陸上自衛隊守山駐屯地司令 殿
第10師団の自衛官のみなさん
私たちは、すべての基地に「No!」を・ファイト神奈川という市民団体です。横須賀、厚木などの自衛隊基地を抱える神奈川県で活動しています。横須賀からは、3隻の軍艦がインド洋に派兵されていましたが、11日に8月に出港したイージス艦の「きりしま」と駆逐艦の「たかなみ」が帰ってきました。入れ替わりに、12日に大型揚陸艦の「くにさき」が横須賀基地で陸上自衛隊のヘリを搭載して、補給艦「ときわ」とともに、インドネシアに向けて出港しました。舞鶴基地の補給艦「ましゅう」は、12月22日から航空機燃料の米軍への給油もはじめてしまいました。海外派遣が常態化し、その内容もエスカレートしつつあることに私たちは危機感を抱きます。
イラクでは1月30日に総選挙が予定されていますが、候補者の意見表明の場すら設けられない中で、形式的な選挙が強行されようとしています。病院すら軍事作戦の対象にした、米軍のファルージャへの国際法を無視した攻撃は、イラクの民衆の反発をかきたてています。治安は安定せず犠牲者は増える一方です。
イラク多国籍軍に参加していた国々の中から撤退する部隊が続出しています。陸上自衛隊のみなさんが派兵されているサマワからも、3月でオランダ軍が撤退しようとしています。そういう情勢の中で、第10師団のみなさんの派兵が強行されようとしています。
米軍の強引な占領統治、軍事占領が続く限り、イラクに平和は訪れないでしょう。
自衛隊の中では派兵に応じるか否か、隊員個別の調査がおこなわれ、「参加しないのなら自衛隊を辞めろ」、そういう強引なやり方が始まっていると聞いています。新たな「防衛計画の大綱」が作成される中、海外派兵はもう当たり前、という雰囲気が作られ、一人一人の自衛官に派兵部隊への参加が強要されようとしています。
しかし、インド洋派兵が三年を超える中で、多くの自衛官が「二度と行きたくありません」と意思表示をしました。横須賀基地でも何人もの自衛官からそういう声を聞きました。
自衛官のみなさん、いまこそ、自衛隊の中から声をあげる時です。
インド洋派兵では、2002年5月に、過労死で一名の犠牲者が出ました。佐世保出身の自衛官です。この事件を調査した国会議員に、防衛庁の幹部は、「出発前から、脳梗塞をわずらっておりまして、現地での勤務内容が過酷だったわけではありません」と答えたそうです。「あなたたちは病人も派遣するのか。それではかつての旧陸軍よりひどいではないか」と追求され、再調査をした結果、140時間を超える残業が強制され、疲労困憊の中で、なくなっていったことが明らかとなり、公務災害と認定されました。
抗議する者がいなければ、自衛官一人一人の命は軽んじられていくのです。私たちはそんなことを許しません。戦争は兵士の人権を無視し、戦地の人々の命を奪いながら進んでいます。米軍がどんなにひどい作戦をやろうと、何も批判しない日本政府。第10師団のイラク派兵は、どんなに取り繕おうと、無法なアメリカ軍の占領統治への加担そのものです。
イラクへの派兵を中止して下さい。
すべての基地に「No!」を・ファイト神奈川
2005年1月16日