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イラクへの派遣を中止するよう求める申し入れ書

陸上自衛隊第10師団 廣瀬 清一様

 陸上自衛隊第10師団のみなさま。今日で、3回目の申し入れになります。残念ながら小泉政権は、イラク特措法での派遣期間が切れる12月14日を待たず、12月9日に派遣延長を閣議決定し、守山第10師団の皆さんのイラクへの派兵が現実のものとなりました。
 小泉首相は自衛隊員やイラクの人々の命よりも「日米同盟」や「国益」を優先したのです。これまで派兵反対を言ってきた私たちは深い怒りを禁じえません。
 第10師団の皆さんが派兵される時期はオランダ軍が撤退します。そもそも、小泉首相が「非戦闘地域」だと言っているところで武装をして治安を維持しないといけないこと自体が矛盾するところですが、3月以降はより危険な状態になると言わざるを得ません。隊員の皆さん、家族の皆さんの不安はどれほどのものかと思います。12月10日の新聞にはこうあります。第10師団の幹部の発言として「家族の説得は難しい。希望制といっても事実上命令なのだから」息子が自衛隊員の家族は「絶対安全だということは今のイラクではありえない。派遣は延長しない方がいい。中越地震の災害派遣を優先させた方がいいのではないか」偽りのない言葉だと思います。
 私たちは自衛隊員の皆さんが一人でもイラクの人を殺すことも、自衛隊員のみなさんが一人でも殺されることもないようにとこれまで何度も派兵反対を訴えてきました。憲法9条が自衛隊員の命を守ってきました。そのことが今崩れようとしていると危惧を抱かずにはいられません。

 もう一つ考えていただきたいことがあります。小泉首相は自衛隊の派兵を「人道復興支援」と言っています。確かに病院や学校・給水活動などをしていますが、ならばなぜ重武装して行く必要があるのか、宿営地に迫撃砲やロケット弾が打ち込まれると言う事態になるのか、自衛隊の撤退を求めるデモが行われるのかをです。アメリカはファルージャをはじめ各地で「武装勢力の掃討作戦」を行っています。ファルージャでは6000人以上の人が殺されてと言われていますが、情報の遮断で事実は伝わっていません。殺された多くは子どもを含む一般市民です。このようなことがイラクの人々の反米感情を増し、それに加担する日本も怨嗟の対象になるのです。派兵される自衛隊員個々がいかに善意であっても、殺す側に立っていることは間違いありません。アメリカでイラク行きを拒否してカナダに亡命したジェレミー・ヒンツマンさんは、「相手を人間だと思う限り、殺せない」「上官が指示したからと人を殺すことは人間として許されない」と言います。しかし、小泉首相はファルージャへの攻撃を「成功しなければならない」と言いました。そこに人がいて、死ぬことがわかっての発言です。どちらが人間として真っ当な考えでしょうか。前者です。人間の命を粗末にする人がこの国の責任者であることはみなさんにとっても本当に不幸なことです。

 それだけではありません。この国が本格的に戦争ができる国になることは、侵略戦争や植民地支配で多大な犠牲を被った多くのアジア・太平洋諸国の人々にとってもとてつもなく大きな不幸であり脅威です。そのことを真摯に考えていただきたいと思います。「武力で平和は創れない」と私たちは主張してきました。そのことを実現するために私たちは今日まで活動をし、そしてこれからも精一杯の活動を続けていきます。どうか皆さんも真剣に考えてください。

とりわけ、多くの隊員の命をあずかる廣瀬師団長には深く考えていただくよう切望します。そして勇気ある選択を行うよう心より申し入れます。


1.自衛隊をイラクからただちに撤退すること。
2.予定されている第10師団のイラク派兵を中止すること
3.第五次派遣への準備を中止すること。
 
以上、廣瀬清一師団長より小泉首相、大野防衛庁長官に意見具申してください。


2004年12月18日

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共同代表  水田 洋  寺尾 光身


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