イラク特措法に基づく自衛隊の派兵期間延長閣議決定に抗議する声明 (2006年12月8日 有事法制反対ピースアクション・不戦へのネットワーク) |
本日(2006年12月8日)、政府は、今月14日で期限が切れるイラク特措法による自衛隊の派兵を来年7月31日まで延長することを閣議決定しました。私たちはこの決定に強く抗議すると共に、これ以上の派兵を行わず、自衛隊の即時撤退を強く求めます。
本年7月、陸上自衛隊が撤退した後も、航空自衛隊は引き続き活動を継続している航空自衛隊小牧基地から派兵されているC130輸送機は、バグダッドや北部のアルビル、南部のタリル空港への輸送を輸送を行っています。輸送物資は明らかにされていませんが、「多国籍軍の兵士や物資の空輸」を行っており、「迷彩服を着た米兵が乗り込むことは珍しくない」(2006年12月26日中日新聞)とあるように、多国籍軍の兵員・物資輸送を行っています。イラクでは今、多国籍軍の掃討作戦や宗派対立が激化し、連日多くの人が亡くなっています。11月24日にはバグダッド東部のサドルシティーで大規模な爆発事件があり、200人以上の死者を出すという事態も起きています。国連のアナン事務局長が「一般国民が残忍な独裁者がいても今よりマシだと思うのは理解できる。子どもを学校に送り出すとき、父は母再び会えるだろうかと心配する必要はなかった」と言うほど、イラクの治安は悪化しています。
このような状態を作った責任は、2003年3月、大量破壊兵器の存在やアルカイダとの関係を理由にイラク攻撃を開始した米英を始め多国籍軍の侵略と占領政策にあります。ブッシュのイラク攻撃を無条件で支持し、陸海空自衛隊を派兵し、2004年のファルージャの掃討作戦に対して「成功させなければならない」とその大量殺戮を容認した小泉元首相と、その政策を全面的に継承して誕生した安倍現政権も当然その責任はあります。多国籍軍の一員としての参加は、いかに「人道復興支援」と言っても世界では通用しません。現に、陸上自衛隊はサマワ駐留中に十数回の迫撃砲やロケット団の攻撃を受け、撤退時は夜陰にまぎれてこそこそと撤退をしなければならない状態でした。また、航空自衛隊の活動は明らかに多国籍軍への兵站活動であり、米中央軍司令官ギャリー・ノースが、「今や韓国や日本の航空部隊の空輸が地上での作戦を可能にしている」と発言しているように、いまや航空自衛隊の行っている任務なしでは、アメリカを中心とする掃討作戦任務は遂行し得ないほど深く関わっています。
今年、11月のアメリカの中間選挙では共和党は敗北し、ブッシュのイラク政策は足元から揺らぎ始めています。7日には、イラク研究グループ(ISG)が「イラク情勢は深刻で悪化。08年の第4四半期までに戦闘部隊の撤退」などを挙げる報告書を出し、イラク政策の見直しを図っています。
アメリカもその間違いを認めている中、小泉政権の政策を引き続く安倍政権の中からは、延長に対する何の誠意と説得力のある説明は一切ありません。それどころか、陸自・空児の活動の実態すら公開せず、なし崩しの延長を決めてしまいました。
私たちは、明らかな侵略戦争を支持し、重武装をして「戦地」への派兵は、憲法が規定している平和主義に反する断言します。何よりも、米英のイラク攻撃とその占領の中で起きた、また現在もこれからも起きつつある何の罪も責任もない多くのイラク人を殺すことに加担することは断じて拒否します。
私たちは本日の派兵延長の閣議決定に強く抗議をするとともに、決定を撤回し、一刻も早いイラクからの撤退を強く求めます。
有事法制反対ピースアクション
不戦へのネットワーク