自衛隊イラク派兵一年延長(2005年12月21日会報「不戦へのネットワーク」No,41より) |
撤退も言われるが実際にはますます緊密化する日米共同行動
自衛隊のイラク派兵が、1年延長されました。12月8日(2005年)に閣議決定され、14日から延長期間に入りました。
今回の延長決定には、陸上自衛隊のサマワからの撤退時期が想定されています。来年5月頃のイギリス、オーストラリア軍の撤退にあわせて自衛隊の撤退も検討されるというものです。
しかし、陸自の撤退も現段階では確実なものとはいえないようです。アメリカ政府高官はサマワ以外への駐留要請の可能性を明らかにしています。東アジアサミットでの日豪首相会談では、オーストラリア首相は小泉首相に、自衛隊がいる限り、オーストラリア軍を駐留させると表明しています。
ブッシュ政権にとって、イラク駐留の各国が相次いで撤兵する中で、残り少ない「多国籍軍」として自衛隊がイラクに残り続けてほしいというのが本音でしょう。国内外からのイラク撤兵の声の盛り上がりに対して、何とかアメリカの孤立を覆い隠すのには同盟国日本を必要としています。韓国軍とともに今や残り少ない「多国籍軍」が自衛隊なのです。
現在は熊本の部隊を主力に派遣されていますが、来年1月には東部方面隊−東京練馬の第一師団を主力とした部隊が派遣されます。撤退が具体的日程に上るのか、そのままサマワに駐留か、それとも別の地域に移動するのか、いずれにしろ第一師団が非常に難しい役割をはたすことになります。サマワ周辺の情勢も、今まで以上に緊張している様子が少しずつですが報道されています。
航空自衛隊は撤退せずに派遣されつづけます。陸自撤退との引き替えと言われていますが、役割は大幅に変化することになっています。
当初は現在のクウェートとイラク南部以外にバグダッドなどへの空輸拡大が言われていました。実際には、イラクの内部にのびるのではなく、反対のカタールの米軍司令部との空輸路線の強化と言うことになるとのことです。今まで以上に米軍関係者の輸送が強化されます。米軍空輸部隊の一部という要素がますます色濃くなります。テロ特措法によるインド洋での海自の補給活動の延長とあわせ、空自、海自の米軍後方支援部隊の主力かが一層進みます。マスコミにはあまり搭乗しませんが、米軍と自衛隊の共同作戦は後方支援という分野では緊密度を増すことになります。
航空自衛隊C-130輸送機部隊の基地=小牧もアメリカにとっては大事な後方支援基地です。私たちの暮らす街とイラクの戦場がまっすぐにつながりました。