命感』を国家が『悪用』しませんように。」この言葉は私たちの仲間が企画した小牧基地での人間の鎖に参加した自衛官家族の想いです。
安倍首相は、「国益」のために「中東の安定」が必要であり、そのためにアメリカの戦争を支援するために自衛隊の派兵を続けると明言しています。個人の善意など国家のむき出しの暴力の前では無に等しくされます。しかし、私たちは、イラクの現実を見るにつけ「武力で平和は創れない」との想いを確信しています。そう思うひとり一人が少しの勇気を持ち意思表示をし、多数派になればこの悪しき流れは変えられると確信します。防衛政務次官まで努めた故箕輪 登さんの決起(違憲裁判の提訴)のように、例え基本は違っても連帯できるものと思います。どうか、当事者である浮須基地司令、並びに隊員の皆さんからも、イラク特措法延長反対、自衛隊の即時撤退の意見具申をしてください。私たちも、撤退に向けた動きを精一杯頑張ります
2007年5月26日
不戦へのネットワーク