名古屋空港の移設に関して、並びに名古屋港の平和利用についての質問書(2006年6月16日) |
愛知県知事 神田真秋 様
貴職におかれましては、日々県民のための県政に努力されていることに敬意を表します。
さて、05年2月に中部新空港が開設し、県営名古屋飛行場として動き出してから1年有余になります。この間隣接する航空自衛隊小牧基地からは、イラクに向け航空自衛隊の派兵が継続されています。また、小牧基地をめぐる状況は、今年度、中期防衛力整備計画に盛られた空中給油・輸送機の配備やC130輸送機への空中給油機能の整備、軌道衛星部隊の配備など基地機能の強化といわざるを得ない事態が進んでいます。また、昨年10月に出されたいわゆる「米軍再編」中間報告では、「一般及び自衛隊の空港・港湾の自衛隊及び米軍の緊急時に使用するための関連政府機関や地方当局との調整と詳細な調査の実施」がうたわれ、各地の港や飛行場への米艦船や米軍機の飛来が頻発しています。
私たちは、県営飛行場と滑走路を同じくする自衛隊の機能強化や基地拡大に繋がらないようにと何度か要請をしてきました。前述したような昨今の動きに鑑み、、今後も名古屋空港が経済の活性化や交流の架け橋として県民のための空港として機能するよう願っています。
その上で、前述したような昨今の動きのなかでいくつか質問させていただきます。
1.小牧基地からの自衛隊イラク派兵について
小牧基地からは、2003年12月の先遣隊派遣以来、これまで8機に渉り航空自衛隊が派兵されています。そもそも、米英がはじめたイラク攻撃は、米英自身が認めているように、「大量破壊兵器がある」「フセイン政権とアルカイダが関係がある」などという、意図的な間違いから起こされたものです。国連も国際法も無視した攻撃に、アメリカのブッシュ政権はその支持率が30パーセントまでに落ち、イギリスのブレア首相も支持を失っています。小泉首相は、このようなイラク攻撃をいち早く指示し、イラク特措法を持って自衛隊をイラクに派遣しました。
攻撃から3年以上が経過しましたが、今だイラク国内は全土が戦闘状態と言っても過言ではない状況が続いています。航空自衛隊は「安全確保支援」活動を行い、クウェートからイラク国内に米軍や米軍の物資を運んでいます。これは戦時国際法で言う兵站活動=後方支援です。
愛知県が設置管理する空港の滑走路から、イラクの人たちを攻撃するために米兵や物資が運ばれています。私たちは、小牧基地が空の派兵の拠点として昨日をしていることに強い違和感を覚えます。そこで、伺いますが、設置管理者としての県はこの件についてどのようにお考えでしょうか。
2、2市1町の防衛庁、防衛施設庁への要請書について
1月17日に春日井市・豊山町の2市1町の市長、町長が、防衛庁長官・防衛施設庁長官宛に要請書を提出しました。この件についてご質問します。
1)県は、この自治体の懸念をどう考えているか。各項目についてお答えください。
2)この県について自治体との話し合い・意見交換はされましたか。また、恒常的な協議機関はありますか。
3)県は、これまでことあるごとに、「地元の意向の尊重」という姿勢です。それは重要なことですが、県営空港の設置管理者として防衛庁・防衛施設庁へ同様の要請をすべきと考えますが、いかがですか。
3、空中給油輸送機、機動衛生隊配備について
1)小牧基地への空中給油輸送機の配備決定にあたり、県は「基地機能の強化に当たらない」との見解を持って配備を了解されました。空中給油輸送機は、我が国の「専守防衛」を逸脱することになると国会でもその導入のぜひが分かれました。県としては、空中給油機の導入が基地機能強化に当たらないとお考えでしょうか。
2)機動衛生隊は戦傷者を治療することを前提とした部隊です。小牧基地へのこのような部隊は一についての県としての見解をお聞かせください。
3)空中級輸送機・軌道永逝部隊の配備に伴う人員増などを把握していますか。
4)周辺の医療関係などへの影響はありますか。具体的に何か動きはありますか。
5)機動衛生隊は県の防災計画に組み込まれていますか。
4、自衛隊機・米軍機の使用状況について
1) 2005年4月1日〜2006年3月31日の着陸回数の記者発表によると、自衛隊機は11280回となっています。この数字の情報は小牧基地のものですか、県の調査のものですか。
