新聞報道によると名古屋空港の「跡地利用」について、春日井市、小牧市と豊山町の2市1町は、空港を軍事目的に絶対にしないという姿勢を明確にして、愛知県に対して具体策をとるようせまっています。私たちはこの2市1町の姿勢は基本的に地元の利益にかなうものだと思っています。
大切なことは、滑走路用地の管理と管制権を防衛庁に移管させないことです。
そしてもう一つ問題があります。それは跡地の一部を、三菱重工業が買い取る動きです。地元企業なので言いにくいのですが、三菱は戦闘機の組みたてをおこなうなど自衛隊と一体化している企業です。一般企業とは意味合いが違うのです。
2市1町をふくむこの地域はいくつかの自衛隊施設と防衛関連企業が結びついた「基地の町」となっています。小牧基地、守山の第10師団指令部、西山駐屯地そして高蔵寺の弾薬庫。航空自衛隊岐阜基地も近くにあります。
基地には騒音などの問題や、軍事優先からくる安全性の問題があります。しかし一番重要な問題は、地域や人々の生活が、戦争・軍隊というものに深くかかわるようになってしまうことです。今においても自衛隊は町中で行軍したり、住宅近くで訓練をしたりしています。
世界中どこをみても基地と結びついての町の発展はありません。沖縄のように、なんとか基地から脱却しようとしているところばかりです。町の将来にとって、今はとても大切な選択の時なのです。
日本がアフガニスタンでのアメリカの「報復戦争」へ参加したことで、C130輸送機を持つ小牧基地は、大きな役割を果たしています。そして今後は、空中給油機や大型輸送機の導入も考えられています。
名古屋空港が防衛庁に移管されれば、「世界への出撃拠点」としてますます強化されるでしょう。それは、この地域を将来にわたって戦争というものに強くしばりつけることを意味します。そして、今論議されている「有事立法」は、必ず基地周辺の人々の生活と権利にゆううつな重しとなってきます。
私たちは平和と人権に関わっている小さな市民団体ですが、「空港跡地問題」を大切な問題として考えています。昨年には「名古屋空港の防衛庁移管に反対する署名」に取り組み、地元の人たちの協力も得て、1,986名分の署名を集め、愛知県の航空対策課を通じて知事に提出しました。
この「空港問題」については、新聞報道のほかには、何がどうなっているのかなかなか明らかにされないという不透明さがあります。私たちは行政まかせにすることなく何か自分達でできることをと考えています。 2005年の「新空港の開港」にむけてあまり時間はありません。ご意見をお聞かせください。
地元のみなさんと一緒にこの地域の平和な将来について考えたいと思っています。
不戦へのネットワーク
名古屋市昭和区白金1−13−10
TEL 052−881−3573
代表世話人 水田洋(名古屋大学名誉教授)