陸上自衛隊第10師団守山基地司令及び基地隊員 様
アジア共同行動山口実行委員会
2005年1月16日
この2月にも、第5次派遣隊として貴師団がイラクへ派兵されようとしています。私たちは、強く派兵の中止を求め申し入れるものです。
それは第一に、イラク軍事占領に何らの正統性も無いためです。
米英らは、イラクが大量破壊兵器を所持しているとしその危険性を喧伝することで、イラクへの軍事侵略を強行しました。しかしイラクに大量破壊兵器は存在せず、そのことは今や米ブッシュ大統領、小泉首相さえも認めざるをえない事実です。そして今に続く軍事占領の中では、テロリストの打破などと称してファルージャなどでの大虐殺が繰り返されています。
イラクでは生活は破壊され、社会は混乱し、そして少なくとも15,000名の民間人が亡くなっています。イラク軍事占領に一辺の正統性も無いことは明らかです。
そして自衛隊のイラク派兵は、米英らのイラク軍事占領への加担行為でしかありません。サマワで昨年11月12日には自衛隊撤退を求めるデモが行われ、10月22日には自衛隊駐屯地への砲撃が起きています。また10月31日には民間旅行者である香田証生さんが殺害されるに至っています。私たちは、私たちのありようを客観的にみつめるべきです。
第二に、私たちが耳を傾けるべき声は、米ブッシュ大統領や英ブレア首相の声ではなく、イラク軍事占領に反対し声を出し続ける世界民衆の声だという事です。
米英らのイラク軍事侵略が現実味を帯びてきた02年から、世界中で巨万の民衆が街頭に出て、「No War!」を訴えました。このうねりは、そのままイラク軍事占領の即時中止を求める声として今なお続いています。この声は国境も宗教ものりこえる、世界中の民衆一人一人の声からのものであり、ここにこそ世界の声はあるのです。
この声の大きさは、昨年の米大統領選時に、多くの国でブッシュ米大統領の落選を願う声が過半数を占めたことや、再選が常である米大統領選でもブッシュ米大統領の不支持がほぼ半数を占めたことでも明らかです。
私たちが国際社会の中で平和と友好でもって生きていくことを願うならば、耳を傾けるべき声は米ブッシュ大統領たちの声ではないはずです。
第三に、派兵されるあなたたち第10師団の方たちの生命が危険にさらされるからです。昨年11月7日に、イラク暫定政府は全土に非常事態宣言を出しており、イラク駐留米軍の死者数は1,000名を越え、負傷者数は10,000名を越えているのが、今のイラクの現状です。
自衛隊イラク派兵の延長に際し、政府与党はイラク・サマワを視察し安全を確認したと主張していますが、滞在期間は1日にも満たず、暫定政府当局者の受け入りでしかありません。「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域だ」などの暴言を繰り返す小泉首相の態度に、あなたたちの命を心配している姿は伺えるでしょうか。もちろん私たちの訴えは、私たちが言うまでもなく派兵されるあなた方が一番分かっておられることと思います。であればこそ、今こそ落ち着いて考えられるべきかと思います。
この派兵は、ブッシュ米大統領や小泉首相などの派遣と権益のためのものであり、私たち市民の平和と友好のためのものではありません。この派兵は私たちを軍事占領への加担者とするものです。軍事占領は、イラク民衆の自由・権利・生活・生命を脅かしています。イラク派兵は私たちを軍事占領の加担者とし、アラブと私たちとの友好と平和を損なうものでしかありません。香田さんの痛ましい死から私たちは学ぶべ
きです。
イラクへの派兵を再考していただくことを、強くお願いします。
2005年1月16日