■不戦へのネットワーク 有事法制反対ピースアクション

空自イラク撤退に関する申し入れ(2006年12月2日関西共同行動)

航空自衛隊小牧基地司令 浮須一郎殿

 イラクは今や「内戦状態である」とアメリカ主要テレビは報道しています。米中間選挙では、「イラクから即時撤退せよ」とのアメリカ国民世論で共和党は惨敗しました。ブッシュ大統領はラムズフェルト国防長官更迭という「トカゲの尻尾切り」でイラク戦争責任を回避しようとしていますが、イラク人大量殺戮と自国兵士を犠牲に追いやった責任は免れません。「大量破壊兵器はなかった」ことが象徴するように、先ず攻撃ありきで総てはあとづけの理屈に過ぎませんでした。

 大量破壊兵器のウソがばれ、今度は「イラク民主化」を掲げ戦争を正当化しようとしましたが、新政権は発足以来内紛続きで、内戦状態は更に激化するでしょう。

 小泉前内閣はこうしたブッシュ政権のウソの戦争理由に基づいて、自衛隊派兵を開始しました。幸にも陸自部隊は死傷者もなく今年7月に撤退しましたが、空自部隊は引き続きイラク多国籍軍の軍事輸送任務を継続、安倍新内閣も何らの検討もなくこれを踏襲しました。

 そもそも武装兵力を海外に派遣することなど重大な憲法違反であり「専守防衛」の自衛隊法にも反し、かつての国会決議「海外派兵をなさざる決議」にも反するものです。全土が戦乱状態のなかで「非戦闘地域」とか「後方支援」の区別など軍事常識から見ればナンセンスであり、防衛関係者なら分かるはずです。

 今年10月硫黄島航空基地で、模擬ミサイルなどによるC-130輸送機の対ミサイル訓練が行われました。イラクでは米軍及び英軍の同型C-130輸送機が地上からのミサイル攻撃を受け被弾、その他航空機被害の経緯があり、英軍機の場合墜落により乗員10人が死んでいます。硫黄島訓練もこうした「地上からの脅威」によるものと思われます。陸自撤退と同時に空自の空輸範囲は更に拡大され、イラク全土に及びます。イラクが内戦状態であればもはや「非戦闘地域」などあり得ません。

 これまでの報道に関する限り、攻撃事件もなく隊員死傷事件もありませんでしたが、深刻化する事態のなかで今後何が起きるかも分かりません。このような状況に対し、制服組幹部として部下の安全に関する責任があります。一般には知らされていない現地の状況を何より把握しているのは制服幹部であると思います。

 ラムズフェルド長官更迭後、イラク政策の見直しも行われているようですが、これらを機に、速やかなる空自撤退を上層部に進言されることを期待します。

2006年12月2日  関西共同行動


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