前年と比較して増えていますか。また、小牧基地所属以外の飛行機の着陸回数は把握されていますか。小牧基地以外のどこの基地からどんな飛行機が飛来しているのか把握されていますか。
2) 米軍機の着陸回数は把握されていますか。米軍機の着陸は、2000年が47回に対して、2001年87回、02年92回、03年74回、04年76回(へい平和委員会資料による)と増えています。米軍機は、どこの基地からどのような機種が飛来しているか把握されていますか。
このような米軍機使用の増加をどのようにお考えですか。
3) 県営空港で行われる三菱重工で作られた新製機のテスト飛行について、機種・訓練状況などは把握されていますか。また、三菱重工に修理や補給で飛来する機種の回数・目的などは把握されていますか。
4、イラクへの物資輸送のためのアントノフの空港使用について
2005年、2月18日に陸上自衛隊のイラクへ向けての物資輸送のために、アントノフが開港翌日に名古屋空港から出発しました。これについて、質問します。
1)アントノフの空港使用に関して何時、誰から、どのような依頼がありましたか。
2)それに対して、何時、誰が、どのように対応されましたか。
3)岡山空港での使用が拒否されたことは承知されていますか。
4)なぜ、県営空港名古屋空港での使用を許可されたのですか、その根拠を伺います。
5)アントノフ以降、県営名古屋空港からイラクへ向けた物資輸送はありますか。
5、小牧基地航空祭でのブルーインパルスについて
新聞報道によると、昨年周辺市町村の反対により中止された航空祭でのブルーインパルスの飛行計画があることが明らかになりました。ブルーインパルスは、自衛隊の存在を誇示するもので、そのアクロバチックな飛行で、過去に浜松などで事故が起こっています。市街地の中心にある小牧基地上空での飛行は大変危険が伴います。周辺自治体も反対の意向を示しています。この県について、質問します。
1)県としては、ブルーインパルスの飛行計画をどのようにお考えですか。
2)県として、飛行の中止の要請をされましたか。
3)実施に向けての決定は、何時どのようなプロセスで行われますか。
6、その他
1)騒音については調査されていますか。
2)名古屋空港開港後の、自衛隊の着陸料等の費用負担はいくらですか。
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質問書は事前に文書で提出してありましたが、回答は口頭でなされました。県議会の開催を控えた時期ということもあり、十分な時間はとれませんでしたが、それでも課長をふくめ、5名で対応していただきました。以下そのやりとりです。
●小牧基地からのイラクへの空自派遣をどう思うか?
(県)イラク特措法にもとづく人道支援である。
●空中給油機は基地機能の強化ではないのか?
(県)基地機能の強化とは思っていない。人員増など把握していない。
●機動衛生隊について。
(県)地元も了解している。具体的な動きはなく、今後検討していく。
●地元自治体の懸念をどう思うか?
(県)地元の理解が得られるようにしたい。地元の意向は知っているが、話し合いはしていない。
●県は基地機能の強化には反対しているはずだけれども、何を持って基地機能の強化と思うのか?
(県)基準・線引きは持っていない。
●陸自イラク派兵の際、ロシア民間機アントノポフが物資輸送のため使用されたが、積み荷は確認したのか?
(県)駐機場学補できることが明らかになったので、許可した。積み荷については航空法で縛りがあるので、確認することではない。岡山空港が拒否したのは新聞で知った。
●米軍機の飛来回数と内容は把握しているのか?
(県)回数は把握している。個別の飛来については、地位競艇場の取り決めで公表できない。
●ブルーインパルスの飛行については?
(県)県としては中止要請はしていない。地元の理解が得られることが望ましい。決定は自衛隊の問題なので、わからない。
●三菱でのテスト飛行、修理について
(県)特定はしていない。目的も把握していない。
●自衛隊の着陸料などの負担はいくらか?
(県)6億8千万。これには騒音対策(迷惑料?)もはいる。騒音は環境基準をクリアしていない場所があるので県が対策をしている、など。