私たちは、全ての人々が人権を尊重され、平和で豊かに暮らせる社会をめざして運動をしている市民団体です。
去る、5月16日、在沖縄海兵隊の普天間基地所属のCH53(給油機)・AHI・UHI・CH46・KC130の15機が、フィリピンでの合同演習の帰路、県や地元の反対にもかかわらず沖縄の下地島空港と波照間空港に強行着陸をしました。
両空港は県の管理する民間空港であり、県の自粛要請や地元自治体の反対を無視した行為は正に強行着陸です。このことは、北海道の小樽・函館・苫小牧などに住民の反対を無視して米艦船が入港するのと同じく、一昨年成立した、周辺有事の際の米軍への民間協力を義務付けた周辺事態法の先取りです。
更に、新聞報道によると、アメリカの民間のシンクタンク、ランド研究所が15日に発表した「米国とアジア」では、台湾有事を想定して、これへの対処として下地島空港や那覇空港の活用を提唱しています。この提言が、沖縄への更なる基地の重圧になるのではないかという懸念の声が広がっています。この提言を先取りするような、下地島空港・波照間空港への米軍機の強行着陸は決して容認することは出来ません。
沖縄は敗戦後50数年、米軍基地があるがために米軍人・軍属による事件・事故が多発し、今年に入ってからでも、少女へのわいせつ事件や放火事件など事件・事故は続発しています。更には、97年12月の住民投票により明確に拒否の意志を表し、貴重な希少海洋動物であるジュゴンが生息する名護市沖に、普天間基地の代替基地を建設するということを進めています。
米軍の存在自体が、日々平和に暮らす権利を脅かしています。2月のハワイ沖で米原潜が起こした宇和島水産高校の実習船えひめ丸衝突事故、4月に起きた中国、海南島での米偵察機と中国軍機との衝突事件、沖縄を始め韓国・日本本土でも米軍基地があるところで多発する事件・事故と事例は枚挙にいとまがありません。
私たちは、以上のような観点から、基地機能の拡張につながる民間空港の軍事利用に断固抗議し、今後二度と同空港を軍事利用しないように強く要請します。
2001年5月23日
在日本アメリカ合衆国大使館御中
不戦へのネットワーク
名古屋市昭和区白金1−13−10
代表 水田 洋(名古屋大学名誉教授)
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