イラクとその周辺諸国からの全ての自衛隊の即時撤退を求める要請書 |
内閣総理大臣 小泉純一郎 様
防衛庁長官 額賀福志郎 様
航空自衛隊小牧基地 上田 益三 基地司令様
政府は20日、イラク南部サマワに駐留する陸上自衛隊に撤退命令を出しました。しかし、その一方で、クウェートに駐留しイラク南部タリル空港間で陸自物資などを輸送してきた航空自衛隊の活動を継続すると共に、その活動範囲をバグダッド空港と北部アルビル空港に拡大することを正式に表明した。そして、今後の活動内容を米軍など多国籍軍と国連の物資・人員を輸送する方針としています。
私たちは、陸自撤退は当然のこととして、航空自衛隊も含めイラクからの全ての自衛隊の即時撤退を以下の理由から改めて申し入れます。
小泉首相は、撤退表明の記者会見でイラク攻撃の評価を「国連決議に基づいてイラクに行った様々な措置は正しかった」と言いました。しかし、これは全くの嘘です。イラク攻撃は、国連決議も国際法も無視したアメリカのはじめた違法な戦争です。攻撃の理由とされた大量破壊兵器の存在もアルカイダとの関係も当のアメリカ国内で否定されています。イラク攻撃から3年以上になりますがイラク国内の治安はますます悪化しています。アメリカ兵の死傷者も2500人以上になり、その数倍、数百倍ものイラク市民が死傷しています。このような、アメリカ先制攻撃と占領に正義があるはずがありません。このような、アメリカの一方的な攻撃と占領に加担することは、憲法にてらしても、また、人道的見地からもとうてい許されるべきではありません。
更に、小泉首相は「アメリカとの『同盟』を認識しつつ、国際社会での責任を果たしていくのが今回のイラク支援」と言っています。アメリカとの軍事同盟の強化を最優先したのが今回のイラク派兵であり、決してイラク国民のための「人道復興支援」でないことを自ら表明しています。イラク派兵は、今進められようとしている米軍と共に戦争ができる体制作りである「米軍再編」や、「国益のため」としていつでもどこにでも自衛隊が出せる派兵恒久法への道を開くための既成事実、実績作りにほかなりません。
額賀防衛庁長官は空自が活動をするバグダッド空港は「非戦闘地域」と言いました。イラクの現状を全く見ようとしない詭弁です。先ごろ来日したイラク人ジャーナリスト、イサムラシードさんは、イラク各地で連日起こっているアメリカ軍の蛮行を映像で紹介しました。人々はいつ殺されるかわからないという恐怖の中で生活をしています。イラク全土が戦闘地域であり、航空自衛隊は活動区域の拡大をするべきではありません。更に、航空自衛隊の米軍をはじめ多国籍軍の物資や人員輸送は戦闘行動に欠かせない後方支援=兵站活動です。これは明らかにイラク特措法にも憲法にも違反するものです。
私たちは、自衛隊の海外派兵が常態化し、この先も自衛隊がアメリカの起こす戦争に組み込まれていくのを黙ってみているわけには行きません。昨日は沖縄の慰霊の日でした。沖縄戦では20万人の住民が犠牲になりました。戦争で殺されるのは沖縄でも、イラクでも市民です。もうこれ以上殺す側に立つべきではありません。非戦を誓った憲法に則り、全ての自衛隊の即時撤退を強く申し入れます。
上田基地司令は隊員の命を守るという使命を果たし、小泉首相に上申して下さい。
2006年6月24日
不戦へのネットワーク