不戦へのネットワーク   有事法制反対ピースアクション

一日も早い「イラク撤退」を求める要請書(2007年1月27日)

小牧基地司令 浮須一朗様
隊員の皆さま

 1月10日、アメリカブッシュ大統領は新イラク政策を発表し、バグダッドを中心に2万1千人の増派を決めました。昨年の議会選挙で、イラク政策をめぐりブッシュ共和党が敗北し、超党派のイラク研究グループの提言にも関わらず、ブッシュ大統領は更なる犠牲を強いる政策を強行しました。この決定に対し、アメリカでは大きな反対運動が起きています。ブッシュの支持率は28%までに下がり、民主党はもちろん、共和党の内部にも批判の声が上がり、イラク駐留多国籍軍の次期司令官に指名されたペトレウス米陸軍中将も増派によって「成功する保証はない」と言っています。

 言うまでもなく、イラク国内はまさに泥沼状態です。20日にはバグダッド北部ディヤラ県で米軍のヘリコプターが墜落し、12人全員が死亡、カルバラや西部アンバル県などでも米軍に対する攻撃があり、この日だけでも米兵死者は計24人にもなっています。また、イラクの一般市民にも多くの犠牲者が出ています。22日にはバグダッド中心部で自動車爆弾が爆発し、88人が死亡し160人が負傷、バグダッド北東のバアクーバ近郊でも自爆テロで50人以上が死傷するなど、犠牲者が続出しています。ブッシュ大統領の増派と言う政策が、イラクでの大殺戮作戦につながることは明らかです。ウソで始められて攻撃で既に多くの人たちが亡くなっています。これ以上、ブッシュの身勝手なやり方で大きな犠牲が出ることは耐えられません。戦争は最大の人権破壊なのです。

 安倍晋三首相は、ブッシュ大統領が一般教書演説をした24日夜、アメリカのイラク増派について「イラクの安定、復興に強い意志を示したものだ。効果的に成果を出すことを期待したい」と述べています。2004年11月、バグダット北部のファルージャでアメリカ軍による大殺戮があったとき、当時の小泉首相は「成功しなければならない」といい、いち早く殺戮作戦を支持しました。今回の安倍首相の発言も、今現に行われている、また、これから更に進行するイラク市民大虐殺に手を貸すということを明言したことになります。そして、残念ながらその実践的なことを行っているのが、この小牧基地から派兵されクウェートからイラク国内に米軍の兵員や物資を輸送している航空自衛隊隊員の皆さんです。隊員の皆さんが「イラクの復興のため」と高い志を持って行かれたとしても、2003年3月のイラク攻撃そのものが国際法違反であり、世界中の多くのイラク反戦の声を無視して行われた、間違ったものでした。今の任務はまさに戦争加担です。

 あなた達の最高責任者である久間防衛大臣は、24日の日本記者クラブの記者会見で、アメリカのイラク開戦を「核兵器がさもあるかのような状況でブッシュ米大統領は踏み切ったのだろうと思うが、その判断が間違っていた」とし、批判しました。また、イラクの戦後の統治についても「後をどうやってうまく処理するかの処方箋が(アメリカには)ないままだった」と言っています。皆さんは、この発言をどのように受け取られたのでしょうか。まったく無責任だとは思われないでしょうか。私たちは、一貫して米英のイラク攻撃は間違っている。その間違ったイラク戦争に重武装をした自衛隊を派兵することは、イラク特措法にも憲法にも違反する、何より自衛隊の派兵によってイラクの人々を殺す側に立つ。そのことを拒否したいと今日まで訴えつづけてきました。間違ったと判断するならその対処法をきちっと取るべきです。すなわち、航空自衛隊の即時撤退し、間違っても7月で期限が切れるイラク特措法の「改正」を行わないことです。

 さて、その小牧基地です。私たちは、2月末にも配備される予定になっている空中給油輸送機配備に反対してきました。理由の一つは、空中給油機は戦闘機に空中で給油ができることから、飛行距離は大幅に増加し、戦闘能力も飛躍的に上がります。日本は、言うまでもなく憲法9条で、戦力の不保持、交戦権を認めていません。空中給油機の配備はこの平和憲法に明確に違反します。また、小牧基地の滑走路は県営名古屋空港の滑走路でもあります。本来、空港や港湾は商業や民生用に使われるべきものであり、県民の財産である名古屋空港の滑走路が人を殺すまたは傷つけるために使われることはとうてい容認できません。更に、日米同盟の元で、世界のならず者と言っていいアメリカブッシュの戦争に更に深く組みこまれていくことになるからです。そのことは、更に小牧基地の隊員の皆さんに危険な任務を強いることになります。

 安倍政権は、この国会で憲法「改正」手続法である国民投票法を成立させ、明確に9条改憲を打ち出しています。自衛隊員の命を守ってきた憲法を破壊しようとしています。防衛省に昇格し、海外派兵が本来任務になったとしても、航空自衛隊がイラクで行っている多国籍軍の兵員や物資輸送の任務は、戦時国際法から見れば明らかに武力攻撃と一体化したもので、国の最高法規である憲法に違反します。

 浮須基地司令様、隊員の皆様、私たちとともに違法なイラク派兵反対の声を上げましょう。これ以上、ブッシュの大殺戮作戦に手を貸すのは止めましょう。それが本当のイラク復興の道です。

2007年1月27日  不戦へのネットワーク


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